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裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案についての質問
第168回国会 法務委員会 第5号
平成十九年十一月二十九日(木曜日)

○松浦大悟君 無所属の松浦大悟でございます。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 今回の法改正で報酬が増額になる対象者は全裁判官何人中何名になるのでしょうか。検察官についても併せて聞かせてください。
○政府参考人(菊池洋一君) 今回の法改正は初任給を中心とした若年層を対象とした増額でございますが、今日現在の数字で申し上げますと、裁判官につきましては、定員が三千四百十六名でございますが、そのうち増額の対象者は五十二名、検察官につきましては、二千五百六十三名中七十一人となっております。
○松浦大悟君 今お答えいただいたデータをベースに質問を続けてまいりたいと思います。
 先週、法務委員会の視察で東京拘置所に行ってまいりました。去年のクリスマスイブに、七十五歳の車いすの死刑囚が職員に連れられ首にロープを掛けられ刑を執行された現場に立たせていただきました。死刑という取り返しが付かない刑の残虐さと裁判官の責任の重さを痛感いたしました。
 そのような刑を決める裁判官だからこそ、憲法の中に裁判官の独立が規定されているのだと思います。政府も含め、ほかからの圧力に左右されず、憲法と法律と自らの良心のみに従う裁判官の独立がうたわれている。給与の面においても、この報酬は、在任中、これを減額することはできないと定められているのではないかというふうに考えます。
 では、今回の法改正においてその裁判官の独立は守られているのか。例えば、前回報酬が減額されたときの議論などを見ますと、人事院勧告に基づいてだとか全裁判官の報酬について一律に引き下げるから憲法には触れないと答弁をされています。しかし、今回の増額の場合は、人事院勧告どおりには行わず、全裁判官一律ではありません。減額するときには人事院勧告を理由に挙げておきながら、増額のときには人事院勧告を一部にしか適用しないというのでは筋が通っていません。
 法改正による報酬の増減と憲法が保障する裁判官の独立との関係を法務省としてどのように考えているのか、確認をさせてください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 非常に鋭い御質問だと思うんですよ。
 つまり、なぜ裁判官の報酬は普通の公務員と別であるのかと、先ほどから質問と答弁が繰り返されている。検察官、もちろん充職検事として法務省の中にも大勢おられますけれども、検察官もなぜ別なのかと。それはやっぱり司法試験、司法修習ということもありますし、やっぱり準司法的な仕事するから違うんだと、だから別に定めているんだと。
 したがって、そういった意味では、裁判官や検察官の給与、報酬に関しては、それはもう全く別の観点から物事を考えていけばいいんですけれども、それが残念ながら、やっぱり財政の問題とか世論というのもあるので、結局一般の政府職員の俸給表の俸給月額と同じ改定率で改定するという、非常に残念な結果になっているというふうに私は思っております。
 ですから、委員が御指摘されている基本的な考え方は十分分かっていますし、裁判官は、とりわけその職務の責任の重大性というのは独立性と絡んで十分給与体系に反映しなくちゃいけないんでございますが、やっぱり財政の事情というのもあって、このような形に今回なってしまっているというふうに、私自身も残念には思っております。
○松浦大悟君 憲法との関係については改正のときにいつも話題になることではありますが、それは非常に微妙な問題であるという御答弁だったというふうに思います。
 では、今回の法改正について、最高裁において裁判官会議が開かれたと思いますが、どのような検討がなされたのか、そしてまた、どのような意見が出されたか、最高裁にお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 最高裁の裁判官会議におきましては、裁判所として人事院勧告についての政府における取扱いに沿った形で裁判官の報酬等についても所要の措置を講ずる、こういう方針に立って対処することにつきまして、これは異論なく了承されたということでございます。
○松浦大悟君 憲法との関係について今回も確認をさせていただきました。
 続きまして、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、冤罪事件と検察の在り方についてお聞きをいたします。
 鹿児島の選挙違反の冤罪である志布志事件や富山の婦女暴行冤罪事件など、近年冤罪事件が大きく報道されています。これまでの冤罪件数について法務省としては統計はあるのか、どのように過去の冤罪事件を把握されているのか、お聞かせください。そしてまた、無罪が確定された場合、検察側ではどのような検証や反省がなされるのか、お聞かせください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっと冤罪という言葉の使い方、松岡先生とのやり取りがありましたので、私の考え方も少し取り入れていただければ有り難いと。
 つまり、日本の検察、警察を含めてですが、在り方というのは、非常に慎重に構えて、これならば十分犯罪を立証できると、つまり有罪に持ち込めると相当な確信がないと起訴しないというやり方。外国の中には、まあ、犯罪になるかどうか分からないけど、取りあえず逮捕しておいてやってみようと。そうすると、有罪率が六割とか七割という国がある。日本は九九・九%以上が有罪であるという。
 そういう在り方の問題なので、無罪と冤罪というのはやっぱり違うので、無罪を全部冤罪と言われたら困るので、検察が起訴して無罪になったのはおかしいじゃないかというんだったら、ある意味じゃ裁判は要らないような話になってもくるわけで、やっぱりそこに裁判という非常に厳正中立な判断が加わるというわけでございまして、犯罪白書によりますと無罪判決数というのがありますが、平成十六年百十四件、平成十七年八十五件、平成十八年百十三件となっております。
 先ほど松岡先生にお答えしたようなもののみは私自身も冤罪と呼びます。
○松浦大悟君 正に今大臣がおっしゃったように、今その警察の在り方が問われているんだと思うんです。成熟社会に突入した中で、今までの在り方でいいのかどうか、これが問われているというふうに認識をしています。
 大臣、冤罪が判明した後には必ずと言っていいほどその警察の捜査や取調べの在り方が問題となります。実際、批判を受けても仕方がないような捜査や取調べがなされております。こうした言わば警察の暴走に対し歯止めを掛ける役割も第二次捜査権を持つ検察は担っているのではないかと思いますが、大臣は検察と警察との関係をどのようにお考えでしょうか。
 また、冤罪を防ぐためには何をすべきか。これだけ冤罪が多いのは、検察の人材の質の問題なのか、それとも代用監獄や検察と裁判官の交流人事などのシステムの問題なのか、どちらでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 一般論として申し上げれば、無罪判決があった場合、当該事件における捜査、公判活動について反省すべきところがあれば、検察庁内で勉強会を開いたり、各種の会同において事例として発表するなどして問題意識を共有して、今後の捜査、公判の教訓としているわけでございます。
 私自身も、十月に行われた全国次席検事会同において、本年に入って捜査、公判の在り方が深刻に問われる事例が発生しており、こうした事態を真摯に受け止めようと、検察に対する国民の期待と信頼にこたえることができるよう努められたい旨訓辞をしているわけでございまして、そういった意味では、無罪の率は非常に低い日本ですが、無罪になった場合、これまあ全部冤罪とは呼んでいただきたくないわけですが、一部冤罪も含むんですが、無罪になった場合には、それなりの問題点の整理は常にやっておるということであります。
 警察と検察の関係でございますが、結局は捜査という点では極めて密接な関係にあって、協力して行うわけですね。
 昨日の守屋さんのような場合はもう検察が、地検特捜部が動いて、そして逮捕しますけれども、一般的には警察が先に出てくるわけでございますから、まず警察が犯罪があるんじゃないかと考えて犯人捜しあるいは証拠の捜査をやると。検察は、警察から送致を受けた事件について、連絡を取りながら、場合によっては検察自らが捜査を行うと。そういう独立した捜査機関で別々なのではありますが、両者の関係はとにかく常に協力すべき深い関係であると、こういうふうに考えております。
 ただ、事件を起訴する起訴しないは検察が判断することでございますから、それは警察ができることではない。起訴、不起訴を決めるのは検察ですが、そのときにやっぱり証拠が不十分であるようなときには、起訴できるかできないかと思料していく中で更に警察に協力を求めるということはございます。
○松浦大悟君 例えば、二十五年間以上もの歳月を費やし、その間一度も有罪判決が出されなかった有名な冤罪事件である甲山事件ですけれども、この甲山事件では、警察が逮捕後、検察が一回は警察の捜査では証拠不十分として不起訴処分としております。この事件は、結局、遺族による不服処分後に捜査した新たな検察によって起訴されまして、史上最長の冤罪事件というふうになったわけでございますが、これなどは冤罪を検察が止められるということも示しているのではないかというふうに思います。と同時に、検察の限界も示している。
 取調べの全面可視化や検察の証拠開示など客観的な冤罪防止プロセスを導入すべきだとも思いますが、この点については、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど可視化の問題については御答弁申し上げましたように、使える部分もありますが、最初から、警察が逮捕したところからすべての供述、自白を録音、録画するということになると、逆に真実を得ることが難しくなる、あるいは被疑者がしゃべらなくなる。プライバシーについて触れると問題があると言われてしまうと、結局は自白がうまい具合に得られないというようなことがありますので、全面、一〇〇%の可視化ということになりますと、私は賛成と言い難いわけでございますが、ただ、警察がどのような捜査、あるいは聴取する場合もあるでしょうから、したかということは、より良い協力関係の中でお互いがチェックしていくべきことだろうと思います。
○松浦大悟君 先ほど大臣、テレビカメラの前では真実が語れなくなるおそれがあるというふうにおっしゃいましたけれども、しかし、今現在において、テレビカメラのない状態において真実は語られていないわけですよね。ですから、冤罪事件が起こっているわけでございます。だから、テレビカメラの前では真実が語れないというのは理由にはならないというふうに私は考えます。
 問題は、冤罪を防ぐためにどのようなアーキテクチャーを構築していくかだというふうに思います。そのためには、今現在の段階においてテレビカメラの導入、取調べ段階での可視化というのは最善の方法であろうというふうに思います。そのことを申し上げて、質問に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(遠山清彦君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですので、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(遠山清彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(遠山清彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   正午散会
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by まつうら ¦ 15:04, Thursday, Dec 06, 2007 ¦ 固定リンク

 


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