国政報告

 
 


【法務委員会】5月8日(木)後半〜取調べの可視化と被害者支援などについて〜
○松浦大悟君 さて、続きまして、来年の五月から裁判員制度が行われますが、その裁判員制度が行われる、始まるということで、よし、いよいよ市民参加型の司法制度になる、期待したいと思う反面、本当にこれで大丈夫なのかというような事件が相次いでいます。今日はそのことについて質問させていただきたいと思います。
 大阪の澤野事件というものが最近テレビで報道されました。大阪、澤野事件。これは交通事故なんですが、八年前の交通事故です。右折する乗用車と直進するバイクが衝突をいたしました。バイクに乗っていた澤野祐輔さん、当時十八歳の方が遷延性意識障害、いわゆる植物状態という重い障害を負いました。バイクで直進していた澤野さんが赤信号で交差点に進入したときに車にぶつかったと、澤野さんの方に重い過失があるとされたんですが、実はこの裁判の過程でその証拠となる目撃証言調書に大きな疑惑が浮上しています。目撃証言調書の捏造について大きく報道で取り上げられているんです。
 当局に伺いますが、なぜこのような報道につながったとお考えになっているでしょうか。この事件についてどうとらえていらっしゃるでしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) お答えを申し上げます。
 本件につきまして、報道があり、また今般御質問をちょうだいいたしましたので、大阪府警察に確認をいたしましたところ、証人として出廷をした警察官、当時の事件そのものについての記憶がないということで、高等裁判所におきましていろいろな証人尋問の際にそのやり取りの中でいろんな御指摘を賜ったものと考えております。ただ、大阪府警察において調査をいたしましたところ、供述調書の作成を含めまして捜査は適正に行われたものであるとの報告を受けているところでございます。

○松浦大悟君 記憶がないということでありますから、それが捏造されたものであるかどうかということも分からないということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) お答え申し上げます。
 作成の事実と捏造の事実ということには分けられるとは存じますが、それぞれについて、例えば事件の記憶がない、ただしかし、公判廷において提示を受けました調書を見ると当該警察官本人の署名、押印があるということであれば、これは私が作成したものであるというようなやり取りがあったと報告を受けておりまして、直ちに、記憶がない、したがって、例えば捏造したということもそれではあったのかもしれないがそれさえも分からないのではないかと言われると、それは直ちにそのようなこともないのであろうと。それぞれの事実について確認をする必要があると存じます。

○松浦大悟君 目撃証言をされた方がテレビでも証言されているんですが、現場で事故を目撃したとされる三人のうち二人が調書を捏造されているというふうに言っているんですね。現場で実況見分に立ち会っていない、事実が逆、目撃位置が違う、調書の日付に警察に行っていない、さらには手書き一、二枚の調書にサインしたのにワープロ書き五枚の調書に変更されていると、こういう証言を法廷でされていると伺っているんですが、警察庁、これは事実でしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) 大阪府警察の人間が本件について確認をしたところ、そのような御主張があるというふうには私ども報告を受けております。

○松浦大悟君 一般論で構わないんですが、手書きの調書にサインをさせて後でワープロ書きに変える、その際にはサインした方には知らせないというようなことは日常行われているんでしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) 一般論というよりも、当然、調書については御本人に読み聞かせをいたしまして確認をしたもので作成をするものでございまして、後で云々というようなものではないというふうに私は考えております。

○松浦大悟君 目撃者の方々は、言うまでもなく、両当事者とも利害関係の全くない善意の第三者なんですね。そのような方々が複数、法廷で宣誓をして調書を否定するというのは非常に重いのではないかと私は思っています。
 調書が捏造されるようなことはないというのでしたら報道がおかしいのだなと私も安心できるんですけれども、過去、これまで調書が捏造されたということは多々あるというふうに伺っていますが、そういった例というのはどれぐらい把握をされているんでしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) ただいまその数字を手元に持っておりませんが、懲戒処分に至って、きちんとその処分をし再発防止策に努めていることはございます。

○松浦大悟君 昨日、質問取りにいらっしゃって、私、こういう質問しますよということでお話をさせていただきました。そのときに、どれぐらい捏造された調書というものがあるのか把握されているはずだからそれを出してほしいということを言ったんですね。そうしたところ、いや、松浦さん、ちょっとそれは聞かないでくださいと言うんです。なぜかというと、いや、これから各県の県警に電話して調べるのはちょっとと言うんですね。つまり、把握をされていらっしゃらないんだと思うんです。
 私は、ガバナンスとしてどうなのかと。こういう実態をまず調査し、分からなければ何の対策も立てられないし、善処のしようがないですよね。本当に把握をされているんでしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) 先ほど申し上げたとおり、懲戒処分の中身として交通事故事件捜査の適正に反するものというものについては数字はございますので、それについて確認をいたしますが、私ども、全くそのような現場の実態について無視をして仕事を指導しているものではございません。監察というものを行っておりますが、監察項目の中にも、交通事故事件捜査の適正、そして交通事故処理についての適正さというものについても項目を入れておりまして、毎年そのようなものは監察をしておるという実態がございます。

○松浦大悟君 そうすると、昨日質問取りに来られた部下の方は仕事をサボられたということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(末井誠史君) どのようなやり取りをされたのかということについてつまびらかにしておりませんが、もしそのようなことを申し上げたとすれば誠に申し訳ないと存じます。直ちにそのような数字を調べた上で御連絡を申し上げるべきとは考えます。

○松浦大悟君 仕方ないから、私インターネットで調べましたよ。そうしたら、もう出てくるわ、出てくるわ、雨後のタケノコのようでございました。もう百、二百という単位じゃないんですね、ちょっと調べると分かると思いますけれども。
 このような調書が捏造されるという状況が日常茶飯事であるというような状況では、私は冤罪はなくならないというふうに思うんです。こうした冤罪を防止するために民主党が提唱しているのが取調べの可視化でございます。
 実は、アメリカ・イリノイ州では現在取調べの可視化が行われているんですが、この可視化法案の立て役者となったのが、現在アメリカ大統領予備選で民主党の最有力候補である、最有力者である当時イリノイ州議会議員のバラク・オバマ氏でございます。これはイリノイ州議会のホームページにも載ってございます。
 イリノイ州の可視化も、きっかけは冤罪事件だったんですね。イリノイ州では一九七六年に死刑執行が再開されたんですが、死刑判決を受けた死刑囚のうち十三人が冤罪が判明したとして釈放をされました。これを受けて、二〇〇〇年に当時のジョージ・ライアン州知事が死刑執行の一時停止を命じました。そして、ライアン・レポートという有名な刑事司法制度改善のためのレポートを出しまして勧告を行いました。ライアン知事は任期満了の二日前、二〇〇三年、イリノイ州すべての死刑囚百六十七人を減刑し、終身刑にいたしました。このことが議論を起こしまして、ライアン・レポートの中で指摘されていた取調べの可視化の立法化へとつながったということなんです。現在は、テキサス州やワシントンDCでも州法で可視化が義務付けられています。
 それで警察庁は、この可視化の法案が通ると被疑者との関係の上に信頼が築けなくなるというふうに主張しているんですが、アメリカではそうした混乱というのは生じているという話は私は伺ったことはないんですが、実際のところどうなのか、調査研究はしているでしょうか。どうでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) アメリカのイリノイ州におきまして殺人関連犯罪について取調べの録音、録画が行われているということは私どもも承知しております。ただ、外国の実情に関する事柄でありますので、その結果イリノイ州において捜査に具体的にどのような影響が生じているかについてまでは、詳細承知しておりません。
 ただ、この関係で申し上げたいのは、アメリカ合衆国におきましてはいわゆるミランダ・ルールというものがございます。一九六六年のアメリカの連邦最高裁判所の判決でありまして、これが州も含めてアメリカの刑事実務を大きく規律しているわけでございますけれども、このルールの下では、被疑者が弁護人の立会いを求める場合、あるいは供述を拒む場合には取調べを打ち切ることとされているわけでございます。したがって、取調べが証拠収集方法としては重視されていない、あるいは警察が実際のところ被疑者を取り調べる機会は極めて限定されているということが申し上げられるのだろうというふうに考えております。
 その一方で、つまり取調べが非常に限定されているその一方で、取調べ以外の様々な捜査手段が活用されているわけでございます。例えば、刑事免責とか司法取引、あるいはおとり捜査、潜入捜査、通信会話傍受等が非常に活用されているというように聞いております。それと同時に、起訴自体が我が国と比べますと極めて緩やかな基準で行われておりまして、相当数の事件が無罪になっておるわけでございます。否認いたしまして公判に付された事件につきましては、これはイリノイ州ということではございません、アメリカ全体でありますけれども、二〇%を超える事件が無罪になっているというふうに承知しているわけでございます。
 したがいまして、アメリカの刑事司法と日本の刑事司法とは極めて異なっているところがございますので、取調べの録音、録画による影響につきましても我が国と単純に比較するわけにはまいらないだろうと、こういうふうに考えているわけでございます。

○松浦大悟君 そうすると、アメリカで次から次へとこの取調べの可視化が行われているという状況をどう考えればいいんでしょうか。
 今御答弁では、取調べの可視化は余り重要視されていないというようなお話でしたけれども、それでも次から次へとこれに踏み切る州が増えているわけですよね。その必要性というのはどんなふうに分析をされていますか。

○政府参考人(大野恒太郎君) 確かにアメリカの一部の州、あるいはほかの外国の中で取調べの録音、録画等を義務付けている国はあるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、それらの国の捜査構造自体が我が国と相当異なっているという点について申し上げたいというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、取調べ以外の様々な捜査手段が認められている、それから被疑者が供述を拒む場合には、それ以上供述をするように説得をしないで取調べを打ち切るわけであります。さらに、起訴基準自体が極めて緩やかで相当数の事件が無罪となる。つまり、我が国と刑事司法の在り方が大きく異なっている国々になるわけであります。
 そこで、もう少し具体的に申し上げたいわけでありますけれども、例えば暴力団の組長が暴力団員に指示して殺人事件を犯したというような場合にどういうふうに事件を解明するかということでございますけれども、日本の場合には、やはり取調べにおきまして組長の関与を出すということになるわけであります。しかし、アメリカ等では取調べによらないで……

○委員長(遠山清彦君) 大野局長、簡潔な御答弁をお願いします。

○政府参考人(大野恒太郎君) はい。例えば通信傍受、会話傍受あるいはおとり捜査等のやり方によってやっているわけでありまして、したがって、我が国と諸外国とのその捜査構造の差を捨象して、一概にアメリカがやっているから日本がこうだということは申し上げられないというふうに考えるわけでございます。

○松浦大悟君 大臣、今の答弁を聞いてもお分かりになるように、こういうことを繰り返すから裁判員制度に対して国民の不安が高まるんですよ。何にも実りのない答弁でございました。
 まあ、イリノイ州では捜査がしやすくなったという声もかなり聞かれていますので、それを受けて日本はどう考えるのかということを伺いたかったわけでございます。
 次に参りたいと思います。
 裁判員制度を前に多くの国民は大変冤罪を恐れています。なぜなら、それは自分が量刑を判断しなければならないからだというふうに私は思うわけです。民主党は、この参議院に取調べの可視化法案を提出しているので、これについては委員長に一刻も早い審議入りを要望したいと思います。
 それで、裁判員制度を前にもう一つ気になる事件がございました。それは、あの山口県の光市の事件でございます。
 あの光市の判決も、もし自分がこの裁判にかかわっていたらと感じながらテレビを見ていた国民の方は多かったのではないでしょうか。光市事件を犯した犯行当時十八歳一か月の元少年に対し、広島高裁において死刑判決が下されました。その判決に対する大臣の感想をまずはお聞かせください。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 山口県光市の母子殺人事件につきましては、四月二十二日、最高裁からの破棄差戻しを受けた広島高裁において、被告人を無期懲役とした原判決を破棄し、死刑とする判決が宣告されたことは承知いたしております。
 感想と申し上げましても、判決の内容について法務大臣の私が口を挟むというか、司法判断を批判をしたりあるいは賛成したりというようなことはできないことでございますので、是非そこは御理解をいただきたいと思っておりますが、実際十八歳とちょっとのときにこの凶悪犯罪が起きているわけでありまして、十八歳未満の場合は、死刑をもって処断しようとする場合はこれを無期懲役とするという規定は存在をいたしておると、十八歳を超していたのでそれは適用されていないわけでありましょうが、そういう厳しい判断が示されたんだなというふうに思っております。
 また、被害者二名のお父さんであり夫であった御遺族の方が、同事件の審理において、いわゆる平成十二年の改正によって新設をされた意見陳述権を行使されたということを承知いたしております。

○松浦大悟君 被害者の御遺族であられる本村洋さんは、我が国において犯罪被害者の権利がほとんど守られていないということを痛感して、犯罪被害者の権利確立のために様々な活動をされてこられました。本村さんを始め犯罪被害者とその御遺族の活動が犯罪被害者等基本法などの成立につながり、法廷への参加など犯罪被害者の権利確立が進んで、先日この委員会においても審議され成立した被害者国選弁護法にもつながったのではないかと思います。
 犯罪被害者、御遺族が立ち上がるまで、私は、司法、法曹界あるいは国民、そして我々政治家も犯罪被害者に目を向けてこなかった、このことは改めて率直に反省すべきではないかというふうに思います。そこからすべてが始まるのだというふうに私は思っていますが、大臣の見解をお聞かせください。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 全くおっしゃるとおりで、一番大事なことは犯罪をなくすことでありますけれども、その次に大事なことは、被害者の方々あるいは御遺族をどのようにして救っていくか、あるいは精神的に救っていくか、そういう問題、もちろん経済的にも救わなければならないわけでありますけれども、これは政府を挙げて、あるいは国会挙げて取り組んでいかなければならない重大問題だと思っております。
 そんな関係で、今、松浦委員御指摘のように、例えば被害者の裁判への参加、証人尋問、被告人質問、あるいは論告的なことを裁判の最後の段階で行うことができるという新しい仕組みがこれから始まっていくわけであります。そういう中で裁判員の参加ということが実現をしていくわけでありますから、今後司法制度は随分大きな変化をしていくんだろうと、こう考えております。
 先ほど、質問、前の質問なのかと思いますが、あえて使わないと言った言葉を使いますと、冤罪というのはあってはならない、絶対にあってはならないことであります。それと同時に重要なことは、犯罪の取り逃がしというんでしょうか、要するに被害者が泣いて、あるいは被害者の遺族が泣いて、犯人が逃げ切って陰で笑っているような、そういうことは同時に絶対あってはならないと。この両面を追求しなけりゃならないものでありますから、刑事司法制度というのはなかなか難しいと思いますが、今後、様々に考え工夫を凝らして、全力を尽くしていかなければならないと思っております。
 そういう意味で、今先生御指摘のように、被害者や被害者の遺族の問題は今まで軽く見過ぎてきてしまったという政府あるいは国会の責任というものがあろうと思いますので、しっかりやりたいと思っておりますので、少年法の改正もどうぞよろしく御理解をお願い申し上げます。

○松浦大悟君 大臣おっしゃったように、被害者遺族の感情を十分に酌み取っていかなければいけない、そのとおりだと思います。
 ただ、一方で、我々政治は今回の判決を冷静に考えなければいけないとも思います。メディアでは、増え続ける少年犯罪を抑止するために厳罰化はやむを得ないというような論調での発言もありますけれども、じゃ、実際にデータをちゃんと我々の議論のベースにすべきだというふうに思うんです。
 少年による殺人、強盗、婦女暴行を働いた凶悪犯というのは年々減少をしており、暴行、傷害、恐喝などの粗暴犯は戦後最低との統計もあります。今後、少年法改正の審議も行われますが、まずはこの正確なデータを改めて警察庁に確認をしたいと思います。

○政府参考人(井上美昭君) お答えいたします。
 警察庁では、殺人、強盗、放火及び強姦を総称して凶悪犯とし、昭和二十四年から統計を取っておるところであります。
 少年による凶悪犯の検挙人員については、戦後、昭和三十四年の七千六百八十四人をピークにほぼ一貫して減少してまいりましたが、平成二年の千七十八人を底に増加に転じ、平成九年から十五年までは二千人を超える状況で推移をしておるところでございます。その後、平成十五年以降は四年連続で減少をしておりまして、平成十九年中の検挙人員は前年比一〇・九%減の千四十二人となっておるところでございます。

○松浦大悟君 少年犯罪はどうしてこんなに減っているんでしょうか。少年犯罪が減少しているということは確認できましたけれども、どうして減っているのか、その要因を警察庁はどのように分析をされているのか、聞かせてください。

○政府参考人(井上美昭君) 先ほど申しましたように、少年による凶悪犯の検挙人員は平成十五年以降減少をしております。これは凶悪犯だけの傾向ではありません。犯罪少年の検挙人員全体が平成十五年以降同様の傾向にあるところでございます。
 その要因について明確に申し上げることは困難でありますが、少年の人口自体が減少をしておること、平成十五年にそれまでの少年の深刻な非行情勢を受けて青少年育成施策大綱を取りまとめ、政府全体として対応を進めてきたこと、不良行為少年の補導活動などの犯罪に至る前の段階での対応の強化を図るとともに、特に万引きなどの初発型犯罪の非行防止やひったくりなどの街頭犯罪の防止対策に地域と一体となって力を入れてきたことなどが背景にあるのではないかと思われます。
 また、近年の凶悪犯の約七割から八割を占める強盗について見ますと、検挙人員ベースで平成十五年が千七百七十一人、昨年が七百五十七人でありまして、その減少は顕著であります。警察と地域社会が一体となった街頭犯罪抑止対策の効果が現れているのではないかと考えておるところでございます。

○松浦大悟君 少年犯罪が減少しているにもかかわらず、少年法を厳罰化すべきだという世論だけが暴走しているという状況だと私は思うんです。ただ、この厳罰化による犯罪の防止効果というのはどうなのかと、極めてそれに疑問符が付くということも指摘しておきたいと思います。
 厳罰化による犯罪の抑止について、国連の調査データでは、厳罰化による犯罪抑止効果が統計上認められたのは、軽犯罪と強姦殺人を除く性犯罪のみと指摘しております。
 今回、永山基準と言われる一九八三年最高裁による九項目の基準を超え、厳罰化は進んだとも言われていますが、私はこれ少年犯罪の抑止という面では余り効果がないのではないかというふうにとらえています。
 そこで、今回は死刑という判決が下されましたけれども、死刑と無期懲役という、最高刑と第二の刑の間の差が大きいのではないかという声が常々指摘されております。刑法二十八条では十年以上服役すれば仮釈放できるようになっていますが、実際に十年という例はほとんどないようで、二十年から三十年で仮釈放されると言われています。この大きな差を埋めるために仮釈放のない終身刑を創設すべきではないかという議論が起きていますが、それについての大臣の見解を聞かせてください。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も、死刑と無期懲役の間には差があり過ぎる。これは、特に殺人事件が起きたときの遺族の方々の思い、殺人事件で家族が亡くなった、裁判が行われた、やっぱり遺族としては死刑、極刑を望む。死刑であれば納得する、無期懲役だと結局出てきてどこかで出会うんじゃないか、この差が大き過ぎるという思いを抱かれるようでございまして、私はそのことはよく分かるわけでございます。
 今回、議員の連盟だか懇談会か分かりませんが、仮釈放のない終身刑を実現しようとする議員のグループができたやに承っておりますが、これ、いつも申し上げますように、両方の、死刑を廃止すべきだという考え方、死刑を廃止してその代わりに重無期刑というか終身刑を置くという考え方と、死刑は置いておくんだが無期懲役だと軽過ぎるからその間に仮釈放のない重無期刑を置くんだと、こういう両方の考え方の方が集まっておられるようでございますが、私は、いつも申し上げておりますように、我が国において死刑というものは必要だと、もうこれは今更理屈は申し上げませんけれども、そう考えております。ですが、死刑と無期の間に差があり過ぎるという点については十二分に納得する部分があると思っております。
 ただ、仮釈放の絶対ない重無期刑というのは、徐々に死刑を執行していくようなすごく残虐な面があるかもしれない、あるいは一生拘禁されることによって人格が完全に破壊されていくという意味では、かえって人道的でないんではないかというような考え方があります。
 また、諸外国で重無期刑というんでしょうか、仮釈放のない無期懲役、終身刑を採用して、やっぱりまずいといってこれをやめた国もあるようでございますので、そういう問題点は幾つかあると思います。ですが、差が大き過ぎると、だから間に一つという考え方は私も十二分に考慮しなければならないと思っております。

○松浦大悟君 ただその点も、アメリカではアミティというようなNPOのセクターがありまして、刑務所の外からだけではなく刑務所の中にも入って、加害者あるいは被害者を面談をさせたりというような、そうする中で加害者の気持ちをほぐしていくような、そういう支援を行っているNPOがあるわけでございます。残念ながら、日本にはそうしたものはないとは言いませんけれども、かなり層としては薄いという状況があります。
 もちろん、大臣おっしゃるように、重無期刑のようなものをつくるのであれば、同時にそうした市民の側のセクターもつくっていかなければならないということは当然のことでございますが、是非これも検討をしていただきたいというふうに思っております。
 本村洋さん、まあ被害者、御遺族の悲痛な訴えが世論を動かして政治を動かしました。私は、被害者の方たち、御遺族の方たちが被害を受けただけでもおつらい立場なのに声を上げなければならなかったと、こういう社会はやはりおかしい社会だというふうに思います。私たち政治家あるいは法曹界、国民が今まで被害者遺族の感情をないがしろにしてきた、このような状況において世論が厳罰化に向かうのは仕方がないというふうにも思いました。しかし、政治は冷静な判断を、議論をしていかなければなりません。
 それで、これから裁判員制度が始まるなど日本の司法が大きく変わっていきます。その中で国際的に批判の強い死刑制度の問題も議論されていくものだというふうに思っています。犯罪被害者支援とこの死刑制度廃止の問題というのは車の両輪として私は考えていかなければならないというふうに思っているんですが、もし市民社会が成熟をして、おりの中の加害者の方たちを支援していくようなサポートをする部分ができたならば、こういう重無期刑についても大臣のお考え変わるのかどうか、お聞かせください。

○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、松浦委員の質疑時間は終局しておりますので、簡潔にお願いします。

○国務大臣(鳩山邦夫君) こうした問題は、特に死刑という制度につきましては、私の考え方はいつも申し上げておりますが、これは世論がとても大事でございまして、私は凶悪重大な犯罪に関しては死刑もやむを得ないというのが今の国民の世論だというふうに思っておりますから、その方針、その世論に従って行動している場合が多いわけでございますが、世論がまた大きく変化すれば、それは例えば死刑は執行すべきじゃないと、世論の六割、七割がそういう意見を示せば死刑の執行だってしないという可能性も十分あるわけでございます。
 ただ、私自身は、死刑という制度は現在は日本には必要だと思っていること、また執行は粛々とすべきであると思っていること。ただ同時に、再犯の率が物すごく高いですから、言わば、何というんですか、途中で成績優秀というか、行状がいいからといって出所された方の再犯率が五年間でやっぱり四割弱ぐらいあると、満期出所の場合は六割近くあるという状況を考えますと、とにかく保護、更生保護ということにこれからは全力を尽くさなければならないとつくづく思っております。

○松浦大悟君 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。

17:29, Thursday, May 22, 2008 ¦ 固定リンク

 


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