国政報告

 
 


【法務委員会】6月5日(木)前半〜少年法の一部を改正する法律案について〜
○松浦大悟君 民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟でございます。
 前々回、前川議員が冒頭、裁判でのうその証言をすると偽証罪ですが、国会でうその答弁をすると罪にはならないんですかという質問をされました。今日は私が同じ質問を警察庁にしてみたいと思います。
 警察庁、裁判でうその証言をすると偽証罪ですが、国会でうその答弁をすると罪にはならないんでしょうか、どうでしょうか。警察庁にお伺いをいたします。

○政府参考人(米田壯君) ちょっと質問の御趣旨がよく分からないんですが、国会においての答弁がどのような責任を問われるかということについては私どもが答弁すべきことではなく、国会で御判断されるべきことであろうと考えております。

○松浦大悟君 私は、犯罪にならないからといって国会でうその答弁はしてもらったら困るというふうに思うんです。なぜなら、私たちは国民の代表としてこの席に座らせていただいて、国民に代わって質問をさせていただいているからです。うその答弁は国民に対してうそをつくことにつながるというふうに私は思います。
 実は、前回、大阪澤野事件について警察庁に質問をさせていただきました。大阪澤野事件における交通事故の調書の捏造疑惑について質問をいたしました。それについて警察庁の御回答は、きちんと処分をしていると、数字はございますということでした。直ちにそのような数字を調べた上で御連絡を申し上げるということでございましたが、これが真っ赤なうそでございました。
 質問が終わって、議員会館に帰って自分の部屋でくつろいでいたところ、真っ青な顔をして警察庁の部下の方が私の部屋に飛び込んでこられました。松浦さん、データを出すことは今すぐにはできません。どういうことですかと聞きましたところ、ほかの公文書の偽造と一緒になっていて、これが分類していないんだと。今すぐには出せない、これから各都道府県警に連絡をして調査するから待ってほしいということでございました。あれだけ胸を張って把握しているというふうにおっしゃっていたのに、やはり把握をされていらっしゃいませんでした。
 その後、待てども待てども連絡がないんです。やっと連絡が来たのが十二日後、そして、いただいたのがこのペーパーです。たった二行の御回答でございました。二行作るのに十二日間も掛かったのでしょうか。
 これ、なぜこんなうそをついたのかということをお伺いをしたいんです。一年生議員だから丸め込めるというふうにお考えになったのでしょうか。警察庁、いかがでしょう。

○政府参考人(米村敏朗君) お答えをいたします。
 お尋ねの虚偽の供述調書を作成したことによって懲戒処分を受けた警察官の数はということでございますが、これにつきましては委員の方に、お手元にお渡ししているかと思いますが、十七年が三人、十八年が二人、十九年が三人ということでありまして、その限りにおいてはさほど時間の掛かる話ではないというふうに私は思います。
 ただ、これもその調書偽造の内容が具体的にどういうものであるのかということについて、関係する都道府県に確認をするという意味で相応の時間が掛かったということでございますが、先ほど委員がおっしゃられたように、いささか説明が不適切であったようにも思いますので、この機会におわびを申し上げたいというふうに思います。

○松浦大悟君 このいただいた報告書にはどのような偽造であったかという内容は書かれていません。何人が懲戒処分を受けたのかということだけ書かれているわけです。懲戒処分を受けた数を把握するのには時間は掛からないというふうにおっしゃいました。十二日間掛かった理由が分かりません。
 これ読み上げますと、平成十七年から十九年までの間に虚偽の供述調書を作成したことにより懲戒処分を受けた警察官の数は、十七年が三人、十八年二人、十九年三人であるということですけれども、これも表面化したもので、氷山の一角かもしれません。例えば先日質問をいたしました大阪の澤野事件のようなケースは、これは警察が認めていないので入っていないのでしょう。
 そもそも、なぜ懲戒処分に至ったのかを警察庁がきちんと把握していないようでは何の改善策も取られないのではないかというふうに思いますし、いつまでたってもこうした調書の捏造はなくならないのではないでしょうか。その点、どのような認識をお持ちでしょうか。警察庁、お願いいたします。

○政府参考人(米村敏朗君) お答えをいたします。
 私どもの方では、現場におきまして調書が偽造されたのではないかというような疑いが生じた場合には、調査あるいは場合によっては捜査を行いまして、その事実関係を明らかにするということは当然の責務であります。そうした形で事案を明らかにし、その内容に応じて懲戒処分を行うということで対応しているものであります。
 また、当然のことながら、なぜそういう事案が発生したのか、いわゆるその要因について分析をし、今後の絶無を期するという意味で一線を指導していくという対応をしているところでございます。

○松浦大悟君 警察庁の不祥事といいますと、今週は千葉県で警察官が下半身を露出したというものが報道をされています。この件の現状について教えてください。

○政府参考人(米田壯君) お尋ねの事案は、今年の五月三十一日に千葉県の多古町の町内におきまして、コンビニ店の駐車場にいた女性店員に対しまして陰部を露出した男がいると、こういう事案でございました。千葉県警察において事件を認知いたしまして現在捜査をしておりまして、実はこの被疑者として千葉県警察の二十歳代の警察官が容疑者として現在浮上をしております。この者からの事情聴取を進めるなど、今事案の解明に向けて捜査中でございます。

○松浦大悟君 この件で問題なのは、名前が明らかにされていないんです。こうした事件を、例えばマスコミですとか学校の教員あるいは官僚ですとか、もちろん我々政治家が起こせば必ず名前が出ると思うんですが、この事件では一向に出てきません。
 ここで名前を出せとは私は言いませんけれども、どのような基準で名前を出す出さないを決めているのか、身内の警察官だから出さないというようにしか国民には見えないんですが、その点どうなんでしょうか。お答えください。

○政府参考人(米田壯君) いろいろな方が事件を起こして、そしてその事件の関係で発表をすると。そして名前を、その場合、広報で名前まで言うこともありますし、そうでないこともございますが、いずれにいたしましてもそれは立件をしたとき、例えば逮捕をしたとき、あるいは送致をしたときにどの程度広報をするかということを判断をするわけでございます。その際の判断基準といたしまして、それはそれぞれ個別の事件ごとの判断ではございますけれども、公表することの公益性の度合い、あるいは被害者等の名誉やプライバシーの保護、あるいはその後の捜査の遂行に及ぼす影響等を勘案して個別に判断されるべきものと考えてございます。
 ですから、現在、この今御指摘の事案につきましては、これまだ捜査を進めておりまして、立件をするという段階にまだ至っておりませんので、そもそも広報をするとかしないとかのまだ段階ではないということでございます。

○松浦大悟君 この事件は同じ女子高校生が二度も被害に遭いました。それのみならず、これはまだ同一犯かは分かっていませんが、ほぼ同じ時期に露出事件の際の言葉とほぼ同じ言葉でわいせつな電話があったり、さらには車に連れ込まれそうになったりなどの被害も受けています。
 公然わいせつだけでなく、ストーカー規制法やわいせつ目的の誘拐未遂などももしかしたら当てはまるかもしれません。そのような重大な犯罪の容疑者でありながら、なぜ既に事実を認めている公然わいせつで逮捕はされないのでしょうか。車のナンバーも被害者は覚えていて、さらにコンビニでのアルバイト中の被害ですから、防犯カメラも撮っているのではないかと思います。そのような客観的な証拠もありながら、さらに本人も容疑を認めていながらいまだ逮捕されないというのは、警察だからというダブルスタンダードを私は感じるんですが、これはなぜなのか、教えてください。

○政府参考人(米田壯君) 今のお話は、私どもがいろいろその全容を解明する中で、必ずしもまだ確認できていない点も多々ございます。
 いずれにいたしましても、捜査はその容疑の事案を解明して容疑がどれほど強まるか、そして逮捕の必要性がその間に生じてくるかということで逮捕をするしないということを決めるわけでございます。
 ちなみに、ダブルスタンダードとおっしゃいましたが、一般に刑法犯全部の検挙人員の中で逮捕をするというのは大体年間二五%前後でございます。警察官の場合、これは数が少ない、まあ数が少ないからいいというものではなくて、本当はゼロでなきゃいけないんですが、数が少ないものですから年間ばらつきがございますけれども、例えば昨年でございますと、検挙人員に占める逮捕人員の割合は三六%ぐらいということで、決して警察官であれば逮捕がされにくいとか、そういったことではないと考えております。

○松浦大悟君 これは誘拐未遂の可能性もあるわけですけれども、誘拐未遂等も視野に入れて捜査はされているんでしょうか。

○政府参考人(米田壯君) 先ほどから委員おっしゃっておりますような事案、そのすべてを私ども把握しているものではなくて、一部報道等で出ているものもございますが、そういったものもすべて含めまして事案の全容解明に向けて捜査を進めてまいりたいというように考えております。

○松浦大悟君 いまだ逮捕していない中、千葉県警から被害者の家族に対して、同じ警察官として恥ずかしい、二度とさせないから安心してという電話があったといいます。
 逮捕された後そのような電話があるならまだいいんですが、逮捕の前に電話するのはなぜなんでしょうか。二度とさせないように約束する、その代わり警察の不祥事になるから黙っていてという半ば脅しではないか。どのような趣旨で電話をしたのか、お答えください。

○政府参考人(米田壯君) 捜査の過程で様々なことを行っておりますし、もちろん警察官の犯罪ということになりますと、これは内部不祥事で懲戒処分の対象にもなるということで様々な調査を行っている過程のことでございまして、具体的なことは申し上げることはできません。
 ただ、そんな関係者の口を封じるとか、そういったことは一切ないと承知しております。

○松浦大悟君 恥ずかしいと思うぐらい容疑が固まっているのなら、速やかに何らかの処置をされればいいと思うんですけれども。
 やはり警察官が関与した事件を警察が捜査するというのは、どうしても身内に甘い捜査が行われているのではないかと見られかねません。ほかにも、衆議院でこの後お見えになる細川律夫議員が指摘されていますけれども、白バイとの交通事故などもそのような報道がなされております。これは公正公平に捜査を行っている多くの警察官にとっても大変不幸なことではないかと思います。
 検察には独自の捜査権があるわけですから、警察が関与した事件は最初から検察が扱うなどすれば警察がダブルスタンダードをしているのではないかというような批判が起きないのではないかと思います。そのような検討をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。警察庁、お願いいたします。

○委員長(遠山清彦君) 松浦委員、検察は法務省所管でございますので。

○松浦大悟君 警察に聞きたいんですが。
 警察が捜査するのではなくて検察に任せたらどうかという質問を警察庁にいたします。

○政府参考人(米田壯君) これまでも私ども、警察官であるからといってそのような特に優遇するということもなく、厳正公平に事件捜査をしてまいりました。今後ともそのように捜査を進めてまいりたいと考えております。

○松浦大悟君 調書の件もそうですけれども、身内の不祥事や犯罪が万が一起きてしまったら、まずすべてを公表するとともに、警察としてもきちんと把握をする、その上で再発しないような対策を検討する、ごくごく基本的なことだと思います。不祥事を隠すのではなくて、このようなことを繰り返していかないと、警察の不祥事や犯罪というものはなくならないのではないかと思います。法の正しい執行をつかさどる法務大臣として、大臣、感想で結構ですので、御答弁をお願いいたします。

○国務大臣(鳩山邦夫君) ダブルスタンダードという言葉をお使いになりましたが、私はダブルスタンダードというのはあっていいんじゃないかと。つまり、警察は司法警察職員ということでありましょうし、検察もそうでありましょうし、我々国会議員も権限を持っているわけでしょうし、あるいはマスコミのように世の中により大きな影響力を持っている人たちもいるでしょうし、そういう人は、より厳しいという意味でのダブルスタンダード、それくらいの気持ちで我々はやっていくべきだと思うし、警察もまた同じで、身内だからこそ一般人よりより厳しくということで、これはそれ以上のことは私は言えないのかもしれませんが、名前の出る出ないという話ですね、あなたがいい質問だと申し上げたのは、昨日の本会議での私に対する質問はちょっと余り良くない部分もありましたけれども、いや、いい質問だと申し上げたのは、やっぱり私も日ごろから思っていたことなんですよ。名前の出る出ないって、それはマスコミとの関係で何か基準があるのかどうか分からないんですが、より厳しく、それこそダブルスタンダードでより厳しくならより名前ははっきり出た方が、市民はAでも、警察官はだれのだれべえ、検察官はだれのだれべえ、裁判官であればだれのだれべえでいいんじゃないかなと、私は市民感覚でそういうふうに思っております。

○松浦大悟君 名前をはっきりさせることこそが警察の信頼回復につながるというふうに私は思います。
 こうしたずさんな捜査、ずさんな供述聴取の在り方というのが大変問題になっています。少年法においても、例えばあの山形のマット死事件なども、被疑少年の弁護人が一番最初に指摘したのが、こうした警察のずさんな捜査についてです。
 山形マット死事件におきましては、体育館用具室の扉の指紋を取っていなかったりだとか、物証がなかったりだとか、例えば髪の毛など採取できるはずのものだと思うんですが、それさえもやっていなかったりだとか、その結果、当時はっきりとやったことを認めていた少年たちは全員否認に転じ、事件はやぶの中となってしまいました。殺された被害者は確かに存在するのに、だれがやったのか分からないという、こういう状態になっています。
 少年による事件でも、捜査に当たるのは主に警察です。その警察がきちんとしていただかないと、少年審判にも少年の更生にも悪影響を及ぼします。きちんとやっているでは済まされないと思います。改善できる部分はどこなのか、絶えず向上心を持っていただきたいとお願いをいたします。
 それでは、少年法改正の質疑に移ります。
 今回、少年法の一部を改正する法案に対する質問ということになるわけですが、被害者遺族の傍聴を認めるのかどうかというところが最大のポイントだと思います。その被害者遺族の傍聴についてなのですが、そもそも被害者遺族が真実を知りたいということならほかにも私は方法があると思うんですが、なぜ傍聴なのかということをお尋ねしたいと思います。
 少年審判の傍聴は、被害者遺族の方々から事実を知りたいという強い要望があった、これが大きな議論となっていったと認識をしています。これまで、被害者遺族の皆さんは審判の蚊帳の外に置かれていました。十分な情報が手に入りませんでした。記録の閲覧、謄写や審判結果の通知といった情報提供の制度はありましたけれども、遺族の皆さんの満足のいくものではありませんでした。
 私は、審判を傍聴することによってより事実に近づくことができるという御遺族の気持ちはよく理解ができます。ただ、事実を知ることが真の目的なら、ほかにも様々な方法があるのではないか。例えば、モニターを使った傍聴もその一つですし、あるいは被害者遺族と裁判官とのパイプ役である調査官制度をもっと機能するようにつくり変えるなど、いろんな方法が考えられると思います。
 そうした数ある選択肢の中で、なぜ被害者遺族の傍聴という方法を選択されたのでしょうか。法務大臣に伺います。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど丸山議員の御質問で、非常に重要な部分があったと思います。というのは、被害者中心に物を考えろと。被害者の尊厳というものが軽んじられていたのではないかというようなことで、犯罪被害者等基本法あるいは計画を作ってやっていると。私たちはいつもそのことを何度も御説明しているわけですが、そのことだけで被害者が救われるというのか、それは次元が同じ部分もあるが違う部分もあるのではないかと、こういうふうに指摘をされますと、そのとおりであって反論はできないという思いがあります。
 今の松浦先生の御質問も、確かにいろいろな側面があって、簡単に割り切ってお答えできることではないのかもしれない。ただ、審判結果の通知だとか今回の改正法よりも狭い記録の閲覧、謄写とかあるいは意見を表明するということだけでは、幾ら何でも、例えば最愛の御家族を失った被害者の遺族の方々にとってはそれは不十分であると。そういう中で、法務省関係法律として、あるいは司法手続の中で何ができるかということで、一般の大人の事件では被害者参加制度というのができたわけでありますし、どんな御希望を被害者の方々がお持ちであろうかということを我々も調べましたし、法制審も意見を募ったわけです。
 先ほどちょっと申し上げましたが、少年犯罪被害当事者の会の会員の方から、少年はどんな態度で何を言うのか、裁判官や弁護士がどんな質問をしてどう答えるのか、被害者遺族の思いをどこまで理解しているのか、そういうところが知りたいんだと。これ切実な思いだと思うんです。知ったからといってすべてが救われるわけでないことは、その傷がいえるわけではないことはよく分かりますが、しかし切実な思いでそうおっしゃっている。
 あすの会会員の方は、可能だったら傍聴に来たかったです、当時、弁護士の先生から裁判所での流れを教えていただいておりましたので、じかに少年の発言や態度を見てみたかったですと。死亡事故の場合は目撃者もいなければ片一方の証言だけが正当化されがちですから、その証言が慎重なものか、死亡した被害者の遺族としても聴けるのがいいと思いますと。これは本当に切実な思いだと思うんです。やはりその辺を反映させようと思いまして、被害者あるいは遺族の傍聴ということを提案をさせていただいているわけでございます。
 ただ、昨日本会議で松浦議員とは随分やり取りをさせていただきましたけれども、例えばモニターによる、これは後でまた御質問があればお答えしますが、モニターで審判を見るというのも、それは一つの方法として法制審でも議論された。しかし、直接、じかにという希望にこたえることにはならないということ。
 家裁調査官が審判状況を説明するということは、これはもう是非あるべきだと。私はそういう親切さが、被害者や遺族に対する親切さを裁判所が、家裁が示すべきだということを申し続けてまいりましたし、そのことが今回の修正案に盛り込まれたわけでございます。
 ですから、モニターについては今後の課題でございますけれども、先生の質問内容から言葉を選ぶならば、モニターとか家裁調査官による説明というものは、今後全部合わせて、すべてを実行することによってより被害者に厚いものにしていきたいと、こう思います。

○松浦大悟君 モニターについてなんですけれども、情報が外に漏れるんじゃないかということはさておきまして、実際に目で見るのとモニターで見るのと、その違いは大臣はどの辺りにあるというふうにお考えになっていますか。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私、それは被害者や御遺族でどういう希望をされるかという方によって違うんではないかなと。とにかく直接、同じ部屋で同じ空気の中で顔を見たいと、やり取りを聞きたいと思われる方が多くおられると思いますし、逆に、やっぱりそういうふうに直接傍聴をすれば、ふさがりかけた傷からまた出血するというような思いで、ちょっと離れた状況で、つまりモニターで傍聴したい、その方が少しでも気が楽だと、そうお思いになる方もおられるでしょうし、私は、被害者や遺族の方々のお気持ちによって両方あるだろうと、分かれるだろうと、こう思います。

○松浦大悟君 私は、やはり傍聴できるようになっただけでは御遺族の方たちのお気持ちというのは充足されることはないだろうというふうに思っています。傍聴は一つの大きな方法だとは思いますけれども、それだけではなくて、例えば調査官から話を聞いたりなど、様々な方法をミックスしてやらなければならないと思っています。
 被害者の事実を知りたいという気持ちに少しでも多くこたえていけるようにきめ細かな対応が必要だというふうに思いますが、そのことが本改正案の本来の趣旨ではないかと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(鳩山邦夫君) もう全く先生おっしゃるとおりで、今おっしゃったようなことのためにこの改正案を提出をさせていただいているわけでございまして、被害者や遺族の皆様方の知りたいというお気持ちをどこまで充足させることができるかが課題だと思っております。
 もちろん、少年法というものに大きな立法目的があることは私は十分承知いたしております。しかし、犯罪の被害に遭われた方々、場合によっては最愛の家族を失った遺族の方々にしてみれば、加害者があるいは非行を行った人が少年であるのか大人であるのか、二十歳なのか十八歳なのか十六歳なのか十四歳なのか、あるいは今度も一つのラインが入っておりますが、十二歳なのかそれ以下なのか、それによって被害の方々の傷は大きく変わるものではない、そう思いますと、やはり少年法においてもその立法目的を害さない範囲の中において、被害者の方々や遺族の方々の審判を、その内容を知りたいというお気持ちを少しでも満足させられるように努力したいと、こう考えて改正案を出しております。

○松浦大悟君 とはいうものの、大臣、被害者の方たちの真実を知りたいという気持ちをおもんぱかって法改正を今回するわけですけれども、その場合に、結局は対審構造に限りなく近づいていくその端緒になるのではないかというふうに私は懸念をしています。
 事実が知りたいということでございますけれども、少年審判では厳密な事実認定が行われない傾向が強い。警察や検察の捜査もそのためにおざなりになってしまう傾向があると言われています。一般の公判のような対審構造がなくて、証拠の採用、不採用でやり合わない、もみ合わないわけですから、基本的に調書の取り方が甘いと言われています。これは、少年審判は刑事裁判ではないので、事実関係をはっきりさせることよりも少年の健全な育成を優先させるからだというふうに言われています。
 今回の被害者遺族の傍聴というのは、被害者遺族の方たちの事実を知りたいという思いの中から議論が起こりました。そうしますと、対審構造を導入しない限り、遺族の方たちが望むような事実というのは出てこないかもしれません。そうした場合に、遺族の方たちの思いというのはどんどん加速していってしまうだろうと私は予測をいたします。
 今回の法改正は対審構造に限りなく近づけていくその端緒となるのではないか、その可能性があるのではないかということについては、大臣、どのようにお考えになっているでしょうか。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、対審構造に近づいていく端緒になるものとは思っておりません。それは少年法第一条の法目的がありますし、そもそもが家庭裁判所における少年審判というものが非常に職権主義的な考え方、つまり当事者同士のやり取りという当事者主義でなくて職権主義であって、言わば家裁の裁判官にかなりの部分が任されるという形で行われるという、その基本の枠組みは、これは現在のところ全く変える必要もないし、また変えてはいけないものと考えておりますので、今回の法改正は、あくまでも被害者やその遺族の方々の尊厳をより重んじようという観点からのものでございまして、対審構造に近づけるというような思いは全くありません。
 私は、少年法の今までのずっとの沿革を知りませんけれども、言わば原則逆送の問題とか、あるいは逆送年齢を引き下げてきたということからも、よほどの凶悪性があって一定の年齢であるならば刑事裁判という仕組みができておりますので、いわゆる少年審判に係るものについては、それは対審構造とは無縁のものにしなければならないということは大原則なのではないでしょうか。

○松浦大悟君 逆に傍聴したことによって加害少年の心ない言葉に被害者遺族は傷つけられるという心配もあると思うんです。被害者遺族のケアについても考えておく必要があるというふうに思います。
 先ほど来、この被害者遺族のケアについては法務省の中だけの問題ではなくて関係省庁と連携を取り合いながらやらなくてはいけないというお話が出ていますけれども、法務省に伺いますが、他省庁との連携、研究を行うおつもりはおありになるでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) 審判の傍聴をした被害者の方が少年の言葉で傷つくこともあり得るのではないかというような御指摘でありました。
 実際に被害者の方々が審判を傍聴した結果どのような感情を抱くことになるか、これは個々の事件によって異なると考えられますし、また傍聴中に負担を感じた場合にはもちろん退室することも可能なわけであります。
 もう一つ、この法律案の中では、審判傍聴を認めるに当たりまして、被害者の方々に二次被害が生じることのないようにする観点から、傍聴する方の不安や緊張を緩和するために適当な人を付き添わせることができると、こういう制度が設けられております。
 その上で申し上げますと、仮に傷つくというような事態が生じた場合、現在、日本司法支援センター、いわゆる法テラスや検察庁におきましても、被害者の方々から御相談がありますと、精神的支援を行っている関係機関や団体を紹介するというような支援活動を行っているというように承知しております。
 法テラスの紹介先の例といたしましては、臨床心理士会の相談窓口あるいは医療機関に置かれた相談窓口等も紹介しているということでございます。また、検察庁の方でも、女性のカウンセラーとか臨床心理士のいる地方自治体の相談機関と連携をしているというようなことも聞いておりますし、また民間の犯罪被害者支援センター等とも連携関係を取っているというようなことを聞いているところでございます。

○松浦大悟君 この傍聴に関しては、加害者と被害者が対面することが和解の第一歩になるのではないかという御意見もあるんですけれども、私は、短い審判過程で加害少年の心の変化を期待するわけにはいかないというふうに思っていまして、長いスパンで考えていかなければならないと思います。そうしますと、やはり少年院における教育ということが問題になってくるだろうと。
 少年院での教育について、改善もされていると伺うんですが、いまだに再犯率は六〇%以上を占めていまして、高いですよね。この問題点というのはどの辺りにあるのか、伺わせてください。

○政府参考人(梶木壽君) まず、少年院では問題群別指導というのをしておりまして、個々の少年が持っている問題に合わせて特有の教育をするということをしてきておるつもりでございます。
 例えて言えば、薬物でいえば薬物を断つ指導をするようにしておりますし、今議論をしていただいております被害者が生じているような事件を犯してきた子供たちに対しては被害者の視点を取り入れた教育というのをしております。これは、最近特に重大な結果を伴う事案が多いものですから、今御指摘があったように、できる限り再犯を減らしたいということと同時に、やはり少年の心を自分たちのやった非行にしっかりと向き合わせる、そして被害者の心情を十分に理解させる、その上で誠意を持って対応していけるような、そういった素地、土台をつくってやろうということでやっておるところでございます。
 これは相手方がある話でございますので、他の問題群別指導と比べますと若干センシティブな部分がございまして、少年の両親がどういうふうに考えているかとか、あるいは被害者の皆さんが少年の謝罪を受け入れる気持ちになっておられるかどうかとか、そういったことも踏まえて検討しておるわけでございます。
 こういったことを少しずつ積み重ねて、いろいろな分野での再犯ができる限り少なくなるように地味な努力を積み上げているというのが実態でございます。

12:13, Wednesday, Jul 30, 2008 ¦ 固定リンク

 


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