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【農林水産委員会】平成22年5月18日(火)公共建築物木材利用促進法
○松浦大悟君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟です。
質問に入る前に、一言、宮崎県の口蹄疫についてお願い申し上げます。
口蹄疫の被害の拡大が止まりません。畜産農家の皆さんもがっくりと肩を落としていらっしゃいます。これまで政府としては対策本部をつくったり様々な努力をされてきたことは承知をしておりますけれども、畜産農家のことを第一に考えた更なる努力をお願いしたいと思います。できることはすべてやるという意気込みで対策に臨んでいただきたい、そのことをまずもって冒頭にお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
今日は、公共建築物等における木材の利用促進に関する法律案についてですが、民主党の政策研究会の中に森林・林業小委員会が設置されておりまして、今日お見えの梶原康弘議員が衆議院側の座長、そして参議院側の座長が私ということで務めさせていただいております。これまで森林・林業再生プランなどについて党の立場から検討をさせていただきました。そうした経緯も含めて質問をさせていただきたいと思います。
まず、修正案提出者の梶原議員にお聞きいたします。
今回の修正案では、木材の利用が林業の振興だけではなくて地球環境の面でも求められていることがより分かりやすく明記されていると思います。国産木材の利用が更に高まるような修正が衆議院でなされたこと、関係各位の御努力に敬意を表したいと思います。
ところで、今回修正された中には国の責務が追加されてございます。さらには、関係者の責務をなくし、事業者と国民の努力を新たに設けてあります。その目的と意義をお聞かせください。
○衆議院議員(梶原康弘君) 国の責務について三点追加をいたしました。
まず一点は、木材利用促進のための研究であるとか技術開発、あるいは人材育成をしなければいけないということ。第二に、建築基準法の見直しをするということ。そして第三に、木材利用促進のための財政上、金融上の措置に努めるという規定でございます。
特に、建築基準法については、一般的に木造は燃えやすいんじゃないかとか弱いんじゃないかと、こういった先入観があるのではないかと、こういったことから察せられるように、建築基準法においても木造について少し厳しい規定があるのではないかということでございまして、これをしっかりと検証して専門的な見地から見直してもらう必要があるのではないかと、こういうことでございます。
そして、もう一つ、関係者の責務規定について若干見直しているわけでありますけれども、木造利用の範囲というものを民間の住宅まで拡大をしたわけでありますけれども、そうした中で、国民の努力規定というか、そういったところも設けているわけでございます。国、地方公共団体、そして事業者、国民と、それぞれ明確に努力あるいは責務規定を設けて、より木造利用の促進を高めていきたいと、このように考えているところでございます。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
より一層国産材の利用促進を図る内容になったと高く評価をさせていただいております。
続いて、政府に質問させていただきます。
今回の修正案は、森林・林業再生プランの具体化の中で現在検討が進められている課題とかなり重なる部分があるのではないかと思っております。
今回の修正で、国の責務として、木材利用の促進のための取組への支援や規制の改革、研究や技術開発、人材育成等の措置の努力などが盛り込まれましたが、これによりまして政府としてはどのように取り組まれるか、御決意をお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
今、修正案提出者の梶原議員からも御説明いただきましたけれども、より一層木材利用の促進に向けて、公共建築物だけではなくほかの住宅、公共施設についても更に利用を進めていくと、そういった内容を盛り込んでいただいたことは、非常に木材の利用の促進に向けましては大きな力になっていくのかなと思っております。
そういう中で、今回のこの法律でありますけれども、まずは、一つの起爆剤として、木材利用全般の拡大を図るための起爆剤として、何とかまずは公共建築物、そして一般住宅、そしてその他の公共物ですね、そういったものを進めていきたいと思っております。
具体的に、政府といたしましては、例えばまずはやはり一番見えるところですね、シンボル的に一番見えやすいところ、公共建築物の木造化、木質化を図ることによってやはり多くの人に木造の建築を知っていただくと、そういった効果が期待できるんではないかと思っております。
それから、やはり木造は弱いですとか、火事に弱いんじゃないか、耐火を考えたときにはやはり木造は駄目なんじゃないかといった声がありますけれども、そうではないと、耐火性能に優れたそういった木材製品の技術開発それから実用化、こういったものも図っていかなければいけないと思っておりますし、今なかなか強度が弱いということで使われていないはりの部分なんかにも使えるような、そういう技術開発も進めているところです。
更に言えば、やはりこういった技術の開発とともに、さらにそれを使う人、それを造る人、そういった人材の育成も必要だと思っておりまして、木造の設計に対応可能な建築士の育成というのも進めていかなければいけないと思っています。これにつきましては、当然、建築士や大工さん、工務店等に対する技術講習会なども実施しなければいけないと思っておりますし、また、そういった建築を担っている国土交通省さんとも密接に連携する中で様々な人材育成、それから検討会、そういったものも開いております。一つの具体例を申し上げれば、木のまち・木のいえ推進フォーラムと、こういったものを共同で開催しておりまして、この中で人材育成それから住宅業界のニーズに応じた体制づくり、そういったものも進めています。
いずれにいたしましても、しっかりと様々な連携の中でこういった取組、後押し、人材育成、それから制度面の充実、そういったものをきちんと取っていきまして、まさにコンクリート社会から木の社会へと、そういった転換を図るべく更なる推進を進めていきたいと思っております。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
舟山政務官が、木は弱いのではないかという先入観があるという話、今伺いましたけれども、私の地元秋田県の北部には大館樹海ドームという建物があります。この大館樹海ドームの屋根の部分には二万五千本の秋田杉が使われている。ここではサッカーですとか野球といったスポーツ、それからコンサートなども行われているんですね。当時これができたときに、ああ木材を使ってこんな建築物ができるんだと大変驚いた記憶がございます。秋田県では、このほかにも新しくできる小中学校にはほとんど秋田杉が使われていますし、町営住宅などにも使われている。そうした意味におきましては、この法律に先駆けて先進的な取組をしている県ではないかというふうに自負をしております。この法律ができることによって更に木材の利用が促進するのではないかと秋田県の林業関係者も大変期待をしているところでございます。
それで、今回新たに国民の努力規定が設けられました。この件についてお伺いしたいんですが、国民の木材利用を増やすためにはまずは国民の皆さんに木材に関する正しい情報を得てもらわなくてはならないと、その上で木材を魅力的なものだと感じてもらわなくてはならないと思います。
その意味で、国や地方自治体による木材普及の取組が重要だと考えますけれども、特に地方自治体による地域木材の普及の取組は木材の地産地消の面でも大変重要だと思います。国及び地方自治体においてどのように普及促進を図るお考えか、お聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君) ありがとうございます。
まさに委員御指摘のその秋田県の事例などは、木材でこんなことができるのかと、そういった実際の事例としてもっと広く全国民に紹介していかなければいけないなと思っております。
そのほか、各地において様々、今まで木では無理だったんではないかと思われる施設に対して相当今木材の利用が進みつつありまして、そういった事例をまずはしっかりと普及していくと。これはやはり国の大きな責任なのかなと思っています。
更に言えば、国は、今回の法律におきまして木材の利用促進に向けて基本方針を作ることになっておりますので、そういう基本方針を作り、また、国土交通省さんで整備を予定しております木造建築物に係る官庁営繕の技術基準、こういったものについて広く地方公共団体などへ周知することも必要ではないかと思います。やはり地方段階では、これには木は使えないなという、先ほどから先入観という言葉を何度か言っていますけれども、なかなかそういったところが払拭し切れないような状況がありまして、そういった基準をしっかりと作る中でやはりまずは周知をしていくと。まず国から地方公共団体、そして地方公共団体から住民段階へとしっかりと周知をしていくことが必要なのかなと思っています。
その手法といたしまして、各種シンポジウム、キャラバン、ホームページの開設などでPR活動を積極的に展開していかなければいけないと思っておりまして、特に一般住宅につきましては、戸建てでは八割ぐらいが木造なんですけれども、外材に押されている部分がかなりあります。その外材を国産材に置き換えていくという意味におきましては、やはり地域産材がきちんと使えるような仕組みづくり、これも先進事例が幾つかありますので、そういう事例紹介、それから製品開発、あとは地域段階での、せっかく近くにある山の木をきちんと加工して供給できる体制の整備、こういったものも応援していかなければいけないと思っています。
いずれにいたしましても、今日は国土交通省から長安政務官にも来ていただいておりますけれども、しっかりと国土交通省さん、それから学校でいえば文科省さんとも連携をしなければいけないと思いますけれども、そういった関係各省と連携しつつ、住宅などにおける国産材利用が図られるように、必要な情報提供それから施策、しっかりと進めていきたいと思っています。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
ところで、国産材を十分に活用するためには路網整備をしっかりとやって間伐材を運び出さなければいけない。ところが、その路網整備をするときに、木を切りたくても山の持ち主が分からないというケースが大変多いというふうに伺っております。地籍調査や土地分類調査などが進んでいないと。
内閣府が行ったアンケート結果によりますと、森林の所有境界が明確になっていない場所が七割以上あると答えた自治体が一五・九%、五割以上が二五・〇%、三割以上が二〇・〇%ということで、確定作業は年々難しくなっているんだそうです。
例えば、財産を分けるときに山を分割して相続した子供たちが都会に行ってしまってどこに住んでいるのか分からないといったようなケース、こうした場合だと所有者を捜すといってもこれは大変困難な作業になってしまうということなんです。
今、どんな荒廃林であっても所有者の許可がなければ木を切ることはできないようになっている。そうではなくて、森林というのは確かに個人の財産ではありますが、それと同時に社会共有の財産でもあるという、こういう観点から、所有者が分からない場合には、その地域の人たちの合意があれば整備のためであれば木を切り出せるような何か公的な仕組みというかシステムがあるべきではないか、そういう仕組みをつくるべきではないかというふうに思うのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
今の御質問の中にもありましたけれども、やはり森林という、特に民有林であれば私有財産なわけです。これを何の手続も経ずに、何というんでしょうか、周りの人がそういった社会的な要請の中で勝手に整備をする、勝手に切ったりするというのは、やはりこれは財産権の侵害にも当たりますので、なかなか厳しいのではないかと思います。
それよりも、むしろなぜ関心をなくしてしまったのか、なぜ放置したままそれこそ都会に出て、本来、財産価値があるものであれば、そんなもったいない、放置なんてしないわけであって、やはりそこのところの問題をもう一度見直していかなければいけないと思います。やはりそこが、財産価値のあるものなんだ、しっかりと整備をして切って売れば一定程度の収入があるという、こういう流れをつくることによってやはり所有者に関心をまず持っていただくということ。
それから、なかなか個別で施業をしても採算が取れない、もうからないといったそういう状況に対しまして、やはり集約化をしてしっかりと採算が取れるような、そういった仕組みも応援していかなければいけない。ここのところ集約化施業というものを推進しているわけなんですけれども、そういう取組を通じてまずはやはり森林に、自分の持っている財産に興味を持っていただくと、そういった取組が必要なのかなと思っています。
そういう中で、今御指摘がありました、実際にこれからしっかりとした森林を育てていく、まさに地球温暖化にも貢献し、きちんとした木材を供給していくという体制を取るために、やっぱり一定の管理、まさに間伐をしなければいけないわけなんですけれども、境界が不明確ということで間伐が進んでいないという事例が本当にたくさんあります。
そういう中で、今、農林水産省においてはその境界の明確化のために森林整備加速化・林業再生事業というものをこれ実施しておりますし、それから、この境界の明確化ということについては、これもまた国土交通省さんときちんと連携していかなければいけないんですけれども、山村境界基本調査というものが国土調査事業として位置付けられておりまして、まさにこの地籍調査をしっかりと進めていくと、今までもやっていただいているんですけれども。
これから次期国土調査事業十箇年計画というものが策定されるところなんですけれども、これについての、今、前段の調整を鋭意進めているところですけれども、これについても国土交通省と一層の連携を強化して更に境界の確定作業を図っていく、加速化していくと、そういった方向で今合意をしているところでありますので、こういったものもしっかりと進めていきたいと思います。
更に言えば、さっきの話に戻りますけれども、やはりもうかるようなしっかりとした事業を行えるような仕組みづくりですね、これについては、施業集約化・供給情報集積事業といったものがありまして、今、不在村地主さんとか、なかなか、いいよ、もう、もうからないからやらないよといった人たちに働きかけて、しっかりと集約化施業ができるような、そういう仕組みもつくっておりまして、かなりコスト提案をして、ちゃんと収入があるというようなこともやっております。
いずれにしましても、昨年十二月に公表いたしました森林・林業再生プランを踏まえまして、森林整備の意欲を高める、もうかる林業の実現に向けて、集約化施業、それから森林整備の在り方、今鋭意、幾つかの委員会に分けまして検討しているところでありますので、こういう結果も踏まえて更なる必要な施策をこれから推進していきたいと思っております。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
それから、忘れてはならないのは、持続可能な森林資源をつくっていくためには生物多様性の観点からも考えなくてはならないと思っています。山が荒れることによって野生動物が里に下りてくるケースが増えております。
林業として産業に活用するゾーンと、そうではなくて、野生動物の生息地域を守るために例えばブナなどの広葉樹を復元させるゾーン、こうしたしっかりとしたゾーニングを行っていくことが大切だと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) ありがとうございます。
御指摘のとおり、森林は様々な動植物が生息、生育し、複雑な生態系を構成するなど、生物多様性の保全において重要な要素でありまして、間伐の適切な実施とともに広葉樹林など多様な森づくりを進めていくことが重要な課題だと認識しております。
かつては、特に国の造林、植林というものは針葉樹にかなり特化したような状況がありましたけれども、やはり今ここに来まして、すべてが針葉樹林で植林をするべきじゃないという、そういった方向に徐々に今転換しておりまして、やはりある部分は広葉樹林をもっと育てなければいけない、若しくは針葉樹と広葉樹の混交林の育成によって豊かな生態系をはぐくむべきではないかと、そういった方向に随分と政策が転換しております。
そういう中で、多様な森づくりというのをこれから推進していくという方向に、特に平成十八年の基本計画におきまして相当大きく方向を転換しておりますので、そういう中でこういったまさに多様な森づくり、豊かな森づくりによって生物多様性をしっかりと保護していくと。まさに今年はCOP10、生物多様性締約国会議が名古屋で開催されることもありますので、そういう観点も含めて、しっかりと森林の整備、生物多様性の保全に寄与していきたいと思っております。
更に言えば、今、保護林というものを全国八百四十一か所設定しておりまして、委員の御地元の白神山地もそうですし、私の地元の朝日山地もそうなんですけれども、そういった保護林というのはやはりきちんと整備、保護をしていくと、そういったゾーニングもしておりますので、そういう中で生物をしっかりとはぐくむ、豊かな森をつくる、それはひいては環境にも貢献すると、そういう役割をしっかりと果たせるような森づくりをこれからも進めていきたいと思っております。
○松浦大悟君 済みません、最後に長安政務官にお伺いしたいと思います。
建築基準法の話、先ほど来出ておりますけれども、この建築基準法を見直し、伝統的な構法を再評価しようじゃないかという声が広がっております。アメリカ由来のツーバイフォーだけではなく様々な建築様式があってもいいということで、実は今日は伝統的建築文化を継承、発展させるための法整備を求める院内集会も行われていて、大工さんたちが様々な提言をされております。
国交省も二〇〇八年から見直しをされていると伺っているんですが、どのような議論になっているかお聞かせください。
○大臣政務官(長安豊君) お答え申し上げます。
我が国におきましては、伝統的に培われた技術、技能を活用して、木造住宅さらには建築物を造ってきた歴史がございます。このような伝統的構法による木造住宅、建築物の振興を図っていくことは、林業さらには製造業を含めた木造住宅等の関連産業の活性化の面、さらには伝統的建築文化の継承という面からも重要な課題と、国土交通省として認識をしておるところでございます。
このために、先ほど来お話のございました伝統的構法の設計法の作成及び性能の検証、これに関する検討をこの間進めてまいりましたし、また、今年度から検討体制を見直しまして、石場建て構法について実大の振動台実験を行うなど、伝統的構法の調査をより積極的に進めておるところでございます。
引き続き、地域ごとの特性を踏まえた伝統的構法による木造住宅等の振興につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○松浦大悟君 ありがとうございました。
終わります。
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10:00, Tuesday, May 18, 2010 ¦ 固定リンク
【決算委員会】平成22年4月26日(月)後半
○松浦大悟君 次に、米麦の管理勘定について伺いたいと思います。
米と麦の管理勘定については、幾つかの観点から一般会計化については議論が分かれていると思います。赤松大臣、率直に、この米麦の管理勘定の一般会計化についてはどのように思われているか、お聞かせください。
○国務大臣(赤松広隆君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
米麦の売買事業につきましては、米麦の売払い代収入という特定の歳入をもって米麦の購入費という特定の歳出に充当しておりまして、費用と収益の対応関係が成立することから、財政法の第十三条第二項が規定する特別会計の設置要件に該当しているというふうに理解をいたしております。
多分、委員の趣旨は、特別会計ではなくて一般会計で行ったらどうかというお話だと思うんですけれども、一般会計で行ったときには、実は幾つかの問題点があるというふうに考えております。
例えば、買入れ等に必要な経費の全額を毎年予算として計上する必要が生じますので、そうしますと一般会計の予算規模が著しく増加をいたします。今、農水省の予算が大体二兆四千億、今年の二十二年度規模でですね、ぐらいですから、これに、二十年度の米麦の買入れ費等の決算額でいうと五千百四十六億円だと。じゃ、こういう事情なんで三兆円お認めいただけますかと言って、財務省が認めてくれればいいんですけれども、まず認めないでしょう。そうすると、じゃ、どうしてそれを手当てするかということになるものですから、そういう意味で、表向きの予算規模が大変多くなり過ぎるということと、あと特別会計の意味ということは、機動的なやっぱり予算措置が可能であると、そういう対応がしやすいということがあるものですから、そういう意味で特別会計の方が余計、特に穀物相場というのは変動が大きいものですから、そういうことを考えればそういう形での取扱いの方がいいのではないかというふうに思っております。
いろんなあと理由もありますけれども、一般会計化というのは一つの考え方でありますけれども、要は特別会計であってもきちっとした、中身が透明性を持って公正に措置をされるということであれば私は特別会計でやっても問題はないのではないかと、このように思っております。
○松浦大悟君 この米麦の管理勘定につきましては、入りと出の赤字分がチェックができにくくなるのではないか、一般会計化してしまうとというような問題点も指摘をされていて、なかなか特別会計から一般会計へというのは私も難しいんじゃないかというふうに認識をしているところでございます。
最後に、今日は大潟村の方々から要請のあった精米表示の問題についても伺おうと思ったので、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、最後に大臣に農業経営安定勘定について伺いたいと思います。
これから戸別所得補償制度の本格実施に際して、どのような制度設計をするかによってもこれは違ってくるとは思うんですけれども、制度設計によっては特別会計でやらなくてもいいという場合もあり得ると思うんですが、その場合、これまで消費者や製粉企業から負担していただいたマークアップ分などを徴収する根拠はなくなってしまうというような問題も出てくると思います。
特別会計改革と戸別所得補償制度の本格実施について、今の段階で大臣、どのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
○国務大臣(赤松広隆君) これにつきましては、まず結論から言わせていただくと、今、モデル事業も本年度からスタートしたところですし、まだどれぐらいの参加者が、六月三十日が締切りなものですから、委員のお力添えや御努力もあって、秋田県は今まで一番造反者の多かった正直言って地域なんですが、今度は大潟村ばかりじゃなくてほかの地域も含めて非常に、秋田県、それから福島、千葉というところが今まで一番生産調整に余り協力的でなかった県なんですが、そういうところが積極的に今回は協力していただいている傾向が見えます。
そういう意味で、六月三十日を一応締切りをもって戸別所得補償制度の参加の実態等を把握したいと思っていますが、とにかくこのモデル事業がまずどういう形で進んでいくのか、どのぐらいの参加者の中でどういう期待感を持って皆さんに取り組んでいただけるのか、そういうのを見ないと、これを安定対策と一緒にしてやれるのかどうかということもあるものですから、ちょっとこれはもうしばらく慎重に検討をさせていただきたい。
ただ、どちらにしても、農業者にとって一番いい形は何なのか、それを考えながら、もう少し検討を続けていきたいと思っております。
○松浦大悟君 ありがとうございました。
赤松大臣、郡司副大臣、舟山政務官、御退席くださって構いません。ありがとうございました。
次に、エネルギー対策特別会計の剰余金、不用額について直嶋大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
エネルギー対策特別会計における剰余金は、エネルギー需給勘定を中心として毎年度高水準で推移していまして、決算委員会の審議でも度々取り上げられております。二十年度決算で見ますと、収納済歳入額二兆六千七百二十八億円に対し、支出済歳出額は二兆三千八百十九億円で歳計剰余金二千九百八億円、うちエネルギー需給勘定二千五百三十億円が発生しております。
それで、二十年度の不用額がどうなっているのかといいますと、お配りした資料を御覧ください。この資料の一番右でございますけれども、二十年度の不用額は二千十四億円、うちエネルギー需給勘定千七百五十四億円となっております。
この資料を御覧になって分かるとおり、十九年度が三千三百三十二億円、十八年度が二千二百九十四億円とほとんど変わっておりません。どうしてこういう状況になるかというと、十九年度決算検査報告では、エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定において、過年度の実績を十分に考慮しないまま予算額が見積もられている等のため、予算額と実績額とで乖離が生じ、不用額が継続的に発生していて多額の剰余金が生じていると指摘をしております。
これを踏まえて、本決算委員会において、剰余金の必要額の再検討等を求める措置要求決議を去年の六月に行っております。これに対し、政府は今年一月、政府の講じた措置という報告書の中で、従前の予算の執行状況を踏まえ予算の見積りを行った結果、二十年度の不用額が十九年度決算三千三百三十一億円から二千十三億円に縮減したと報告をしておりますが、資料を見ていただいたとおり、不用額は例年二千億円から三千億円程度で推移していまして、縮減したと胸を張れるようなものではないと思います。
このように、エネルギー対策特別会計では、依然として多額の不用額が生じております。決算審査や検査報告で度々指摘されているにもかかわらず、残念ながら自公政権下では大きな改善は見られなかったと言わざるを得ません。
そこで、これまで直嶋プランなど特別会計改革に力を尽くされてこられた直嶋大臣、是非ともリーダーシップを発揮していただいて、今後の見直しをしていただきたいと思うんでありますが、その辺、御所見をお聞かせください。
○国務大臣(直嶋正行君) 御指摘の平成二十年度のエネルギー需給勘定における二千五百三十億円の剰余金なんですが、一つは年度内に執行が終了しなかったんですが、翌年度に執行する、もう支出先が決まっているものがこの中に含まれています。それからもう一点は、予算をより効率的に使うということで、支出額が減少した場合によって発生したものと、これらのものが含まれていると思っています。
それで、この財源になります石油石炭税及び電源開発促進税は、現在は全額一般会計に計上された上でエネルギー対策に必要な額が一般会計から繰り入れると、こういう仕組みになっています。先ほど、直嶋プランの話もしていただきましたが、あれを作った当時は、一般会計へ入らずにそのまま税収が特会に入る仕組みになっておりまして、歳出とはかかわりなく税収が絶えず入るということで、多額のお金がその特会にプールされてきたということでございますが、この点は既に改革をいたしておりまして、一般会計にいったん繰り入れた上で、予算を見積もった上で、それに該当するものを繰り入れていただくということになっております。
現在、その剰余金として残っているものについても、結果的にはエネルギー対策特別会計の財源としてなりますので、その結果として、さっき申し上げた一般会計からの繰入額はその分だけ減るということになります。したがって、一般会計の財源確保に貢献するとともに、余剰な資金が特別会計に留保されていないというか、されない仕組みになっているということであります。
ただ、今御指摘のように、そうはいってもこの措置を実行したのが平成十九年でございまして、それ以降もかなりの不用額、剰余金が残っていることは事実でございまして、さらにこれらについて的確に予算見積りをして、多額の剰余金が残らないような努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○松浦大悟君 それでは次に、エネルギー対策特別会計から支出されている補助金についてお伺いしたいと思います。
エネルギー対策特別会計は、設置目的にエネルギー需給構造高度化対策がございます。毎年度、新エネルギーの導入やエネルギー使用の合理化などの事業に対し巨額の補助金を出しています。例えば、二十年度決算検査報告では、タクシー事業者等に対するデジタル式GPSシステム普及に係る支援事業が行われていて、この特別会計からの補助金交付実績は、十八年度から二十年度で五十四社、八億六千四百九十万円というふうになっています。しかし、これは指標ですとか評価方法が適切に定められていなくて事業効果が測定できない状況となっていた事態が指摘をされております。この事業が、空車タクシーを減らしてエネルギーを効率的に利用することを目的としているのに、その測定に総走行距離が使われていて空車と実車の区別もされていなかったということが報告されています。
また、去年十一月の事業仕分におきましても、省エネ、新エネ導入促進のための補助事業など五つの補助金について、事業目的、必要性が明らかでないということ、補助金の金額が高過ぎるということ、効果の検証がなされていないなどの意見が出されまして、予算の縮減、予算計上見送り、廃止等が求められました。
しかし、資料を御覧いただきたいんですけれども、二十二年度予算におきましては、総額が二十一年度の千二十一億円に対しまして二十二年度が千百十四億円と増額になっている、大きな変化が見られません。例えば、住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金は、事業仕分での様々な指摘はこれからの検討ということで、予算額は二百・五億円から四百一・四六億円へと倍増をしております。もちろん、省エネですとか新エネの導入促進というのは鳩山政権が力を入れる温室効果ガス削減のために必要でありますし、しっかりと行っていかなければなりませんが、評価もできず、効果が分からないということであれば、より効果的な事業方法などを検討することもできないというふうに思います。
エネルギー対策特別会計からは、省エネ、新エネ導入促進のための補助金以外にも多くの補助金、委託費などが支出されています。これら補助金、委託費などについても効果の検証や予算縮減が必要なものがあると考えられますが、経済産業省としてはいつまでにどのように見直していくのか、お聞かせください。
○大臣政務官(高橋千秋君) 私の方からお答えをしたいと思います。
例示に出していただいた二つの事業、タクシーの方と太陽光パネルでございますけれども、両方とも省エネということで、鳩山政権の中では大変重要なものだというふうには考えております。
そういう中で、御指摘があったように、平成二十年度の決算報告で、このタクシーのデジタルGPSシステムというものは、この辺の赤坂周辺でもタクシーがずっと長い行列をつくって、ずっとガスをたいたままいるのを見ると、大変不効率だなというふうに私も思います。こういうものをなるべくなくしていこうということで、この事業が補助金を出してやっているわけでありますけれども、御指摘のように、これ実際に本当に効果があるのかどうかということの検証等について不十分だったというのは御指摘のとおりだろうというふうに思います。
そこで、すぐこの指摘を受けまして、この対策をすぐやりなさいということで、事業効果の確認評価について早急な対応を行うよう指導いたしまして、省エネデータを取得完了後九十日以内にちゃんと報告をしなさいということを記載をいたしました。そのほかにも、省エネ率の算定方法をきっちり記載するだとか、本来そういうちゃんと効果があるかどうか、当たり前のことでございますので、これについてはちゃんと対応するようにということを既に対応させていただいております。
それから、太陽光発電のことにつきましては、これ倍増しているというのは、実はこれ一キロワット当たり大体七万円の補助を出しております。普通の一軒の家だと大体三キロワットぐらい必要ですので、二十万円ちょっとぐらい補助金が出るんですけれども、昨年の前政権のときでありますけれども、このときは約七万件ぐらいの応募があるだろうという見積りで二百億円あったんですね。ところが、非常にこの応募が多くて十五万件ぐらいになってきたということで、これについては去年の秋段階で四百億ぐらい必要だろうということで見直しをしております。
その後、事業仕分の中で、様々なこの事務の方の効率を図りなさいというようなことの御指摘をいただきまして、このどこに配るかという部分をやっている団体の事務経費の縮減を我々の方はやりました。そこで、この補助金の交付団体の業務管理費を二十八億円から十七億円に減らしまして、十一億円減らしました。これは、個人の家庭に払う単価は一緒でございますが、数が増えておりますので、この部分の増額はもう今の省エネのことから考えると致し方がないところでありますけれども、しかし削れるところ、この事務経費等につきましてはきっちりと削りなさいということで、これについてはその部分を織り込んだ上で必要額を入れさせていただいております。
いつまでにというお話でございます。これはもうすぐできる段階で速やかに取組をしておりまして、今後もできるものから実施をしていきたいというふうに思っております。
それから、今日も仕分やっておりますけれども、省内でも一般に公開をいたしまして、行政事業レビューというのを省内独自にやらしていただいて、御指摘のようなものも含めて私たち独自に取組をしていきたいというふうに思っております。
○松浦大悟君 ありがとうございました。
時間がなくなってまいりました。
最後に、独立行政法人についてお伺いしようと思っていたんですが、お手持ちの資料の中に、NEDO、それからJOGMEC、JNES、この三法人について、天下りが多いだとか、一般の国家公務員に比べて給料が高いだとかという指摘がされております。これらをどう認識されていて、今後どう改善していこうというのを最後に一言お聞かせください。
○国務大臣(直嶋正行君) 松浦委員からの御指摘は、細部を別にすれば、全体的には随意契約や一者応札、ラスパイレス指数が高い、こういうことがあるのは事実でございます。
それで、今、高橋政務官からもちょっとお答えいたしましたが、私ども経産省として、独立行政法人の大胆な見直しをしようということで、既に一般有識者の方も含めて見直しを手掛けております。今月の九日に、事業の大胆な整理、金の流れの明確化、それから経営資源のスリム化を柱とする見直しの基本と直嶋三原則というのを発表しまして、この考え方に沿って十九日に、契約の競争性確保に向けた取組を含む所管独立行政法人の改革を発表させていただきました。
また、公務員OBが就任しているポストについても、鳩山政権成立後、任期が満了したものから順次公募を実施をいたしまして、その削減を図るといいますか、順次入れ替わってきておりまして、こういう取組通じて、今後とも独立行政法人の改革をしっかり実行していきたいというふうに思っております。
○松浦大悟君 質問を終わります。どうもありがとうございました。
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13:30, Monday, Apr 26, 2010 ¦ 固定リンク
【決算委員会】平成22年4月26日(月)前半
○松浦大悟君 民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟です。赤松大臣、郡司副大臣、舟山政務官、よろしくお願いいたします。
先週から事業仕分が始まりました。予算がどのような仕組みで成立していくのか、その過程を明らかにしていくということは、私は大変意義深いことだと思っております。お任せ民主主義ではなく、国民の一人一人が自分たちの税金がどのように使われていくのかということをしっかりとチェックできる、参加する政治への第一歩だと考えております。
私は、今回は事業仕分とは別の特別会計検証チームというのに入っております。決算の立場からもこの特別会計をしっかりとチェックしていくことも大変必要なことだというふうに考えています。今日はそうした観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まずは、その特別会計検証チームの検証作業で気になった点から質問をさせていただきたいと思います。
私は食料安定供給特別会計の担当だったんですが、農業経営基盤強化勘定の中に国有農地の管理という事業があります。これは、会計検査院の平成二十年度決算検査報告でも指摘されていることなんですが、これの三百二十八ページにございます。国が持っている農地というのは結構あるんですね。
簡単に言いますと、これは戦後の農地改革で国が小作人に売り渡すために不在地主などから買収した土地なんだそうです。大部分は小作人に売り渡されたそうなんですが、小作人が買い付けの申込みをしなかったりして、そのときに余った分があると。それが何と面積にして四千三百八十万二千七百十七平方メートル、東京ドーム九百三十七個分だそうです。単純に思ったのは、これがひょっとして農地として使われていないのであればもったいないことだなというふうに思いました。
これ、どれぐらいの農地がどのような状態であるのかということを疑問に思いまして、質問取りのときに農水省の方にお伺いをしたんですが、把握していないと言うんですね。数が多くて分からないというふうに言われました。会計検査院に指摘されたところは分かるんですが、すぐにはデータとして出すことはできないというふうに言われました。私、そんなことがあるのかなと思いまして、会計検査院に電話をして聞いたんです。そうしたら、ありますよと言うんです。会計検査院の方では、貸付けしているところはすぐに分かると、住宅として貸し付けたところは固定資産税評価額も分かりますと。ただし、農水省さんから預かったデータなので、農水省の許可がなければ先生にお出しすることはできませんというふうに言われました。
会計検査院も会計検査院だなというふうに私は思ったんですが、これはデータを管理しているのかいないのか。もしこれ管理していないのであれば随分ずさんな話だなというふうに思うんですが、まずその現状はどうなっているのかということをお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
まず、この農業経営基盤強化勘定で管理しております農地というのは、御指摘のとおり四千三百八十ヘクタールであります。この内訳といたしましては、農地等、これは小作農に売り渡すために買収した元々農地ですね、農地については六百二十九ヘクタール、それから開墾して農地にするために買収した山林原野、こういったものが三千七百五十一ヘクタールあります。それぞれ所在等については把握しておりますし、その貸付け、転用貸付けの実態というものもこちらで人数、面積ともに把握しております。
具体的に申し上げますと、この四千三百八十ヘクタールのうち、二十年度決算の数字でありますけれども、貸し付けられているものは、三千七百二十一人に対しまして二百五ヘクタール、全体の五・五%ですけれども、こういった形が貸付けという形で利用されております。逆に言いますと、これ以外のものは貸付けも売渡しもできていない、そんな土地だということで、こういった状況、私も委員からの御質問を受けまして、何でこんな状況になっているんだろうとちょっと調べさせていただきましたけれども。
これは言い訳するつもりも全くないんですけれども、やはりこれ、かなり古いものであって、基本的には当然農業者へ売却すると。それから、買受人がいない場合には買収前の所有者、若しくはもうお亡くなりになっていれば一般承継人に売却するということで速やかに処分することが基本になっているんですけれども、今までサボって何もやってこなかったのかというとそうではないんですが、なかなか、小作農に貸し付けている農地はやはり買うと高い、今は非常に、先ほど来の御質問の中でもお答えさせていただきましたけれども、やはり農業の収益性が非常に悪いということでなかなか買えない、だから借りたままにしてほしいということ。
それから、開墾して農地にするために買収した山林原野は、売り戻したいんですけれども、もう世代交代してそんなもの要らないという方が非常に多くて、買受け希望がないということ。そして、買受け希望がなければ一般競争入札による売却となるんですけれども、それについてもなかなか落札されないということ。
あとは、公図の上で買収したけれども、現状と公図が違っていて、その境界画定とか非常に手間が掛かるということもありまして、そうはいってもきちんと進めなければいけないんですけれども、そんな状況で処分が進んでいないと、そういう状況があります。
ただ、これについても管理費が掛かりますので、鋭意きちんと処理をするように、今まで以上に力を入れていかなければいけないなと思っております。
○松浦大悟君 これは私も調べるまで全然分からなかった話で、これ、国民の皆さんも多分そうだと思うんですよ。買手がいないという話なんですが、知らないからそういう情報はないわけですから、買おうにも分からないわけですよね。
この情報をオープンにしていただきたいなと思うんです。どこにどういう土地があるのかという住所を知りたいんです。それはお出しいただくことはできますでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) これは当然お出しすることはできます。
情報につきましても、例えば一般の不動産を取り扱っている方々と協力をしながら、いろんなインターネット上で情報を提供するとかそんなこともしているんですけれども、まだまだ足りないという状況だと思いますので、これからそういう努力は今まで以上に進めていきたいと思っております。
○松浦大悟君 都心だとかなり高額な土地の評価額になると思うんですけれども、これは時価でどれぐらいの資産額があるかということはお分かりになりますか。
○大臣政務官(舟山康江君) これは、この農業経営基盤強化勘定で管理している農地については国有財産台帳というのがあります。この台帳の中では簿価で評価されておりまして、この簿価の総計は四億円となっています。
これは、基本的には国有財産につきましては時価で評価しろということになっているんですけれども、幾つか例外がありまして、簿価で管理するべきだというものがあります。そのうちの一つがこの国有財産、これは元々は所有を目的とするわけではなくて売渡しを目的とするというものだということで、あえて評価替えをせずに元々の簿価で管理をしているような状況でありまして、これは国有財産法の施行令、それからその中で適当でないものとして財務大臣が指定するものと、そういった規則の中で定められているものであります。
○松浦大悟君 昨日、農水省の方にお伺いしたときに、その国有財産法施行令というのが財務省理財局長から各省各庁国有財産総括部局長あてに出されているんです。これに、食料安定供給特別会計の農業経営基盤強化勘定に所属する財産、これは、下記の財産は、国有財産の台帳価格を改定することが適当でないものとして指定されたので、命により通知するということが書かれているんですね。
なぜこういう通達ができたのかと聞いたら、いや、戦後、小作人に速やかに売り渡すことが前提だったので時価に計算する必要はなかったんだと、する必要がないということで、今戦後六十何年ですか、今日まで来てしまったということなんです。
ただ、現段階において売れていないわけですから、これ当時と状況が違っているわけなので、是非ともこれを時価で計算して国民にお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) 実際に、これ売渡しをするときには時価を基準に、そのときそのときで時価を計算させていただいて、その中の例えば十分の七というものを掛けて売却するとか、そういった形で売渡しをしているんですけれども、管理上その評価替えをすることが適当なのかどうか、それについては今後慎重に検討して、どうするのが一番売却が進むのか、その管理にとって一番いいのかということは慎重に検討していかなければいけないなと思っております。
○松浦大悟君 特別会計検証チームでは、簿価では意味がないと、是非時価で調べてほしいということでありますので、それも検討していただきたいと思います。
それで、私、独自に調べてみたんです。平成二十年度の会計検査で指摘された無断転用された国有農地の所在地ということで、例えば練馬区の石神井台というところですとか練馬区の関町南、足立区六町、葛飾区の宝町だとか今いろいろあるんですけれども、その中で江戸川区の中葛西というところがあります。
これは七百四十・一四平米の土地を無断に転用しているということなんです。この江戸川区の中葛西がどれぐらいの時価で土地の評価額があるかということで、インターネットで不動産屋を調べました。そうしたところ、これは駅から十分ぐらい歩いたところの土地だということなんですが、三百四十八・四八平方メートルで一億五千五百万円だということなんです。それで、この無断転用された国有農地、江戸川区中葛西は、七百四十・一四平米、坪に直すと二百四十坪くらいですから、ちょうど倍ぐらいですよね。単純計算で倍にすると三億なんです。
それで、それ以上かもしれない、もしかすると、駅に近ければですね。これぐらいの時価に直すと評価額があるということなので、これだけ財政難を大騒ぎしている中でもったいないと思うので、何とかこれを活用できないかなという気がするんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(赤松広隆君) 委員に申し上げたいと思うんですが、これは単に国有地と一般論で論ぜられれば今言われたとおりだと思うんですね。しかし、あくまでもこれは農地なんです。全国で四千三百八十ヘクタールあって、金になりゃ何でもとにかく売っちゃえばいいと、私、確かに今の石神井辺り、私も高校はあの辺り行っていましたから分かりますが、石神井辺りの都市化されたところは物によってはそういう売り方もあるかもしれませんが、四千三百八十のほとんどは、いわゆる優良農地にして日本の食料生産のためにといって開墾したり、あるいは大地主から取り上げて小作人の人たちにちゃんとした農業をやってもらおうというのが元々の趣旨の土地なんです。ですから、国の財政状況が厳しいというその視点は別に否定はしませんけれども、高く売れりゃ例えばパチンコ屋でもマンションだって何だっていいじゃないかと、たまたまある農地の中にぽこんとあるような土地もそこだけ農転ばんばん認めて何でも高く売れればいいということではちょっとないんじゃないかなと。
ですから、私は、それぞれの地域の用途に合った形、あるいは処分をすることによって財政にはプラスになるかもしれないけれども、しかしそこは本来優良農地として使われるべきだというものは、改正農地法じゃありませんけれども、むしろ以前よりももっと厳しく農転を認めないというぐらいのこともないとこれは国策としてはちょっとやっぱりまずいんではないかということで、いろんな多分場所もそれから用途もそれぞれ違うと思いますので、委員の御質問の趣旨は分かりますので、それに合った形で、本来ここはもう農地としてではなくてほかのもので考えた方がいいんではないか、その方がまた有効に生かせられるんじゃないかという趣旨は分かりますので、一回それでもってすべての国有農地については点検をさせていただくということにさせていただいたらいいんではないかというふうに思います。
○松浦大悟君 そうだと思うんです。
それで、大臣も調べていただきたいんですけれども、農地として使われていないものも結構ありまして、例えば東京都の都心部などでは無断転用されているものが多いというふうに聞いております。どのような形で転用されているのか、お聞かせください。
○国務大臣(赤松広隆君) 全体で四千三百八十ですから、これまた地域によって、私の地元の愛知県なんかは全部合わせても十ヘクタールしかないんですね。ほとんどもうないと言っても等しい自治体もあれば、東京なんかは、小作地として二十七ヘクタール、山林原野で十九ヘクタールということで合わせて四十六ヘクタールぐらいということですから、多分山林原野というのはずっと三多摩の方のあの地域なんだろうと、小作地ということは多分今言われた練馬区だとかそういうところの部分もあるんだろうなというふうに思いますので、これは一回そういう個々の、今申し上げたように、全国もいろんな状況があると思いますので点検をさせていただいて、そしてそれに対する基本的な考え方を整理をしてみたいというふうに思います。
○松浦大悟君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
都市部などでは店舗などになっていたりだとかという形で、農業以外に土地の利用価値が高いからだという理由だと思いますけれども、そういうふうになっていると。それでは、自作農創設といった本来の目的からは逸脱してしまうというふうに思うんです。特に、長期滞納ですとか無断転用など悪質な事例については、これ契約を解除するとかそうした措置が必要ではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) 基本的には農地としての国有地なものですからあれですが、今、政務官等にチェックをさせたところ、一部には転用貸付けもしているところもあると、多くはないと思いますが、そういうところもあるということですから、まずそれぞれの、トータルでいえば、さっきも何回も言いますが、四千三百八十なんてとてつもない広い面積、しかもそれが全国に点在しているという状況ですから、その実態について一度総点検させていただきたいと、このように思います。
○松浦大悟君 その今おっしゃった転用貸付地なんですが、公用ですとか公共用に利用するために学校ですとか公園などとして貸付けを行っているというところもあると聞いているんですけれども、それが今更戻ってくるとも思えませんし、そうすべきでもないと思うんです。それを売らずに貸付けのままにしているという理由というのは何かあるんでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) その公用の転用貸付けにつきましては、買受けの申出があればいつでも売却が可能ですし、できるだけ売却をしていくと、そういった方向で取り組んでおります。
ただ一方で、やはり地方公共団体などの厳しい財政事情があってなかなかその買受け希望も少ないと、そんな状況になっております。例えばこれ、転用貸付けですね、地方公共団体が非営利事業の用に供する場合については、例えばその土地の固定資産税評価額の百分の二で貸付けをしているわけなんですけれども、こういった場合に売却というのは可能なわけですけれども、今申し上げましたとおり、なかなか買受け希望も少ないという状況があります。特に、やはり都心でありますと非常にその評価額も高いということでなかなか厳しいという、そういった背景があると思います。
少なくとも、農水省というか国の方で、あえて売却はしないということではなくて、これ実際に、できるだけ、元々の趣旨は、やはり農業の用に供するために強制的に買収をして売渡しをしようといった土地ですけれども、今そういった時代の流れに応じて転用貸付けをしていると。この実態が、今把握している中で、全国で六百四十一件、約七十三ヘクタールという状況になっておりますけれども、こういったものですね、この中でなかなかその売却が進んでいないという状況については、やはりその原因等をきちんと精査した上で、そういった買受けが進むように自治体にも呼びかけていく、働きかけていくと、そういったことも必要なのかなと思っております。
○松浦大悟君 次に、全国農地保有合理化協会について伺いたいと思います。
これはどのような事業を行っているのか、協会の官庁出身者、いわゆる天下りの実態はどうなっているのか、積立金、剰余金の返納についてどのようにお考えになっているか、お聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
この全国農地保有合理化協会といいますのは、農地保有合理化事業ですね、これは県段階若しくは市町村段階の公社を通じまして農地の買入れ若しくは借入れの資金を無利子で貸し付けると、そういった事業であって、農地の移動を円滑にすると、そういった事業であります。
その中で、この全国農地保有合理化協会でありますけれども、これは県段階の各農業公社に農地の借入れ若しくは買入れの資金を無利子で貸し付けるための基金を保有しているという状況であります。その基金の状況ですけれども、平成二十一年度末の現在で五基金ありまして、基金総額は八百三十二億円という、そんな状況であります。
まず、これでよろしいでしょうか。
○松浦大悟君 食料安定供給特別会計のうち、この農業経営基盤強化勘定については特別会計でやる意義が薄れてきているのではないかというふうに感じております。都道府県に移管をして、それを国がいろんな面で支えていくような仕組みも検討すべきではないかと思いますが、この点に関してはいかがでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) ちょっと繰り返しになる場合もありますけれども、そもそもこの農地保有合理化事業というのは、県段階の農業公社が主体となりまして、規模縮小農家や離農農家から農地を買い入れて又は借り入れて、それを意欲のある農業者に売り渡し又は貸し付ける事業を行うものであります。
そういう中で、この社団法人全国農地保有合理化協会というのは、その基盤強化勘定からの交付金を原資とする基金によって必要な資金を公社に無利子で貸し付ける業務だということであります。事業仕分におきましても、基金について、既貸付金以外は国庫納付をすべきではないかと、そんな評決を受けたことから、二十二年度は四十一億円を国庫返納の予定であります。
これは、農地法も改正されましたし、二十三年度以降の基金の在り方につきましては、やはり農地利用の集積、有効利用、そういった上で重要な役割を果たしている保有合理化事業ですね、事業そのものはやはり非常に重要だと思っておりまして、今後の予算要求の過程でどうすべきなのか、そこはきちんと考えていかなければいけないと思っております。
ただ、委員御指摘のとおり、直接国から都道府県公社へ交付するべきではないかと、そんな御指摘もあるかと思いますけれども、この農地の買入れ、売渡しというのはかなり頻繁に行われておりまして、機動的に対応しなければいけないと思っています。そういう意味では、一般会計で都度都度対応するというよりは、やはり特会から一定の協会への基金方式による貸付けが一番今最適ではないかと、そんな考えの下にやっておるわけですけれども、協会を通すべきなのか、基金以外のやり方があるのか、そこも含めて今全般的に省内のこういった事業を見直しておりますので、その議論の中でこれも検討していきたいと思っています。 |
13:00, Monday, Apr 26, 2010 ¦ 固定リンク
【農林水産委員会】2月19日(金)後半〜畜産物の価格等〜
○松浦大悟君
ありがとうございました。
次です。
畜産業振興関連の独立行政法人や公益法人に天下りが多数いるということが事業仕分でも取り上げられました。民主党として天下りの排除、これはもうしっかりと行わなければならないということは申し上げるまでもないことではございますが、一方で、それによって畜産業を営む農家の方々に影響は出てはならないと思っております。
例えば、家畜流通安定緊急対策事業、これは農畜産業振興機構から助成を受けて日本家畜商協会が事業を行っているものですが、それぞれに天下りがいることが判明しております。しかし、家畜流通安定緊急対策事業の内容の中には子牛の預託事業など大切なものも含まれておりまして、農家の皆さんから継続を望む声もたくさん出されております。
家畜流通安定緊急対策事業はこれまで肉用牛の安定供給にも貢献してきていると思います。昨今の飼料価格の高止まりや長引く枝肉価格の低迷など、肉用牛経営をめぐる環境は厳しさを増す中でしっかりと支援を続けるべきだと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君)
今委員からお話がありましたけれども、組織や事業の必要性とその人事の在り方というのはまた切り離して考えなければいけないと思っております。御指摘のとおり、その天下りの問題等で改善しなければいけないところはしっかりとメスを入れつつ、ただ、今ある事業、組織そのものの必要性をしっかりと考えながら必要な事業を行っていかなければいけないと、そんなふうに思っております。
そういう中で、今回の畜産物価格関連対策の決定に向けましては、政務二役を中心といたしました現地視察、その中で本当に、今、松浦委員からも様々御指摘がありましたけれども、我々もその実態をつぶさに見てまいりました。また、農林水産政策会議におきましても生産者団体の要望等も伺ったところであります。そういった声を踏まえまして、二十三日ですね、来週の畜産部会においての意見も踏まえて必要な対策を打っていかなければいけないと、そんな基本認識でおります。
そういった中で、今御指摘の家畜流通安定緊急対策事業、これは子牛の流通活性化を目的としたものでありますけれども、これについてもやはり継続の要望があるということ、これは我々も承知しておりますので、そういった声も踏まえてその取扱いをしっかりと検討していきたいと思っております。
○松浦大悟君
子牛の預託事業は畜産農家にとって大変大切なものだと思いますので、万全の対策をよろしくお願いいたします。
次に、配合飼料価格安定制度について伺います。
通常補てんと異常補てんで十九年度、二十年度の価格急騰を緩和することはできましたが、高騰前の水準より大きく負担が増加してございます。現在、価格は小康状態のため通常補てんや異常補てんは発動しておりませんが、高騰前よりも一トン当たりおよそ一万円も価格が上昇したままになっています。今後の価格推移の見込みとそれに対する対応策をお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君)
配合飼料の主原料でありますトウモロコシの国際価格でありますけれども、二〇〇七年八月以降、アメリカにおけるバイオエタノール原料用需要、つまりは非食用需要ですね、こちらの方が非常に増えたということで高騰しております。更に言えば、穀物市場への投機資金の流入によって、二〇〇八年六月、一昨年になりますけれども、トン当たり約三百ドルという非常に大きな急騰を遂げたという、そんな状況であります。
その後、世界的不況によって畜産物需要が非常に減退したということ、それから豊作予想等で相場は急落しておりまして、現在ではその最高水準の半分ぐらいの百五十ドルと、そういう状況であります。これも高騰前の水準よりは高いと、そういうような状況でありますけれども、一方で、配合飼料価格安定制度につきましては、委員御指摘のとおり、短期的に、また、かつ急激に高騰したときにその影響を緩和するということを目的といたしまして、直近一か年の平均を上回った場合に上回った額を補てんするという、そういう制度であります。
配合飼料価格が高止まっていると、高止まっているけれども急騰という状況ではないために価格安定制度による補てん金が交付されていないという、そういう御指摘でありますけれども、実はこれ、畜産関係の経営対策におきましては高止まりしたその配合飼料価格を織り込んで、今、ですから高い価格を織り込んで経営安定対策の基準となるコストが計算されていると、そういう状況でありますので、そこは経営安定対策の中で、何というんでしょうか、反映できるような形になっていると思います。ですから、そこの水準を決めたその以降に急に上がったと、そこをやはり一定のコスト対策で埋めなければいけないと、それが配合飼料価格安定制度の目的でありますので、そういう状況であります。
今後とも、今後の飼料価格の動向もきちんと見極めつつ、きめ細かく対応した経営安定対策、そして価格安定制度を講じてまいりまして、畜産農家の経営安定にしっかりと努めていきたいと、そんなふうに思っております。
○松浦大悟君
ありがとうございました。
最後に、畜産業の振興についてお伺いしたいと思います。
秋田県では、平成二十四年度に鹿角家畜市場の一部と広域由利家畜市場、大曲家畜市場の三つを統合しまして、由利本荘市に大規模で近代的な肉牛市場を開設する計画がございます。県は、国の畜産担い手育成総合整備事業を活用し、事業費の五五%の補助を受ける方向で協議していたんですが、これが去年の十一月、国がこの事業の一部事業種目を廃止する方針を示したため補助を受けるのが難しくなりました。
畜産業の振興を考えますと、このような畜産市場の大規模化、近代化は大変重要だと考えるのですが、一般論としてで構わないんですけれども、畜産業の振興に対する国の支援の在り方についてお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君)
今、家畜市場のお話がありましたけれども、やはり市場そのものの重要性というのは、公正な取引それから価格の形成という意味では非常に重要だと思っております。また、中小の市場の再編統合を推進することによって活性化、コスト削減というその方向性もやはりしっかりと応援していかなければいけないと思っております。
今御指摘のありました、一部事業ができないのではないかという、そういうお話がありまして御指摘がありましたけれども、やはりまず流通の活性化とか市場の役割をきちんと配慮した事業の推進、応援というのはしていきたいと思っておりますし、今現在のスキームの中では、例えば強い農業づくり交付金でも支援できる枠組みがありますし、それから食肉等流通合理化総合対策事業というものもありまして、やはりそういった様々な事業を活用いただきながらしっかりと市場の活性化、取引の適正化を図っていただきたいと、そういったことを通じて畜産全体の振興をしっかりと地域レベルでも図っていただきたいと、そんなふうに思っております。
○国務大臣(赤松広隆君)
今委員御指摘のこの秋田県の総合家畜市場の統合計画につきましては、少しほかの事情も、当初六千六百頭というふうに見込んでいたのが実際にはそういかないんじゃないかということで、もう一回ちょっととどまってもう一度検討し直してみようということも背景にはあるようでございます。
しかし、どちらにしても家畜市場というのは、こうしたいわゆる生産が川上だとすれば川下のちゃんと受け入れるところが、ちゃんとまた正規に安定的に供給できるところがなければこれは市場は広がっていかないわけでございまして、そういう市場機能をきちっと果たせるような、そういうための応援を農林水産省としてもしっかりやっていきたいと思っておりますので、また個別なそういういろんなお話があれば前向きに検討させていただきますので、是非お話をいただきたい、このように思います。
○松浦大悟君
ありがとうございました。
以上です。
|
11:33, Friday, Mar 19, 2010 ¦ 固定リンク
【農林水産委員会】2月19日(金)後半〜畜産物の価格等〜
○松浦大悟君
ありがとうございました。
次です。
畜産業振興関連の独立行政法人や公益法人に天下りが多数いるということが事業仕分でも取り上げられました。民主党として天下りの排除、これはもうしっかりと行わなければならないということは申し上げるまでもないことではございますが、一方で、それによって畜産業を営む農家の方々に影響は出てはならないと思っております。
例えば、家畜流通安定緊急対策事業、これは農畜産業振興機構から助成を受けて日本家畜商協会が事業を行っているものですが、それぞれに天下りがいることが判明しております。しかし、家畜流通安定緊急対策事業の内容の中には子牛の預託事業など大切なものも含まれておりまして、農家の皆さんから継続を望む声もたくさん出されております。
家畜流通安定緊急対策事業はこれまで肉用牛の安定供給にも貢献してきていると思います。昨今の飼料価格の高止まりや長引く枝肉価格の低迷など、肉用牛経営をめぐる環境は厳しさを増す中でしっかりと支援を続けるべきだと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君)
今委員からお話がありましたけれども、組織や事業の必要性とその人事の在り方というのはまた切り離して考えなければいけないと思っております。御指摘のとおり、その天下りの問題等で改善しなければいけないところはしっかりとメスを入れつつ、ただ、今ある事業、組織そのものの必要性をしっかりと考えながら必要な事業を行っていかなければいけないと、そんなふうに思っております。
そういう中で、今回の畜産物価格関連対策の決定に向けましては、政務二役を中心といたしました現地視察、その中で本当に、今、松浦委員からも様々御指摘がありましたけれども、我々もその実態をつぶさに見てまいりました。また、農林水産政策会議におきましても生産者団体の要望等も伺ったところであります。そういった声を踏まえまして、二十三日ですね、来週の畜産部会においての意見も踏まえて必要な対策を打っていかなければいけないと、そんな基本認識でおります。
そういった中で、今御指摘の家畜流通安定緊急対策事業、これは子牛の流通活性化を目的としたものでありますけれども、これについてもやはり継続の要望があるということ、これは我々も承知しておりますので、そういった声も踏まえてその取扱いをしっかりと検討していきたいと思っております。
○松浦大悟君
子牛の預託事業は畜産農家にとって大変大切なものだと思いますので、万全の対策をよろしくお願いいたします。
次に、配合飼料価格安定制度について伺います。
通常補てんと異常補てんで十九年度、二十年度の価格急騰を緩和することはできましたが、高騰前の水準より大きく負担が増加してございます。現在、価格は小康状態のため通常補てんや異常補てんは発動しておりませんが、高騰前よりも一トン当たりおよそ一万円も価格が上昇したままになっています。今後の価格推移の見込みとそれに対する対応策をお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君)
配合飼料の主原料でありますトウモロコシの国際価格でありますけれども、二〇〇七年八月以降、アメリカにおけるバイオエタノール原料用需要、つまりは非食用需要ですね、こちらの方が非常に増えたということで高騰しております。更に言えば、穀物市場への投機資金の流入によって、二〇〇八年六月、一昨年になりますけれども、トン当たり約三百ドルという非常に大きな急騰を遂げたという、そんな状況であります。
その後、世界的不況によって畜産物需要が非常に減退したということ、それから豊作予想等で相場は急落しておりまして、現在ではその最高水準の半分ぐらいの百五十ドルと、そういう状況であります。これも高騰前の水準よりは高いと、そういうような状況でありますけれども、一方で、配合飼料価格安定制度につきましては、委員御指摘のとおり、短期的に、また、かつ急激に高騰したときにその影響を緩和するということを目的といたしまして、直近一か年の平均を上回った場合に上回った額を補てんするという、そういう制度であります。
配合飼料価格が高止まっていると、高止まっているけれども急騰という状況ではないために価格安定制度による補てん金が交付されていないという、そういう御指摘でありますけれども、実はこれ、畜産関係の経営対策におきましては高止まりしたその配合飼料価格を織り込んで、今、ですから高い価格を織り込んで経営安定対策の基準となるコストが計算されていると、そういう状況でありますので、そこは経営安定対策の中で、何というんでしょうか、反映できるような形になっていると思います。ですから、そこの水準を決めたその以降に急に上がったと、そこをやはり一定のコスト対策で埋めなければいけないと、それが配合飼料価格安定制度の目的でありますので、そういう状況であります。
今後とも、今後の飼料価格の動向もきちんと見極めつつ、きめ細かく対応した経営安定対策、そして価格安定制度を講じてまいりまして、畜産農家の経営安定にしっかりと努めていきたいと、そんなふうに思っております。
○松浦大悟君
ありがとうございました。
最後に、畜産業の振興についてお伺いしたいと思います。
秋田県では、平成二十四年度に鹿角家畜市場の一部と広域由利家畜市場、大曲家畜市場の三つを統合しまして、由利本荘市に大規模で近代的な肉牛市場を開設する計画がございます。県は、国の畜産担い手育成総合整備事業を活用し、事業費の五五%の補助を受ける方向で協議していたんですが、これが去年の十一月、国がこの事業の一部事業種目を廃止する方針を示したため補助を受けるのが難しくなりました。
畜産業の振興を考えますと、このような畜産市場の大規模化、近代化は大変重要だと考えるのですが、一般論としてで構わないんですけれども、畜産業の振興に対する国の支援の在り方についてお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君)
今、家畜市場のお話がありましたけれども、やはり市場そのものの重要性というのは、公正な取引それから価格の形成という意味では非常に重要だと思っております。また、中小の市場の再編統合を推進することによって活性化、コスト削減というその方向性もやはりしっかりと応援していかなければいけないと思っております。
今御指摘のありました、一部事業ができないのではないかという、そういうお話がありまして御指摘がありましたけれども、やはりまず流通の活性化とか市場の役割をきちんと配慮した事業の推進、応援というのはしていきたいと思っておりますし、今現在のスキームの中では、例えば強い農業づくり交付金でも支援できる枠組みがありますし、それから食肉等流通合理化総合対策事業というものもありまして、やはりそういった様々な事業を活用いただきながらしっかりと市場の活性化、取引の適正化を図っていただきたいと、そういったことを通じて畜産全体の振興をしっかりと地域レベルでも図っていただきたいと、そんなふうに思っております。
○国務大臣(赤松広隆君)
今委員御指摘のこの秋田県の総合家畜市場の統合計画につきましては、少しほかの事情も、当初六千六百頭というふうに見込んでいたのが実際にはそういかないんじゃないかということで、もう一回ちょっととどまってもう一度検討し直してみようということも背景にはあるようでございます。
しかし、どちらにしても家畜市場というのは、こうしたいわゆる生産が川上だとすれば川下のちゃんと受け入れるところが、ちゃんとまた正規に安定的に供給できるところがなければこれは市場は広がっていかないわけでございまして、そういう市場機能をきちっと果たせるような、そういうための応援を農林水産省としてもしっかりやっていきたいと思っておりますので、また個別なそういういろんなお話があれば前向きに検討させていただきますので、是非お話をいただきたい、このように思います。
○松浦大悟君
ありがとうございました。
以上です。
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11:33, Friday, Feb 19, 2010 ¦ 固定リンク
【農林水産委員会】2月19日(金)前半〜畜産物の価格等〜
○松浦大悟君
御紹介いただきました民主党の松浦大悟です。
農水委員会では初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私の地元は秋田県なんですが、秋田県の畜産は二百九十五億円の生産額で、米に次いで農業生産の一六%を占める重要な産業となっております。秋田県には地域ブランドとしての秋田由利牛、それから三梨牛、皆瀬牛などがございます。先日、湯沢市で行われた小正月行事、犬っこまつりに行ってきたんですが、そこでも三梨牛のくし焼きの屋台が出ていまして、私もいただいてまいりました。一本四百円と値段は少々高かったのではございますが、大変おいしいと観光客の皆様にも大人気でございました。柔らかくて、中から肉汁がじわっと出てきて、さすが地元の誇る牛肉だなと舌鼓を打ちました。
しかし一方で、今月の九日、広域由利家畜市場で初競りが行われ、行ってきたんですが、子牛にいい値段が付かないんですね。景気の低迷などにより、去年に比べて平均三万三千円以上価格が下がりました。最高値も二十六万円以上下がりました。出品していた年配の女性に話を伺ったんですが、小遣いぐらい残ればいいけれどもよ、何も残らねえと。母さん、いつまで農家やってんだと子供に笑われてますって、本当に何とも言えない悲しげな表情で話してくださいました。
まじめに働く畜産農家がばかを見てはいけない、若い畜産農家の皆さんが将来に希望を持てるような環境を何としてもつくっていかなくてはならないと決意を新たにいたしました。
そうした観点から今日は質問をさせていただきたいと思います。
まず、地元の畜産農家の皆さんから、マル緊、補完マル緊事業について継続してほしいという声が強く出されているんですが、こうした声をどのように受け止め、現状をどのように認識をされているか、お聞かせください。
○副大臣(郡司彰君)
秋田が同じように畜産が大事な産業になっているということをよく知らせていただいたと思っております。
今御指摘がございましたマル緊や、そしてまた補完マル緊がありますけれども、それぞれ大変に関係する皆様方にとっては大事な制度だと、そして実質的には所得補償というかセーフティーネットの役割を果たしている、是非継続をしてくれというような要望をいただいているということも十分承知をしております。
ただ、二十一年度が事業の終期でございますから、改めてどのような形をするかということを考えていきたいという中で、継続という声が非常に強いんだという現場の声についてはよく留意をさせていただきたいと思っております。また一方で、もう少し分かりやすい形、あるいは一本化という中で補償というものがもう少しできないだろうか、そのようなことも出ているところでございますので、それらの意見をよく検討しながら内容について調べていきたい、そのように思っているところでもございます。
○松浦大悟君
マル緊と補完マル緊を一本化して使いやすくするという話を山田副大臣がされていましたけれども、経営者にとりましては、これまでより支援が減らないかどうか、これが一番の関心事だと思います。これまでの補完マル緊では物財費割れを補い切れなかった。セーフティーネットとしてはまだまだ足りない部分があるかと思うんですが、拡充についてはどう考えていらっしゃるのかということが一点と。
もう一つは、その一本化の中にステップ・アップ奨励金は入るのでしょうか。ステップ・アップ奨励金というのは一定の取組に対して支援を行うもので、戸別所得補償制度で言う環境加算などの加算制度に近いと思います。努力した農家により手厚くという民主党の考えにも近いと思うのですが、反映させる考えはあるのかどうか、お聞かせください。
○副大臣(郡司彰君)
今御指摘をいただきましたように、補完マル緊についても拡充というような形を考えてくれないかということでございますので、先ほどと同様に、マル緊、補完マル緊、両方を一つの考え方の中でこれからの方向性を含めて検討させていただきたいと思っております。
加えまして、ステップ・アップの事業でございますけれども、これは御存じのように、肥育牛経営等緊急支援特別対策事業ということの愛称として使われておりましたけれども、配合飼料価格の高騰対策として、生産性の向上でありますとか、あるいは自給飼料、エコフィードの利用など、飼料自給率の向上に資する取組に対してそれぞれ一万円、七千円、合わせて最大で一万七千円というものが交付をされてきたものだというふうに思っております。
一つは、配合飼料価格、高止まりということはあるにせよ、当時、この制度を設計したときとは大分事情が変わってきたということもございます。そして、これらの取組も定着をしてきたということもありますので、取りあえず、考え方としては、緊急の対策としては今年度で終期という形を取らせていただきながら、全体のところでは所得補償、セーフティーネット、経営そのものを全体でどうしてこれから考えていくか、先ほど別なところで大臣の方からも御答弁がございましたけれども、所得補償ということの関連の中で改めて考えさせていただければというふうに思っているところでございます。
○松浦大悟君
どのように制度が変わるにしても、これまでより農家の皆さんの手取りが少なくならないように、この一点だけはお守りいただきますようお願いを申し上げます。
それから、マル緊、補完マル緊は所得に着目した経営所得安定対策で、戸別所得補償制度にも近いというふうに考えております。民主党は、マニフェストで畜産や酪農についても戸別所得補償制度を導入すると約束をしておりますが、今後のスケジュール等どのような構想を抱いているのか、大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(赤松広隆君)
先ほども出ましたけれども、二十三年度からの戸別所得補償制度の本格実施の中で、何とかそれに間に合わせてやっていきたいと基本的には考えております。
今委員御指摘のように、旧来からの畜種ごとの経営安定対策については、セーフティーネットとして有効に機能しているという声もありますし、中には、この制度をきちっともっと充実することでもってやってくれという方も中にはおられますけれども、しかし、今後、こうした御意見を踏まえながら、米の戸別所得補償制度モデル事業や現行の今申し上げた経営安定対策の実施状況などを踏まえながら今後の制度としての在り方やあるいは導入時期等についても検討してまいりたいと、このように考えております。
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11:26, Friday, Feb 19, 2010 ¦ 固定リンク
【法務委員会】7月7日(火)後半〜DV等と在留資格の取り消し、難民認定問題〜
○松浦大悟君
次に、在留資格取消しとDVの関係についてお伺いをいたします。
六月三十日の当委員会の審議におきまして、離婚や親権等の係争中については在留資格の取消しの適用除外となる正当な理由に当たるとの答弁がなされました。今回の修正により、外国籍配偶者の身分の安定が図られた結果だと認識をしております。ですが、現在でも、係争中に在留資格の更新時期を迎えた際に長期にわたり申請中とされたり帰国準備の特定活動が出されるなど、日本人の配偶者等が認められないケースもあります。
そこで質問ですが、裁判を受ける権利の保障という観点からも、就労可能な安定した在留資格の更新や変更を速やかに認めるべきではないでしょうか。在留資格が不安定なため、生活を安定させられず、結果として子供の親権を獲得できなくなるなどの影響も出かねないと思います。修正案提出者としては、この点、どのような運用を期待して修正をされたのかお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(細川律夫君)
松浦委員の御質問にお答えいたします。
裁判中に在留期間が更新時期を迎えると、この場合に、それが一体どうなるかによって大変当事者にとっては強い影響が出てくるだろうというふうに思います。とりわけ親権を父親か母親かということを決めるような場合に、一体収入がしっかりあって生活が安定しているかどうかとか、そういうようなことなども大変影響もございますので、そういうことを考えますと、裁判中の運用ということについては、これはその外国人に不利にならないような公平な形でしっかり行われなければならないというふうに私は思っておるところでございます。
そういう意味で、在留期間の更新とかあるいは在留資格の変更に際しては、外国人の人権の保護や、あるいはその生活の安定に十分資するような、そういう運用がなされなければいけないというふうに考えております。したがって、裁判中に在留期間が来て更新の申請をした場合には、私はやっぱり、速やかにその手続を行うと、こういうことも必要ですし、また、変更の申請がされた場合も、これもまた、その変更の理由が正当ならば、これはもう速やかにそれを認めるというふうな運用にすべきだというふうに考えております。
○松浦大悟君 在留資格の取消しに当たっては、変更申請の機会を与えるなどの配慮が盛り込まれました。また、六月三十日の審議において、子供のいない場合でも、おおむね三年の在留期間があれば定住者への在留資格の変更を認めているとの答弁が西川入管局長からなされました。このような基準を是非ともガイドラインにしてもらいたい、このような基準をガイドラインとして公表すべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
これまで、在留資格の取消し制度自体が外国籍配偶者を従属させDVを引き起こし潜在化させる要因になっていたのではないかと私は思っております。在留資格の変更の基準をある程度明確化させることでそのような被害を抑えることができると考えるのですが、このガイドライン化について法務省の見解を聞かせてください。
○政府参考人(西川克行君)
定住者については、非常に定住者というのはたくさんのものを含んでおりまして、個々の事案により具体的な事情が異なるための許可要件をガイドラインとしますというのは、これはなかなか難しいものがあろうというふうに思います。
ただ、委員御指摘のとおり、実態を伴った国民生活が継続している、これは大体おおむね三年あれば定住者という形で認めていると、これは実情でございます。さらに、ほかの要件も含めまして、日本人の配偶者等の資格から定住者への変更というものについては更なる明確化、客観化に向けて努力をしてまいりたいというふうに思いますし、その透明性を向上させて申請者の予測可能性を一層高めるという観点から、例えば各国語で作成したパンフレットやホームページによって案内していくと、こういうことも考えたいというふうに思っております。
○松浦大悟君
在留資格の取消し制度はDVを引き起こし潜在化させる要因ともなり得るという観点から、このガイドライン化を始め、どのような場合に在留資格が更新や変更ができるかなどの情報を外国籍配偶者が知ることのできるようにしていかなければならないと思います。日本人の配偶者といえども、三年程度の短い在留期間だと日本語を読むことまでは難しいという可能性もあります。新制度の導入に当たって、正しい情報提供を行うには多言語で周知徹底させなければならないと思いますが、周知徹底の方法についてどのような方法を考えていらっしゃるのか聞かせてください。
○政府参考人(西川克行君)
配偶者の身分を有する者についての在留資格取消し事由等につきましては、当委員会における御審議それから衆議院での修正等を踏まえまして、私どもといたしましても、DV被害者の方々等の保護に欠けることのないように努めてまいりたいと。この観点から、外国人の方々に新たな制度の内容や趣旨についてきちんと理解してもらうということが大変重要であるというふうに考えております。
このためには、地方入国管理局の窓口においてリーフレットの配布を行うほか、市区町村であるとか関係行政機関あるいは在外公館、それから国内外のメディアの協力も得まして、施行までに周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。
○松浦大悟君
それから、もう一点確認をさせていただきたいんですが、在留資格の取消しに関連して、六月十九日の衆議院での審議において、居住地、住居地の届出義務化と怠った場合の在留資格の取消しについて、派遣や請負で働き住居を転々としている場合は適用除外となる正当な理由に当たるとは必ずしも言えない、ただし本制度は弾力的な運用を行うとの答弁がなされました。
しかし、外国人集住都市に多く居住するブラジル人やペルー人の場合、派遣会社が住居、就労先、学校など生活全般を管理しているという実態があります。就労先に合わせて住居地を転々とするということは、これは本人の責めに帰すべき問題とは必ずしも言えないのではないか。また、派遣切りに遭い、知人宅を転々としている場合などもあります。生活の本拠としての住居地が定められない場合などもあります。これら、本人の責任とは言えない場合は、この制度の適用除外とすべきではないかと考えますが、法務省、いかがでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
住居地の届出違反に係る在留資格取消し事由についてですが、例えば派遣切りであるとか急に会社が倒産をしてしまったとか、外国人の責めに帰すことのできない理由によって経済的に困窮して定まった住居を有しなくなったと、この場合については正当な理由がある場合に当たる場合もあろうというふうに思います。
ただ、この点については、本人がどれだけ努力したかとかいろいろ難しい問題がございますけれども、もし正当な理由に当たると真正面から認められない場合でありましても、硬直的にそうなったから九十日たってすぐ取り消すということは考えておりませんで、以前から御説明申し上げていましたとおり、本人とも話をして、ある程度機会を与えて、弾力的に運用していきたいというふうに考えておりますので、硬直的に住所を失ったのですぐ取消しというふうに考えているわけではございません。運用の方で十分賄えるというふうに考えております。
○松浦大悟君
次に、難民問題に移らさせていただきます。
法務省は、平成二十二年度から第三国定住として、ビルマの難民をタイの難民キャンプから三十人三年間パイロットケースとして受け入れるということになっております。森大臣は、さきの衆議院法務委員会でこの三十という数について、全体からすると本当に琵琶湖の水をひしゃくでかき出すようなもので誠に少ないと述べておられます。
日本の難民受入れは、第三国定住を含めても三けたに届かないのが実態であります。国際人権規約委員会は、申請の数との関連で難民認定の割合が低いままであること、難民申請者がその間就労を禁じられ、かつ、限られた社会扶助しか受けられない難民申請の手続にしばしばかなりの遅延があることに懸念を持って留意すると所見を述べております。
この入管法の改正という節目の時期に、森大臣はこの難民行政の在り方についてどのような基本認識をされているのか、今後はどのようにこの受入れを拡大するのかについて明らかにしていただきたいと思うのですが、お考えを聞かせてください。
○国務大臣(森英介君)
我が国の難民行政につきましては、これまでも政治的迫害などから逃れて我が国に庇護を求める者を確実に難民として認定し保護するという姿勢で臨んできております。
近年、難民認定申請件数が急増しておりますが、申請件数の多い国々に関する基礎資料の整備や専門的知識を有する職員の養成などにも努めまして、処理期間の短縮に向けて最大限努力していきたいというふうに考えております。
また、難民条約上の難民に該当しない申請者につきましても、本国の事情、経歴、家族状況などを個々に考慮して、人道的な配慮が必要な場合には我が国への在留を特別に認めているところでございまして、今後とも申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行ってまいりたいと存じます。
これに加えまして、今委員からも御指摘ありました、言及されました人道支援及び国際貢献の観点から、第三国定住による難民の受入れを平成二十二年度からパイロットケースとして開始することとしております。この第三国定住による難民受入れは、当初は十分把握可能な範囲で受け入れ、適切な定住支援を実現するために三十人という小人数から開始するものとしたところでございまして、この三十人という数については、全体の難民キャンプ等の人口からいたしますと、先ほど申し上げましたように、大変現状においては少ないというのは私の率直な感想でございますけれども、あくまでもこれはパイロットケースでございますので、これを実施した後に様々な角度から課題の検証を行った上で、受入れ人数の拡大の適否を含めまして、定住支援の在り方等につきまして政府全体として更なる検討を行うことといたしております。
今後とも、他の関係省庁とも連携し、第三国定住難民の積極的な受入れに貢献をしてまいりたいと思っているところでございます。
○松浦大悟君
今、難民認定に平均して二年の時間を要しているんです。審査をする法務省が外国の諸事情についてプロではないということが大きな原因ではないかと言われております。例えば二〇〇二年から二〇〇五年に入国管理局が出入国情報の収集のために外注した翻訳を見ますと、北朝鮮関連が四件、イラン関連が二件、ビルマ関連二件、トルコ関連一件、カメルーン関連一件、マレーシア関連一件、バングラデシュ関連一件、パキスタン関連一件となっていまして、これでは到底、様々な国からやってくる難民申請者の把握ができるとは言い難い。
そこで、諸外国の政治、人権状況などの資料を蓄積した難民資料センターのようなものをつくる必要があるのではないかと考えますが、この難民資料センターをつくる構想についてどのようにお考えになるでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
委員御指摘のとおり、難民認定の判断を行うためには、必要な諸外国の事情等に関する資料が必要となるということでございます。したがって、法務省入国管理局と地方入国管理局におきましては、常日ごろから、外務省作成資料とか例えばUNHCRの作成資料であるとかアムネスティ・インターナショナル等のNGOの事件報告、一般書籍、報道、インターネット資料等、様々な手段によって最新の情報を収集するということを努めております。
御指摘のありました難民資料センター、これ、設置構想につきましてはその詳細を知りませんけれども、こういう情報を得られる場所があるとすれば、難民の取扱いについては更に充実したものになるというふうに考えておりますし、いずれにいたしましても、これら難民関係の資料を充実させることは適正かつ迅速な難民認定業務を遂行するに当たり非常に重要な事柄でございますので、今後とも充実に努めていきたいと考えています。
○松浦大悟君
今現在、難民調査は密室で行われておりまして、本当に正確な調査が行われているのか検証不可能だという指摘もあります。これは事実なのかどうか、法務省に聞きたいと思います。
○政府参考人(西川克行君)
難民調査で本人それから関係者から事情聴取いたしますが、それに関しては調書という形でまとめているというところでございます。よく調書についての開示請求がなされておりますけれども、ほとんど開示、本人からの分については応じておりますので、必ずしも密室の中というのは当たらないのではないかなというふうに思っております。
○松浦大悟君
これ、取締りの可視化問題とも共通する問題だと思いますが、そのときの通訳が果たして正確に訳されているのか。母国語による通訳が行われないケースもあると聞いておりますが、これは事実ですか。
○政府参考人(西川克行君)
ほとんどの場合についてはなるべく母国語の通訳を付けるというふうに努力をしているということでございます。ただ、少数民族の場合でどうしても母国語の通訳が得られないという場合がございます。この場合に同国人に通訳をさせるというのは、これもまたそれはそれで問題がありますので、本人の理解する他の言語の通訳に頼らなければならない場合もあるというふうに聞いております。
○松浦大悟君
そうした場合に十分な諸事情を勘案することができないのだろうというふうに思います。
そこで、退去強制手続、難民認定手続で拷問を受けるおそれのある事実の有無を調査する審査要領を作るべきだというふうに考えます。送り返された先で拷問を受けるなどのことがあってはならないと思うのでこうしたことを提案させていただくんですが、その点についてはどうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
今回の改正において、送還先の人権状況に関しまして、送還先への送還が難民条約だけではなくていわゆる拷問禁止条約が定める送還禁止規定に抵触する場合については、そこに送還してはいけないという明文が設けられたということでございます。この判断におきましては、入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査、それから特別審理官による口頭審理、さらには異議申立てによる調査で必要な供述を得ますが、最終的には主任審査官がその判断をするということになろうというふうに思います。
この送還先の決定が適切になされる必要がありますが、事案によっては難民審査参与員など送還候補地の事情に精通した専門家の意見を聴くなどすることが適当である場合も考えられますので、送還先の決定に係る手続につきましては、委員御指摘の点も含めまして、いま一度検討の上、地方入国管理官署に関し指示文書をもって徹底するなど、一層適切な対処に努めてまいりたいと考えております。
○松浦大悟君
難民認定手続において当事者から様々な不満が出ているということでありますので、十分審議をしていただきたいと思います。
それで、難民調査官、難民審査参与員、特別審理官などに対して拷問禁止条約に関する研修を行うべきではないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
入国管理局といたしましては、例年実施している人権研修や難民調査官を対象とした研修等の場において拷問禁止条約を始めとする人権関係諸条約について研修を実施しているところですが、今後は、今回の法改正の趣旨も念頭に置いて、外部専門家の講師としての招聘を拡充するなどして研修機会及び内容の充実に努めてまいりたいと考えています。
○松浦大悟君
いずれにしましても、行政の基本は情報公開とアカウンタビリティー、説明責任ですから、透明性を持ってお仕事に臨んでいただきたいと思います。
時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
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10:30, Tuesday, Jul 07, 2009 ¦ 固定リンク
【法務委員会】7月7日(火)前半〜法改正と共生社会、在留資格のない外国人児童の教育を受ける権利〜
○松浦大悟君
おはようございます。民主党の松浦大悟です。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、非正規滞在者の子供の教育を受ける権利について、それから在留資格取消しとDVの関係について、そして難民問題についてなどを伺いたいと思います。
まず、議論の前に、前提となる話といたしまして、少し大臣と議論をさせていただきたいと思います。
政府の第三次出入国管理基本計画は、不法滞在者は外国人犯罪の温床になっていると報告しています。六月三十日の法務委員会で森法務大臣は、不法滞在者数半減計画で二十二万人が十一万人になり、それによって不法滞在者に原因する犯罪も大幅に減ったと胸を張りました。こうした認識の下、更なる管理徹底を目指して進められてきたのが今回の入管法改正だと思います。
しかし、犯罪白書を執筆してこられた経験を持つ浜井浩一氏、現在は龍谷大学法学部の教授でいらっしゃいますが、この浜井浩一さんによれば、これは統計のトリックであると言います。つまり、警察官僚の主張する外国人犯罪の増加はバイアスの掛かった統計の読み方であり、極めてまゆつばだということなんです。
御存じのように、認知件数というのは警察が受理した事件の件数のことであり、例えば安全相談強化月間などの業務命令の下、号令一下、警察活動を活発にさせれば簡単に数字を増やすことができます。現に、桶川ストーカー殺人事件の後、世間から批判をされた警察が警察活動に力を入れた結果、極端に数字が跳ね上がっております。検挙においても同じです。一人が百件犯罪を犯したとしても、どの事件を検挙するかは警察の胸先三寸、幾らでも数字を操作できます。
こうしたことから、利害当事者が作成した統計データは社会政策においては採用してはならないというのが今や社会学や統計学の常識なんです。大臣は、こうした統計の特徴について御存じだったでしょうか。知っていたか知らなかったかでお答えください。
○国務大臣(森英介君)
今の委員が御指摘になったそういう考え方については存じませんでしたけれども、私、元来技術者でございますので、統計とか確率とかいうことには、ここにいらっしゃる皆様の中では相当造詣が深い方だと思っております。
○松浦大悟君
今、力強い答弁をいただきました。もう我が意を得たりの気分でございます。
大臣、そうでありましたら、是非ともこの統計について検討をいただきたいというふうに思うんです。この統計のこうした特徴について御存じの上でこうした社会政策がつくられるのであれば、やはり国民は、やっぱり国民をだましたのかというふうに思うと思うんですね。そういうことを言われないように、この統計というものには様々な特徴があるのだということを是非とも大臣からメッセージを発信していただければというふうに思います。
さて、こうした前提を踏まえまして、森大臣に質問をさせていただきます。
私は、法務委員会のほかに少子高齢化・共生社会に関する調査会に所属をしております。与党の皆さんとも一緒に、外国人との共生についての提言も作らせていただきました。
森大臣は、この共生社会という場合の共生とはどんな意味だとお考えになっているでしょうか。私は、共生というのは背景の違う者同士がお互いを尊重し価値観を認め合うことだと思います。共生というのは、決して同化や排除による安心のことではありません。ましてや、日本に役立つ外国人と役立たない外国人を選別することではないと思います。
今回の入管法改正の大臣所信では、管理という言葉は十か所使われていましたが、この共生という言葉は一言も出てきませんでした。大臣はどんな社会を目指そうとしているのか、お考えを聞かせてください。
○国務大臣(森英介君)
共生というのは、今委員がおっしゃったように、背景ですとかあるいは文化の違う人々がお互いに尊重し合って共存していく社会であると私も思います。
我が国に在留する外国人の数は年々増加しておりまして、平成二十年末の在留資格を有する外国人登録者数は概数で約二百二十万人となっております。これらの外国人は、その入国、在留の目的は様々ですが、地域社会における生活者であることに変わりはなく、日本人と共に生きていく地域社会の構成員であります。
共生社会とは、地域社会の一員であって隣人である外国人と日本人が生きていく社会であり、生活環境、就労、教育等様々な場面において日本人と外国人が共に生き共に生活できる社会であると考えておりまして、そうした社会の実現に向けて政府のみならず様々な分野で種々の取組がなされているところでございまして、私もそういった社会を目指すことが重要であると認識をしております。
○松浦大悟君
日本は、これから多文化共生社会を目指すのではなくて、もう既に多文化共生社会に突入をしているということは、これは大臣も共通した認識ではないかと思います。製造業の分野だけではなくて、今や農業ですとか漁業、こうした分野においてもこの外国人労働者なしでは成り立たない地域もあるということでございます。グローバル化の流れの中で資本の流出や労働力の流動化はもはや止めることはできません。先進国であれば、一定限度の非正規滞在者を抱えつつそのバランスをどう取っていくのか、これが問題にされるべきではないでしょうか。
この三十年弱の間、不法滞在者と言われる人については、日本の社会に多くの貢献がある反面、暴動などの問題を巻き起こしたことはありません。また、諸外国に比較して数も人口比も圧倒的に少なくて、かつ減少傾向にあります。彼らの最低限の権利や生活の利便の基礎になる外国人登録を奪ってまで彼らの一掃を目指すというのは非常に疑問が残ります。非正規滞在者の中には、なりたくて非正規滞在者になったわけではない人もいます。派遣切りで職を失い、住むところがなくなって非正規滞在者となった方も多い。
大臣、経済的に利用ができるときだけ利用して、あとはごみくずのように捨ててしまってもいいんでしょうか。非正規滞在者を排除するのではなくて包摂する社会は築けないものでしょうか。できないとすれば、何が問題でできないのか、どのようにすればできるようになるのか、大臣の考えを聞かせてください。
○国務大臣(森英介君)
多文化共生社会というのは別に今に始まったことではなくて、我が国が、漢字にしても様々な文化にしても宗教にしても、大陸あるいは南方、様々な地域から由来したものを全部飲み込んで、そしてそしゃくして今日に至っているわけでございまして、そういった多文化の様々な恩恵の上に立って存在している国家であるというふうに思います。
ただ、そうは申しましても、不法滞在者、委員のお言葉で言う非正規滞在者がそのまま無条件に一緒に仲よく過ごしましょうというわけにはいかないわけでございまして、やはり入管法上違反して我が国に滞在する人々をそのままの状態で社会に受け入れていくということは私は不適切であると考えております。
このような不法滞在者につきましては、退去させるべきは退去させますが、今おっしゃられたように様々な事情をお持ちの方もあるわけでございまして、個々の事案に応じて在留特別許可を認めるべき者につきましてはこれを認めることといたしておりますし、そのことを通じて、我が国が入国、在留を認める外国人には先ほど申し上げた多文化共生社会の担い手となっていただきたいというふうに思っております。
なお、在留特別許可につきましては、その透明性を確保することが不法滞在者の自発的な出頭を促す観点からも重要であると認識しておりまして、許可された事例及び在留特別許可されなかった事例の更なる公表を行うとともに、既に公表済みの在留特別許可に係るガイドラインの内容についての見直し作業もできるだけ早く進め、やっぱりそうした方々へ、より安定した立場でもって在留していただく方は在留していただくし、また帰っていただく方には帰っていただくようにしたいというふうに思っております。
○松浦大悟君
大臣、もう一点確認させていただきたいんですが、大臣はそうはおっしゃるんですが、今回の入管法改正の審議の中で官僚の皆さんから度々出てくるのが、外国人登録制度の欠陥で行政サービスができないんだ云々かんぬんという話があります。私は、これはただの口実ではないかと考えています。
外国人登録だって、居住地変更をしたときの変更登録の義務がありました。住居が把握できない、住所が把握できないというのはごまかしではないでしょうか。確かに届けを出さない人もいるかもしれません。ただ、それは、そういった人は行政サービスも望んでいないわけで、そうした人までつかまえて、首根っこをつかまえて行政サービスを行おうという、そういうことではないと思うんです。本心は、本当はテロ対策の一環として外国人管理を強化したいということではないんでしょうか。どうでしょう、その辺は。
○国務大臣(森英介君)
実態的に、今申し上げたように、大変外国人が、日本に滞在する人たちが多くなってきて、その住居地の把握が困難になってきているということはこれは紛れもない事実でございます。
そういう方々のやっぱり今まで点の把握であったのを国において一元化して、点から線の把握にするようにしてより外国人の居住実態を正確に把握するとともに、地方自治体にそれをインフォームすることによって行政サービスもより受けやすくなるようにしようということで、これはまさに外国人、日本に住む、ちゃんと適法に住んでいらっしゃる方々にとってはむしろ便益の向上になるというふうに私は思っております。
○松浦大悟君
これまで非正規滞在者は、労働災害ですとか賃金未払を訴えたり出産のための補助を受けたり子供を公立学校に通学させたりと、少しずつではありますが、日本社会での権利を獲得していったという歴史があります。それが、このテロ対策の名の下、治安回復元年とされた二〇〇三年以降、この国の空気はがらりと変わってしまいました。非正規滞在者を五年間で半減するという数値目標が設定されたことで、教会やモスクあるいは大使館やNGO事務所周辺での職務質問が物すごく増えているんです。
入管のホームページでは非正規滞在者に対する情報を積極的に市民から求めている、あるいはメディアは凶悪化する外国人犯罪とあおる、これでは非正規滞在者は危ない外国人だと印象付けられてしまうと思うんです。そうではなくて、非正規滞在者の中には図らずも非正規滞在になった方もいて、刑法を犯した凶悪犯とは違うんだということを是非とも法務大臣からメッセージを発信していただけないでしょうか。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(森英介君)
確かに非正規滞在者の中には様々な事情でもってそういう境遇になっているという方がいるということは十分認識しています。したがって、そうした方々について一律に凶悪犯とか犯罪者の予備軍だと思っているわけではないということは申すまでもありません。
ただ、委員がおっしゃられるように、そういった二〇〇三年以降、テロ対策でもって非常に管理が強まって、そういった人たちが非常に厳しいそういう監視の下に置かれているというのはいささか、ちょっと言い過ぎではないかなというふうに私は思うんです。
もちろん、テロ対策のみではありませんけど、現にああいう非常に重大な事件があった、九・一一、あったのを受けて、やはりそういった管理が強まったということは事実かもしれませんけど、日本の治安に責任を持つ立場としては、やはりそういったことで十分気を付けて、日本国民あるいは日本に住んでいらっしゃる、健全に過ごしていらっしゃる外国人に危害が及ばないようにするというのは私どもの務めでありますので、その観点からいろいろな施策を講じているということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○松浦大悟君
そうしますと、大臣、今回の在留カードはテロ対策には使わないと、こういうことでよろしいですか。
○国務大臣(森英介君)
いや、そういう趣旨ではありませんけれども、結果としてテロリストの侵入がしにくくなるということはその付随的効果としてあると思います。
○松浦大悟君
ここははっきりさせておきたいんですが、テロの活動をチェックするために在留カードを使うのかどうか、ここは目的外ではないかと私は考えるんですが、大臣はここはそういう場合もあるという、先ほどの御答弁の内容はそういうことだったんでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
別にテロリスト対策のみではありませんけれども、やはりそういう思惑を持って日本に入ってくる人々についてはそういうことがしにくくなるということはむしろ日本の治安対策上好ましいことであって、もちろん、今度、入管法改正によって、そのことが目的ではないにしても、そういうことがしにくくなるということは当然付随的効果としてあるというふうに私は思っております。
○松浦大悟君
それは在留カードの目的外使用ということにはなりませんか。今回の法改正の法目的と合致しないのではないのでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
いや、ですから、在留カードは要するにそういった適法に日本に過ごしていらっしゃる外国人の身分の安定のために持っていただくわけでございますから、それはそういう目的であって、もしそういう以外のそういった危険分子が紛れ込んでいれば、それを判別するのに役に立つとすれば、それも結構なことじゃないかというふうに私は思います。
○松浦大悟君
そうしますと、やはり警察活動とリンクをさせて在留カードを使用すると、こういうことになりますけれども、それは今回の入管法の改正の中ではっきりはこれまでおっしゃってこられなかったことですよね。今、私も大変驚いておりますけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
いや、別に、だからそのことが目的でと申し上げているわけじゃありませんし、逆にお尋ねしますけれども、委員は日本でテロリストが自由にばっこしてもいいと、こういうお考えなんでしょうか。(発言する者あり)
○委員長(澤雄二君)
松浦大悟君、もう一度質問してください。
○松浦大悟君
いや、大臣、私の質問は、今回の法律、法改正をしっかりと審議しようということなんです。今回の法律の目的は、テロリストを排除する、テロリストを見付け出すために在留カードを導入するということではなかったと私は認識をしておりますが、この審議の途中にこの目的が変わったんでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
ですから、あくまでもそれはそういうふうな結果として効果もあるでしょうと申し上げているのであって、これはあくまでも、今まで要するに在留管理は国において行われ外国人登録は市町村で受け付けていたということで、外国人の居住実態あるいは動静が十分に把握できずいろんな問題が生じていたということがございますので、今回の法改正によってそれを一元化することによってより外国人の居住実態等々を的確に把握し、その結果として日本に住んでいらっしゃるそういう在留資格を持った外国人の方々の社会福祉の向上等に利することがあくまでも目的でございます。何らそれは御提案したときから変わっているところではございません。
○松浦大悟君
そうでありますと、先ほど大臣は、テロ対策のために非正規滞在者が大変肩身の狭い思いをしているというのはいささか言い過ぎではないかという発言がありましたが、そうではなくて、やはりテロ対策も目的の中に含まれており、こうした在留カードとのリンクが今後検討されていくのであろうということを推測せざるを得ません。
ここにばかりとどまっているわけにもいかないので質問を進めますが、不法滞在という用語の使用についてお答えいただきたいと思います。
私は、この用語、法務省は大変安易に使っているのではないかと思います。例えば、一九七五年の国連総会は、不法なという言葉は常に移民に罪があるような印象を与えるため、国連の公式文書では非正規若しくは証明書を持たないという用語を使うように決議しています。また、一九九四年の人口と発展に関する国際会議では、証明書を持たない移民又は非正規移民は、入国、滞在又は経済活動の行使について到着国で定められた要件を満たさない人と定義がされています。
そこでお尋ねしますが、法務省はこうした国際機関の定義や決議をこれまでどのように受け止めてきたのか、国連では使われなくなった不法滞在という言葉をあえて使い続けるということについて内部で検討したことはあるのか、その経緯と、不法滞在という言葉を国連の用語に変える考えはあるか否かについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(西川克行君)
まず不法滞在という言葉でございますけれども、入管法上の定義がなされた言葉ということではございませんで、例えば不法入国であるとか不法残留であるとか、入管法に違反する行為をもって在留している方を総称して不法滞在という呼び方をしているということでございます。これらのいずれにつきましても入管法上の罰則の対象になっているということで、不法という表現をしているということでございます。
それから、国連の用語でございますが、確かに記録をされていない、アンドキュメンテッドという言葉を使ったりイレギュラーという言葉を使っている場合もあるというふうに承知をしておりますが、他方、イリーガルミグラントと、イリーガルという言葉を使う場合もございますので、必ずしも国連の内部で不法滞在という言葉を使わないということが統一されているという理解を私どもはしておりません。
それから、今まで不法滞在者について他の呼び方を検討したことは部内ではございませんでした。
○松浦大悟君
こうした用語の使い方には国の姿勢が表れます。政府がどのような立場で外国人を取り扱っているのかということが透けて見えるわけです。今の政府参考人の話でいけば、日本は国際標準に改めるつもりはないということを改めて宣言をされた、独自路線を突き進むということを宣言されたというふうに受け止められてしまいました。これは大変残念なことだというふうに私は考えています。是非とも法務省の中で国際標準に改めるべく議論をしていただきたいと思います。
大臣はこの不法滞在という用語についてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。これを使っているのは本当に恥ずかしいことでありまして、日本の国益にも大変大きな影響を与えると私は考えております。日本という国が本当に包摂的な、いろんな多文化共生社会を目指している、そういう国であると世界に向けてアピールするならば、まずはこの用語の改正から行わなくてはならないと私は思いますが、大臣はどうでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
一つの御意見として承りますが、私は、やはり不法滞在者というのは不法滞在者であることは間違いないのでございまして、先ほど局長が御答弁したとおりでございます。
○松浦大悟君
がっかりしました。
次に、在留資格のない外国人児童の教育を受ける権利についてお伺いをいたします。
文部省は、去年の十二月から今年二月にかけてブラジル人学校の子供たちがおよそ四割減少し、そのうち四〇%が本国に帰国、およそ二五%が不就学あるいは自宅待機になっているという報告がありました。
最初に、この在留資格のない児童への教育実態、今どうなっているのか、文科省に伺いたいと思います。
○政府参考人(前川喜平君)
先生おっしゃいますとおり、本年一月から二月にかけまして、ブラジル人学校等に通学しているブラジル人等の子供の就学状況についての調査を行いました。この調査におきましては、ブラジル人の子供たちあるいはその保護者の在留資格のいかんについては調査しておりませんので、在留資格のない子供の現状はどうなっているかということについてはちょっとお答えしかねるわけでございますけれども。
この外国人学校は、例えばブラジル人学校におきまして、将来母国へ帰国することなどを予定している子供あるいは保護者の需要に応じましてブラジルの教育課程などに従ってブラジル人の教育を自主的に行っていると、こういう学校でございますので、そのため、ブラジル人学校において在留資格をどう取り扱っているかと、このことにつきましてもそれぞれの外国人学校の判断で行われているわけであります。
一方、公立の義務教育諸学校につきましては、我が国に滞在する外国人がその保護する子供の入学を希望する場合におきましては、国際人権規約等を踏まえまして、在留資格のいかんを問わず無償での受入れを行っているところでございまして、この公立の義務教育諸学校に在籍している子供たちにつきましても、在留資格がどうなっているかということについて私ども確認はしていないところでございます。
○松浦大悟君
そうしますと、今、入管や警察に摘発されて在留資格のない子供が強制退去を迫られるというケースが相次いでいるという報告があるわけですが、これについても把握はされていないということでよろしいですか。
○政府参考人(前川喜平君)
公立学校の在学中の子供につきまして、その出入り、入学、編入学あるいは退学といった状況は把握しておりますけれども、強制退去によるものであるかどうかということについては把握しておりません。
○松浦大悟君
今、景気悪化を背景に多くの外国人が職を失い、住むところを失い、非正規滞在者にならざるを得なくなっております。そのしわ寄せが一番弱い存在の子供たちに行っていると。在留資格のない子供に対しても教育を受ける権利が保障されていることは、これはもう児童の権利条約を持ち出すまでもなく、我が国においても明確に認めているところだと思います。
ところが、新制度になった場合にこの教育を受ける権利がちゃんと保障されるのかということを心配する声が非常に多い。このことについて、法務省、文科省、それぞれどうお考えになっているか聞かせてください。
○政府参考人(西川克行君)
お答え申し上げます。
まず、今回の法改正によって直ちに今まで受けられていた行政サービスが受けられなくなるということではなくて、不法滞在者が受けられる行政サービスの範囲内は法改正後も基本的には変わらないと、こういう理解をしております。そして、不法滞在者の子供の教育についても子供の教育の権利を保障することは重要であると考えております。
この点に関しまして、住民基本台帳法においても修正案で附則が付けられたというふうに承知をしておりますけれども、入管法の修正案においても、仮放免されてから一定期間経過したものに関し、その身分関係等を市区町村に通知を行うことを検討する旨の規定が設けられたということでございます。
当局といたしましては、この規定を受けて、委員御指摘の子供の教育等を外国人が受けることのできる行政上の便益に支障を生じさせることのないよう、個人情報保護の問題は別にございますけれども、その観点にも留意しながら通知を行う場面や方法について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(前川喜平君)
外国人がその子供を公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合におきましては、従来から、国際人権規約等を踏まえまして、在留資格のいかんを問わず日本人の子供と同様に無償で受入れをしているところでございまして、今回の法改正後におきましてもこの取扱いに変わるものではないと考えております。
○松浦大悟君
今、これまでと変わらないという御答弁がありましたけれども、一九九一年以降、在留資格がない人にも外国人登録が認められて、児童の就学をきっかけに登録する人が非常に多かったわけです。自治体も、就学年齢に達した児童の保護者に対しては、外国人登録で住所を確認して、在留資格があるなしにかかわらず就学案内を出していたと。
ところが、この新制度では、在留カードで一元管理されるため、非正規滞在者の把握がまずできなくなるわけですね。当然、就学児童の把握もできなくなると。事実上、児童が教育を受ける権利をこれは阻害することになるのではないか、これでは条約との整合性が取れなくなるのではと思いますが、法務省、どうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
今回の改正案の修正のうち、住民基本台帳法においてもまた入管法においても、そのようなことがないように従前の行政サービスを受けられるような仕組みをつくりなさいと、それから入管法については、特に仮放免者について通知する制度を検討して、そういう把握が市区町村においてできるようなことに協力をしなさいと、こういう趣旨だと思っておりますので、この附則を踏まえまして、法務省としてできることは十分やっていこうというふうに考えております。
○松浦大悟君
住所が分からないのにどうやって通知をするんでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
通知を義務付けられているのは、附則では、仮放免された後一定期間を経過した方ということになっておりまして、仮放免段階において仮放免証明書も出しますし、それから住所についても把握をしているということになりますので、当然、市区町村に対する通知は、その問題だけをとらえれば、あと個人情報の問題が若干ございますけれども、それはのいておいて、可能だというふうに思っております。
○松浦大悟君
ただ、その後の段階ですよね、非正規滞在者になったときにどうやって通知をするんですかということなんですが、そこの住所把握はできないわけですよね。
○政府参考人(西川克行君)
今申し上げているのは、基本的には退去強制手続は収容で進めますが、場合によってはすぐ仮放免をするという場合があると。仮放免をした場合について行政サービスが受けられるように通知をする仕組みをつくりなさいと、これが附則の中身だというふうに思っておりますので、当方が退去強制手続を進めて仮放免という形で社会に出したという方々については、当然その住所等については入管局において把握をしておりますので、それに基づいて市区町村に対する通知の仕組みをつくっていくと、こういうことになろうというふうに思っておりますが。
○松浦大悟君
入管法六十二条二項では、「国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当つて前項の外国人を知つたときは、その旨を通報しなければならない。」とあります。
しかし、これまで法務省入国管理局長は、外国人登録事務取扱要領において、外国人が不法入国、不法残留など入管法第二十四条各号、退去強制事由の一に該当する疑いがあると思料するときは、所轄の地方入国管理局長又は地方入国管理局支局長あてに通報しなければならない、ただし、地方入国管理局長又は地方入国管理局支局長に対し登録証明書の調製を依頼する場合において、在留の資格なしと記載して登録証明書を調製することとなる外国人については通報を要しないとしていたため、就学のための外国人登録をきっかけとした通報はほとんどなかったと伺っています。
在留資格のない外国人児童から就学の希望があった場合に、これまでどおり教育を受ける権利を阻害しないような扱いをしなければならないと思いますが、これについてはどうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
ただいまの外国人登録証の調製された部分について通報しなくていいというのは、外国人登録の関係で調製されたものについては入管に通知が来ますので、二重に通知する必要はないという意味というふうに思います。これはその問題だということですが、それ以外に、一般的に公務員の通報義務というものがございます。
基本的な考え方だけ申し上げますと、入管法六十二条二項で、各行政機関における職務上の必要がある場合でも、一般的には入管法の通報義務があると、こちらが優先すると私どもは考えておりますが、通報義務を履行すると行政機関に課せられる行政目的が全く達成できないような特殊な場合、例外的な場合につきましては、通報義務の履行により守られる利益と職務の円滑な遂行という公益の比較考量によって、当該行政機関の判断により通報を行わない場合もあり得るというふうに考えているところでございます。
○松浦大悟君 私は、ここが権利がバッティングすると思っているんです。公務員は通報しなければならない、しかし子供の教育を受ける権利を阻害してはならない、ここの権利の調整をどのようにしていくのかだと思うんですが、就学希望が出されたことによって、教育委員会ですとか学校が入管に通報することはあってはならないと私は考えています。それほどまでに子供の教育を受ける権利というのは強い権利であると私は考えているんです。
この条項は、改正後も、就学事務に携わる教育公務員については義務ではない、若しくは厳格な義務ではないと私は解釈すべきだと思うんですが、運用においては今までは通報されることはなかった、これを今後、改正後もそのようにしていただきたいと思うんですが、その点について確認をしたいと思います。
これは文科省、お願いいたします。
○政府参考人(前川喜平君)
市町村の教育委員会におきまして就学手続を行うに当たりましては、子供の教育を受ける権利の保障という観点から、従来から、外国人登録証明書による確認に限らず、一定の信頼が得られると判断できる書類により住所確認等ができる場合には公立の小中学校等に受入れをしているところでございます。
また、就学事務に携わる市町村教育委員会事務局の職員には、現在の外国人登録証明書の提示を求めるという権限があるわけではございません。また、法律改正後も在留カードの提示を求めるという権限を持つものではございません。
そういうこともございまして、就学手続の際に明らかに不法滞在者であるということが判明するというケースは想定し難いと考えておりまして、実際にもこれまで、先生御指摘のとおり、入管当局に通報しているという例は承知していないところでございまして、こういったことは法改正後も変わらないだろうというふうに考えております。
○松浦大悟君 そうしますと、在留カードがないということは就学できないということになるんでしょうか。
○政府参考人(前川喜平君)
在留カードの有無ということは就学することにかかわりはございません。
○松浦大悟君
それでは、その在留資格がない児童生徒から就学の希望があった場合、例えば教育委員会ではどのように教育を受ける権利をこれから保障していくのか、その用意はどのようにされているのかお聞かせください。
○政府参考人(前川喜平君)
先ほど来申し上げておりますように、外国人がその子供を公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合におきましては、国際人権規約等を踏まえまして在留資格のいかんを問わず日本人の子供と同様に無償で受け入れてきたわけでございまして、今後ともこの取扱いには変わりないと考えておりますが、一方、不就学の外国人の子供たちをいかに就学させていくかということはこれは非常に大きな政策上の課題であるというふうに認識しておりまして、また、居所や住所の不明なケースも多いことから、文部科学省では従来より就学を促進するための取組をしてきておるわけでございます。
例えば、日本の教育制度や就学手続等についてまとめました七か国語によります就学ガイドブックを作りましてこれを配布するということ、あるいは、帰国・外国人児童生徒受入促進事業という事業におきまして就学促進員を教育委員会に配置するなどいたしまして外国人の子供の公立学校への就学支援に努めてきているところでございまして、文部科学省といたしましては、こうした施策を更に充実させてまいりまして、公立学校における外国人の子供の受入れの環境の整備を促進してまいりたいと考えております。
○松浦大悟君
そうしますと、確認ですけれども、教育委員会や学校長が例えば在留資格のない子供が就学希望を出したときにそれを通報するというようなことはないと先ほどおっしゃいましたけれども、もしこれあった場合には、文科省としては何らかの行政指導を行うという考えはございますでしょうか。
○政府参考人(前川喜平君)
先ほど法務省の方からも御答弁ございましたように、出入国管理法の第六十二条第二項に基づきまして、国又は地方公共団体の職員には、その職務を遂行するに当たって退去強制事由に該当する外国人を知ったときには通報義務があると、こういう義務が課せられているわけでございます。
この出入国管理法の解釈や運用につきましては法務省において御判断されることでございますけれども、この通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合につきましては、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較考量いたしまして通報するかどうかを個別に判断することも可能であるというふうに理解しております。こうしたことにつきましては、文部科学省としても、必要に応じまして教育委員会に対し指導してまいりたいというふうに考えております。
○松浦大悟君
やはり、大臣、ここは利害がバッティングしているんだと思うんですよ、今の答弁聞いていても。たとえ不法滞在者の減少が追求されるべき政策目標であったとしても、私は在留資格のない児童生徒の教育の保障、これも重要な行政目的であるというふうに考えております。通報義務の厳格化はこれに矛盾をするのではないかと私は考えるわけです。
教育機関を利用して入管当局が目標を達成してはならないと私は思いますが、森大臣のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
私も、我が国において在留資格を有しない子供につきましても教育を受ける権利に配慮しなければならないと考えております。
この観点から、入国管理局においては、入管法第五十四条に規定する仮放免制度の運用などによりまして、就学中の児童については身柄を拘束しないで退去強制手続を進めることなどを考えておりまして、退去強制手続中に就学の機会が失われることのないように配慮をしたいと思っております。
また、さらにその上で、個々の事案に応じて在留特別許可を認めるべきは認めるということで、言わば硬直的な対応をしないようにというふうに考えているところでございます。
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10:00, Tuesday, Jul 07, 2009 ¦ 固定リンク
【少子高齢化・共生社会に関する調査会】6月10日(水) 〜外国人との共生〜
○松浦大悟君
民主党の松浦大悟です。
一言だけ、渡辺副大臣に認識をお伺いしたいと思います。
私は、共生社会の共生という言葉は、異なる背景を持つ者がお互いに尊重し、その違いを認め合うことだと認識をしております。決して同化や排除ではない、ましてや日本に役立つ外国人と役立たない外国人を分けることではないというふうに思っております。そうした意味において、問題は、多文化共生への取組が当事者の声を反映したものになっているか、当事者の声に呼応したものになっているかだと思います。
先ほど、下田先生がEPAの話をされました。今回、EPAでインドネシア人の介護士候補の優秀な方がたくさんいらっしゃっている。ただ、国家資格試験での漢字の問題があり、大変壁が高いということで悩んでいる方が多いというふうに伺っております。
しかし、彼らは、意味さえ分かれば内容は少しも難しくないというふうに言っている。であるならば、国家試験において漢字にルビを振るなどの工夫ができないものかというふうに思います。
失望して帰っていく外国人が大量に生まれてしまうことは、私は国益にとっても必ずしもよくない、日本の信用を失ってしまうというふうに考えます。アジアとの関係においてますます悪化していくのではないかと懸念をいたしますが、今後の見通しも含めて、どのような認識でいらっしゃるのか、聞かせてください。
○厚生労働副大臣(渡辺孝男君)
先ほども試験の結果のことがお話ありまして、結果としては合格した人がいなかったということで、大変厳しい状況ということは認識をしております。
しかし、これまでも、受入れの施設できちんとした語学も含めた研修計画を作ってもらうということと、研修の責任者の方に、そういう責任者をきちんと設ける、そしてまた日本語の学習もきちんとやっていただくという、そういう大前提の下でおいでになっていただいておりますので、更によりスムーズに語学の研修ができるようにして、そういう環境を整えていきたいと思っております。
あと、試験は、国内の人と外国から受ける人も平等の立場でやるという、そういう試験制度がございますので、今お話あったルビを振るとか、そういうことも一つの検討事項にはなると思うんですけれども、今のところは外国人も日本人も同じ形で試験を受けると。それは先ほども御説明あったとおり、日本で働く場合、やはり日本人の要介護者と話をする、あるいはチームの介護でありますので、ほかの従事者ときちんとした情報の交換がないと事故等も起こる可能性があるとか、様々な意味で日本語の能力というのはどうしても必要にされるということですので、試験も日本語での試験という形になっているわけであります。
当然ながら、おいでになった方々の配慮というのは十分にしていかなければいけないと考えております。
○松浦大悟君
先ほど、副大臣、これはアジアへの介護のアウトソーシングではないと御説明をされましたけれども、であるならば、インドネシア、フィリピンの皆さんにもう少し配慮があってもいいのではないかというふうに考えます。怨念が蓄積されないように、適切な施策を取っていただきたいというふうに思います。
以上です。 |
13:00, Wednesday, Jun 10, 2009 ¦ 固定リンク
【法務委員会】4月23日(木) 〜刑事訴訟法の一部を改正する法律案(取調べ可視化法案)〜
○松浦大悟君
民主党の松浦大悟です。
いよいよ来月から裁判員制度が始まろうとしております。
法社会学者の河合幹雄さんの取材によりますと、この裁判員制度というのは、九〇年代から法曹三者の間で静かに準備されてきました。刑事訴訟法六十周年の今年、いよいよその司法の大改革が行われようとしております。もしこれが成功すれば、司法の近代化のみならず、私たちの社会の在り方が大きく変わるだろうというふうに思います。この社会は私たち一人一人が支えているのだという自覚が国民の間に芽生え、民主主義の強化につながると私も大きく期待をしているところでございます。
ただ、この裁判員制度をうまく機能させるためには、その周りに幾つものサブシステムを適切に配置をしなければならないというふうに考えます。サブシステムというのは、証拠リストの開示であったり、代用監獄制度の廃止であったり、あるいは透明な公判前整理手続、法学リテラシー教育などです。そして、取調べの可視化もその一つだと私は考えています。実際、諸外国では、そのようにサブシステムをうまく組み合わせてうまく機能をさせているという現状がございます。
そこで今日は、まず森法務大臣と米田刑事局長に、それぞれお二人に伺いたいと思います。
法務省と警察庁はこの取調べの全面可視化につきまして極めて消極的でございますが、それはなぜなのでしょうか。国民からの要求も高く、この裁判員制度をうまく回すために、もし全面可視化ということになれば物すごくいい制度になるにもかかわらず、これに対して消極的である理由をお聞かせください。
○国務大臣(森英介君)
取調べの録音、録画等を始めとする取調べの在り方について考えるに当たりましては、捜査の適正の確保とともに、治安を維持改善し国民の安全、安心を確保するという刑事司法に課せられた本来の使命を適切に果たすためにどのような方策があり得るのかということを、我が国における刑事手続全体の在り方を踏まえた多角的な観点からの検討が必要不可欠であろうと考えております。
まず、我が国の刑事司法手続においては、諸外国で認められているような刑事免責ですとか司法取引あるいは通信傍受といった強力な捜査手段が認められていないという状況でございまして、そうした中での被疑者の取調べは事案の真相を解明するため不可欠な捜査手法でございます。裁判において客観的な事実を追求し発見しようとする立場を取る我が国の刑事司法の下で、極めて重要な役割を果たしているということが言えると考えます。
そして、被疑者の取調べの全面的な録音、録画を義務付けることにつきましては、これは再々申し上げていることでございますけれども、被疑者に供述をためらわせる要因となるとともに、関係者のプライバシーにかかわることを話題とすることが困難になるなど、そうしたことの結果、取調べの機能を損ない真相を十分に解明し得なくなるという重大な問題があると考えております。そうなりましたら、裁判において真実を追求する以前に、真相が解明できないために検挙や起訴そのものを断念せざるを得ない事例が多々生じ、真犯人を野放しにして治安に悪影響を及ぼすおそれが生じかねないと考えるところでございます。
このように、この問題を考えるに当たっては、捜査の適正の確保とともに、治安を維持改善し国民の安全、安心を確保するという使命を適切に果たすという観点も十分に考慮しなければならないので、取調べの全過程の録音、録画の義務付けには様々な観点から慎重な対応が必要であると申し上げております。
もとより、取調べを含む捜査が適正に行われなければならないことは当然でありまして、捜査の適正の確保もおろそかにしてはならないと考えております。捜査機関においては従来から取調べの適正の確保に努めてきたところであり、最近においても、被疑者の取調べの適正確保のため、逮捕、勾留等の被疑者と弁護人等の間の接見に対する一層の配慮をすることなど、種々の措置を講じているところでございます。
取調べの適正は、種々の問題がある録音、録画の義務付けによらなくても、捜査機関において現に取っているこれらの取調べの機能を損なう危険のない方法で確保し得ると考えております。
○政府参考人(米田壯君)
犯罪の捜査の遂行は、基本的人権を尊重しつつも、刑事事件の真相が正しく解明され、国民の安全と安心が確保されるという仕組みであることが重要であると考えております。そういうことからいたしますと、取調べの全過程を録音、録画することを義務付けることにつきましては、事件の真相解明に重要な役割を担っている取調べの機能に大きな影響を及ぼし、事案の真相を十分に解明することを困難にし、犯罪の検挙活動に支障を及ぼすおそれが大きいということから適当ではないと考えております。
なお、これにつきましては、司法制度改革審議会の意見書におきましても、刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であるとされているところでございまして、警察といたしましても様々な観点から慎重な検討が必要であると考えております。
なお、取調べの適正化については、警察におきましては取調べ適正化施策を策定をいたしまして、本年四月一日から監督制度を中心とする適正化施策を全面施行をしております。また、裁判員裁判に対応するためには様々な工夫をしておりますが、その一環として取調べの録音、録画の試行を昨年九月から開始し、これも四月一日から全都道府県警察に拡大して実施をしているところでございます。
○松浦大悟君
昨日質問取りに若い官僚の方が来られて、米田さんと同じことをおっしゃっていました。現在一部の可視化が行われていて、何のトラブルもないんだからこれで十分なのだという御説明でございました。しかし、私、これ違うと思います。
例えば、ジーパンの後ろのポケットに穴が空いていたとして、その穴から財布が落ちそうになっているとします。穴が空いているので、あなた財布落ちそうですよというふうに指摘をする、いやいや、私は今まで財布落ちたことないからこれで十分なのですというふうに言っているように私には聞こえるわけですね。穴が空いているんだから縫えばいいじゃないですか。せっかく国民の皆さんがこの全面可視化をやれば安心して裁判員制度に参加できると言っているのだから、警察庁も取調べの在り方変えればいいじゃないですか。なぜ国民のこうした要求を聞かないんでしょうか。国民の足を引っ張る警察庁は私は要らないというふうに言いたいと思います。
刑事裁判では、百人の罪人を放免するとも一人の無辜の民を刑するなかれという推定無罪の原則が採用されております。しかし、取調べの全面可視化に反対している警察の皆さんの主張を聞いていますと、過って無辜を一人たりとも処罰してはならないというのはあくまで理想であって、少々のことには目をつぶってでもホシを挙げるということを優先しているように私には見えて仕方がありません。
そこで、法案提出者に伺います。
刑法の推定無罪の原則を踏まえて、なぜ取調べの全面可視化が必要なのか、改めて教えてください。
○前川清成君
おはようございます。
可視化に関しては、私たちは二つの意味で必要だろうと思っています。一つは、今ありましたが、冤罪をなくすというために必要、もう一つは裁判員制度の基礎的な前提条件として必要だと考えています。
お尋ねの無罪推定の関係を申し上げれば、被疑者は、当然のことですけれども、真犯人と確定したわけではありませんので、世界人権宣言等において無罪と、こう推定されるわけです。しかしながら、捜査段階においては、捜査官の皆さん方が仕事に熱心な余り、あるいは被害者や世論の厳しい処罰感情であったり、あるいは捜査官本人が大変凄惨な犯罪現場に赴いたなどから、時として非常に厳しく被疑者と向かい合って、あるいは無理やりに自白を獲得しようとするということが往々にしてあるわけであります。しかし、その無理やりに獲得した証拠、強引に獲得した証拠というのは、免田事件始め四件の確定死刑囚の無罪事件などが教えるように、真実ではありません。真実でない自白に基づいて裁判がなされてしまったならば、冤罪を生み出すことになります。
この点で、私たちの国の刑事訴訟法は、必罰主義ではなくて、様々な基本的人権を守りながら刑事裁判を遂行していくというデュープロセスの考え方に立って、憲法の中にも数多くの刑事訴訟に関する基本的人権が盛り込まれています。この基本的な人権が守られていたならば冤罪は当然発生しないはずでありますけれども、先ほど発議者の松岡委員からも説明がありましたが、氷見事件など、近時においても様々な冤罪事件、とりわけ無理やりに自白を獲得しようとしたために発生した事件が起こっています。
ですから、私たちは、この無罪推定の原則を更に推し進めて、そして冤罪をなくすために、この憲法の規定から更に一歩前へ行って、そして世界水準である可視化を導入することによって私たちの国から冤罪事件を根絶したいと、こんなふうに考えているところでございます。
○松浦大悟君
引き続いて伺いたいと思いますが、取調べの全面可視化を実施することによって自白率が下がるということはあり得るのでしょうか。既に行われているイギリス、オーストラリアの実情はどうなんでしょうか。教えてください。
○松野信夫君
私どもの方でいろいろ諸外国の事例も検討させていただきました。諸外国では、取調べの全面的な録音、録画をしているところ、あるいは取調べの弁護人立会いを認めているところ、これは諸外国でも様々でございますが、私どもが調べた限りにおいては、そういうような録画、録音することによってしゃべらなくなったとか、あるいは自白が得られなくなったとか、そういうようなことでは決してないというふうに聞いております。
今委員が御指摘されたイギリスとかオーストラリアでも、取調べの全過程は録音、録画が既に実施をされているわけですが、例えばそういうような自白率が下がったというような報告は聞いておりませんし、むしろ逆に、それまでは警察あるいは検察で不当な取調べが行われていたのではないかというような非難、攻撃がなされた場合もありましたけれども、近時はそういうような取調べに対する非難、そういうものが減ってきていると、こういうことでございます。
○松浦大悟君
お話を伺えば伺うほど、全面可視化はいいこと尽くしというふうに聞こえて仕方ありません。
さて、国民の皆さんは、もし冤罪になれば自分に責任を取ることはできるだろうかと心配をされております。
四月の二十一日のNHKの報道で、千葉大学の松村良之教授の研究が紹介されておりました。松村教授のグループが不安と裁判員への参加意欲との関係について調査をしたところ、不安が強い人ほど裁判員になりたくないと回答し、参加への拒否感が強いことが分かりました。つまり、国民の中には、裁判員制度は本当に制度として公正さを担保できているのかという漠然とした不安があるのだというふうに思います。
そこで、法案提出者の皆様に伺います。
私は、国民が安心して裁判員制度に参加するためにはその不安を取り除く必要があるだろうというふうに考えます。取調べの全面可視化は国民の皆さんの不安を取り除くことにつながりますか。
○前川清成君
可視化によって裁判員に関するすべての国民の皆さん方の不安を取り除けるものではないと思います。
一昨日、和歌山のカレー事件の最高裁判決がございました。これによって、ここ数日は、裁判員の皆さん方が死刑判決を下さなければならない、このことに関する不安が指摘されております。そのほかにも、裁判員に関して、法律的な知識は大丈夫だろうかとか、あるいは事実認定ができるだろうかと、様々な不安もあると思います。
ただ、裁判員の皆さん方にとって実際上も大きな不安になるのは、供述調書の任意性が争われた場合ではないかなと思います。その供述者が作るのではなくて、捜査官の方が一人称でお作りになると。ですから、字面としては理路整然としておりますし、また、ほかの関係証拠との関係も整理されている。その供述調書が任意になされたものであるのかないのか、これを後日、その書面を見て、あるいは関係者の話を聞いて判断するということは、それまで裁判員になったほとんどの皆さん方は任意性という言葉さえお聞きになったことがないのでしょうから、大変難しい問題があると思います。
この点で、その取調べの状況というのがビデオに録音、録画されていたならば、その取調べ状況を再生することによって立ち所に任意になされた供述かどうか、これを判断することができますので、その意味においては、可視化は裁判員の皆さん方の不安を一つ取り除くことができると思います。
なお、この機会に少し付言をさせていただきたいんですが、任意性については、裁判員の皆さん方だけではなく、プロの皆さん方、裁判官の皆さん方も実はそんなにたやすく判断できていた課題ではありません。
多くの事件では、任意性が争いになった場合に、裁判所が任意性に関する判断を避けて信用性のところで落とすというようなこともよくありましたし、大変有名な論文で、平野龍一先生、刑事訴訟法を勉強する方々は多くがこの方の教科書をテキストにされたと思いますが、平野先生が昭和六十年にお出しになった「現行刑事訴訟の診断」、これは、最後に、我が国の刑事司法はかなり絶望的であると、こう結論付けている論文でありますけれども、その中で、裁判官が自室で見抜く眼力、つまりは調書の任意性を見抜く眼力を持っていると裁判官が考えるのは自信過剰であると、ここまで言い切っておられます。ですから、私は、これは、裁判官の皆さん方も実は可視化については歓迎をされているのではないかなと。
ちょっと時間をいただいて申し上げれば、米田さんやあるいは森法務大臣は可視化について反対だと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、現場の捜査官の皆さん方、警察官やあるいは検察官の皆さん方、実はこの可視化を私は歓迎されているのではないかと、そう思っています。
なぜならば、日本の警察官の皆さん方、検察官の皆さん方、ほとんどの方々は一生懸命お仕事をされている。森法務大臣じゃありませんが、法と正義に照らして適正な捜査をしておられる。ですから、ほとんどの警察官の皆さんや検察官の皆さん方にとっては、可視化があったとしても何ら困るところはないはずであります。エリートの皆さん方が可視化は反対だ反対だと、こうおっしゃるのは、私は現場の捜査官に対する信頼という点でいささか疑問に思っているところでございます。
以上です。
○松浦大悟君
森大臣、事件は現場で起きているんです。是非現場の声を聞いていただきたい、そういうふうに思います。
さて、取調べの可視化は、私は裁判員制度とセットで行わなくてはならないと常々思っておりました。なぜなら、この取調べの可視化というのは、裁判員制度をうまく回すための一つのサブシステムであるというふうに私はとらえているからです。しかし、今回の法案では、この裁判員制度の開始に試行が間に合いません。本来なら同時にスタートさせるべきだったというふうに思いますが、この試行の時期についてはどのようにお考えでしょうか、法案提出者に伺います。
○松岡徹君
御指摘のとおりでありまして、この法案では、公布の日から六月以内に証拠の一覧の開示については実施していくと。重大事件の取調べの録音、録画については一年六月以内、そして、その他の事件については三年以内にそれぞれ政令で定めるというふうになっています。
来月の二十一日にはもう裁判員制度がスタートしますので、実質間に合わないということでありますが、私たちは、一昨年の十二月に今回の法律と同様のものを提出をさせていただいて、昨年の六月に参議院では可決、成立をさせていただいています。そのときの思いを、実は今年から始まります裁判員制度に何とか間に合わせたいという思いでありましたが、残念ながらこういう結果になってしまったわけでありますが、今委員御指摘のように、非常に大事な制度だと私たちも考えておりまして、政府としても、その趣旨を踏まえて、法律の施行を待たずにできるところから、特に重大事件等々はできるところから全過程の録画、録音を実施することになってほしいというふうに期待をしているところであります。
○松浦大悟君
次に、現在行われています取調べの一部可視化についてお伺いをいたします。
警察の皆さんが主張する取調べの一部可視化では、私は自白が強要されたものであるかどうかということを事後的に検証することはできないというふうに思っております。メディアリテラシー研究によりますと、映像は幾らでもうそをつくとされています。
例えば、皆さん、イラク戦争のときのニュース映像を思い出していただきたいと思います。例えば、イラク戦争でバグダッドが陥落したときのニュース映像を皆さん覚えていらっしゃるでしょうか。イラク国民が公園でフセインの銅像を引き倒して歓喜している場面が流れました。ところが、後日、公園全体を映した映像が公開されたところ、銅像の先にはロープが付いていて、アメリカ軍の戦車が引き倒したものだということが分かりました。フセインの圧政に苦しんだ市民が自発的にフセイン像を倒したのではなくて、アメリカによるやらせ映像だったということが分かったわけです。
映像は幾らでもこのようにうそをつくことができます。どの部分を選択するかで全く違ったメッセージになってしまうと。こうしたメディアリテラシー研究を踏まえて、各国では取調べのカメラの台数を増やすなど、様々な工夫をしております。私は、こうした映像の特性を考えれば、一部可視化は言語道断だというふうに思いますが、法案提出者の皆様はこの一部可視化についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○松岡徹君
メディアリテラシーの問題は昨今大変重要な問題になっておりますが、今回の私たちが提案をしている法案は、すべての場面を可視化するということであります。検察の方では既に一部録音、録画を実施しているということでありますけれども、まさに編集が故意に編集されるという可能性があるわけでありまして、この法案の中にもそういったことを防止するような条項を設けておりますが、警察、検察がもう既に行っている一部の録画、録音というのは、結局、被疑者に自白後に供述調書を読み聞かせるところ、あるいは確認する場面とか、その動機を尋ねるところでありまして、それで十分だというふうにおっしゃっていますけれども、むしろ問題は、その供述に至るまでの取調べの内容が問題なわけでありまして、逆に、裏返して言えば、そこまで検察、警察が取調べで自白を、供述調書を取ったと、それの証明をして、署名をしている場面を録画するならば、そこまで自信のある結果を録画、録音するならば、その前のすべての取調べも録音すればいいだけの話でありまして、そういう意味では、私たちは一部の録画、録音というのはまさにこの趣旨に合わないというふうに思っております。
ちなみに、メディアの、言うところのメディアリテラシーという部分では多少今回の録画、録音の趣旨とは違うかと思いますが、そういう疑いといいますか懸念が生じる以上は、すべての場面を録画、録音するべきだという立場に立っております。
○松浦大悟君
一部の切り取られた映像というのは、確かに現実を映しているかもしれないが、それは真実ではないということを強調しておきたいというふうに思います。
次に、裁判の長期化の大きな要因に自白の任意性の争いがあると思います。これは全面可視化によりかなり改善されるのではないかというふうに私は考えますが、法案提出者の皆さんはどのように思われるでしょうか。
逆に、検察や警察で進められている一部可視化ではどのようになるというふうにお考えでしょうか。
以前、テレビ番組で行われた実験がございます。その実験では、一部の可視化では、一般国民はその自白が正しいのか無理やり自白をさせられたのか見分けが付かないという結果が出ておりました。一部の可視化では逆に私は裁判が長期化してしまうのではないかというふうにおそれを抱いていますが、法案提出者の皆様の御意見を伺わせてください。
○松野信夫君
委員からとてもいい指摘がありまして、私も委員と同様の認識を持っております。
我が国の刑事裁判というものは、密室での取調べ、そしてその結果得られる自白調書、これに大変依存をしているわけでありまして、そうすると、その供述調書が作成された過程が果たしてどのようなものであったか、本当に任意に自発的に発言がされたのか、取調べがどうなされたか、これが時として裁判の大きなテーマになって、何人もの取調べ官が法廷に呼ばれては証人尋問を受ける、それが裁判長期化の非常に大きな要因になっていたわけであります。
我々が主張するこの取調べの全面的な可視化をすることによって、一つには、そういう不当な取調べを抑止するという効果が期待できるわけでありますし、またもう一つには、何人もの証人を裁判所に呼んで取調べがどうだったかというものをやる必要がない。ビデオできちんと確認をすれば、ある意味では立ち所に取調べの様子が分かるわけでありますので、長期化を防ぐ非常に大きな要因になるだろうと思っております。
それから、一部の可視化ではどうかということでありますが、現在行われている一部の可視化というものは、まさに自白をした部分、供述調書読み聞かせの部分、ここだけをビデオ録画するということでありますので、それまで実際にはどういう取調べをしていたのか、肝心なところが抜け落ちるわけであります。かなり厳しい追及的、威迫的な取調べをして、それで完全にもう何を言っても聞いてもらえない、結局迎合的な形になってしまって、その迎合したところだけ取るということになるとやっぱり任意性が争われる、任意性が争われると取調べ官を次から次に証人尋問しなきゃいけないと、こういうことで、一部ではかえって裁判の長期化を招きかねない、このように考えております。
○松浦大悟君
これまで密室での捜査の在り方には様々な批判があったわけでございますが、もし全面可視化が実施されたならば、警察官もこれまでの取調べの方法と意識を変えなければならなくなるでしょうか。その点はどうでしょう。
○前川清成君
前回の法務委員会で少し、私、米田刑事局長と議論をさせていただいたんですが、そもそも、可視化を待たずとも、裁判員制度がスタートすることによって警察の捜査の在り方というのは大きく変わらざるを得ないのではないかと、私はそう思っています。
司法制度改革の一環として裁判員制度がスタートいたしまして、三人の職業裁判官とともに六人の裁判員の皆さん方が刑事裁判を担っていただくわけですけれども、この裁判員の皆さん方に、今までのように、何百ページあるいは何千ページという供述調書を御自宅に持って帰っていただいて、そして裁判官のようにそれを読み込んでまた裁判に臨むということは事実上不可能です。ですから、裁判員裁判のその場所で目で見て分かり、耳で聞いて分かる、そういうような立証をしなければならなくなります。
捜査というのはもちろん刑事裁判を前提としてあるわけですから、目で見て分かる、耳で聞いて分かる立証手段を考えて捜査も進むわけで、そういう意味からしますと、膨大な調書を作ったところで、結局は刑事裁判の役に立たないというか、刑事裁判に提出することができないわけでありますので、是非警察やあるいは検察庁においてもその点を御認識をいただいて、より分かりやすい捜査の在り方、要するに、密室で被疑者と向かい合って、そして延々と一人称の供述調書、物語風の供述調書を作ってそれを裁判所に出すという今までのやり方では裁判員制度が維持できないということを是非御理解をいただいて制度の改革等にお努めいただきたい、こんなふうに思っています。
○松浦大悟君
私は裁判員制度を成功させたい、だから警察の皆さんにも変わってもらいたいと思います。私たちと一緒に公正な取調べの方法を目指して頑張りましょう。
以上です。 |
10:00, Thursday, Apr 23, 2009 ¦ 固定リンク
【少子高齢化・共生社会に関する調査会】2月25日(水) 〜都市におけるコミュニティの問題点〜
○松浦大悟君
民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟と申します。
今日は、貴重なお話、どうもありがとうございました。私の地元は秋田県でございまして、まさに高齢県でございます。都市と地方の違いはございますが、今日のお話、大変参考になりました。
そこで、今日は、三人の参考人の皆様それぞれに質問をさせていただきたいと思います。
まずは、川上参考人。
川上参考人からは、時代とともに家族が変わってきたのだということ、家族による相互扶助ができにくくなっているというお話を伺いました。そうした中で、高齢者の貧困問題、これは早急に取り組まなくてはならない、制度がサポートすべき問題であるというふうに認識をしております。
ただ、私は、制度は制度としてやっていかなければならないとは思うのですが、社会の側も変わってきているのではないかというふうにも思います。例えばヨーロッパであれば、不況になると、家から出ていった子供が再び家に戻ってきて家族間で相互扶助を行うということがあり得るわけですけれども、日本ではそうはならないと。一体、日本の家族はどうなってしまったんだというふうに思います。
これは一体何なのか。どうして家族はこのように変わってしまったのか。先生の研究でお分かりになることがあれば教えていただきたいと思います。
それから、片山参考人に伺います。
片山参考人からは、本当に地域医療のすばらしい姿、理想の姿を見せていただきました。特に印象に残ったのが、あの笑顔の家族全員で写った写真であります。ああいう介護ができればなというふうに私自身も思いました。
ただ、それを支える家族の負担というのも大きいものがあるのではないかというふうに思います。地域医療、在宅医療となると、それを支える家族のケアも同時に考えていかなければならないのではないかと。家族が頑張り過ぎて壊れてしまっては何にもならないので、その家族に対するケアについてはどのように考えていらっしゃるのかということをお聞かせください。
それから、元山参考人。
元山参考人自身もおっしゃっていましたが、確かに永山福祉亭のようなコミュニティーがあれば、そこに積極的に参加できる方はいいのですが、できない人も確かにいらっしゃいます。そうした人をどうすればいいのかというのは本当に大きな問題だと思います。会社一筋で働いてきた方が定年退職をされて、気付いてみれば地域には友達はだれもいなかったと。年を取ってから友達づくりをやろうと思っても、なかなかそのスキルというのは身に付けることはできにくいというふうに思います。
特にニュータウンでの孤独死というのは、五十代、六十代の男性というのも少なからずいらっしゃいます。こうした男性に対して友達をつくるスキルというのはどうやって身に付けていけばいいのか、そもそもそのスキルというのは身に付けることはできるものなのかどうか、御経験からお分かりになることがあれば教えてください。
以上です。
○参考人(川上昌子君)
松浦議員さんというふうに言ってよろしいのかどうか、どういうふうに呼びかけていいのかがよく分かりませんが、私も今日の話を引き受けましたときに最も考えた点なんです。
もしかしたら、二〇〇〇年に介護保険ができましたですね、介護保険ができたことが家族を大きく変えたのかということも一つ考えました。しかし、今日は、一九九〇年、それから二〇〇〇年、そして二〇〇五年と、この三つの時点を結びながらお話ししました。一九九〇年から二〇〇〇年の間にもう変わってしまっているんですね。二〇〇〇年の後ではないので、その前。ですから、介護保険のせいではないというふうに考えることができるだろうというふうに思っております。
レジュメの下の方、下から六行目辺りですけれども、子供、親双方の生活条件と意識の変化を反映して変わってきたのかと、ここに書いております。条件と意識と両方だろうと。その条件としては、プラス、マイナス両方あるだろうと思っています。子供の収入それから親の年金も多少それぞれ上がったということが、相互に寄り合わなくてもそれぞれ独立して生計が営めるという面はかなり強まったのだと一つ考えます。
それと、子供の生活の環境が、子供の仕事の環境が変わってきたのではないか。一つは、非常に長時間労働になってきていまして、若い世代が都心志向に非常になっておりますよね。私は千葉市に住んでいます。都心まで一時間半のところに住んでいるんですが、私のうちの周辺、一時間半のところでは、若い世代はやってこないんですね。それは多分忙し過ぎるのだと。都心にマンションを買ってそこで住むというような、そういうことの変化も起きてきているのではないか。
それと、もう一つは意識だろうと思います。皆さんがおっしゃるのは、娘を持っていればよかった、息子は当てにならないと。周りを見ましても、まさにそのとおりなんですね。娘さんとはうまく同居ができている、あるいは隣居ができている。だけれども、息子さん夫婦とはかなり離れてしまうというようなこと。嫁がしゅうと、しゅうとめを面倒見なければいけないという、この意識はもう明確になくなってきたというふうに思っております。
以上です。
○参考人(片山壽君)
今日お示しした家族の風景は最も理想的なものです。
それから、やはりがんの方で在宅で緩和ケアをされる場合、病院から帰られた後、非常にこれは短期なんですね。だから、短期集中の家族の機能がそこで示されれば、そう何か月もというケースは少ないですから。ここに置いてなるべく家族の方が、例えば子供さんが仕事を休んででもということも、一週間、二週間ということはあり得ます。今日、この資料の五ページでもお示ししているように、家族機能の維持・向上サポートというのを一番上に出しているのはその意味です。
在宅医療というのは、御本人一人で成り立つものではなかなかないんです。それは、いずれにしたって、医療が行われるにしても介護力ありきです。だから、長期継続的な多重な介護ですね。例えばALSの方、人工呼吸器が付いている、奥さんが十四年間見られている方を知っています。その奥さんのサポートなしには医療も通用しないわけです。
だから、いかに病状と、そこに投下されるべきサポート体制は何が必要かということは、それがケアカンファレンスの一番の議題になります。
だから、レスパイトケアという、要するに介護者に休んでいただくということだけを念頭に置くんではなくて、やはりもうそばを離れたがられない一生懸命されている奥さんとか御主人とかおいでなわけですから、そこに安心して介護ができる環境をつくることこそが、支援型の医療と言っているのはそういう意味です。
理科系の考えではなく、文科系の考えということもあります。理科系と文科系のフュージョンでなくては在宅医療というのは成立しませんから。医学というのは科学ですけれども、医療というのは物語だと。これは河合隼雄さんが言われたすばらしい言葉ですけれども、これは一人一人全部違うんですね。定型的な家族介護だとか長期継続の医療というのはないです。
家族環境によったり、あと所得の、今日、その資料の最後にお示ししているのはまさにその費用の問題。だから、東京水準に合わされて負担金とか決められているというのでは困ると。地域はやはり低所得です。その方は医療費に負担を感じながら長期に介護される。これを今日は、時間があればそこのところをお考えいただきたいところですけれども。
やはり長期の方については、本当にバーンアウトしないようにするということを一番最初からそこをプログラムを組んだのが、いわゆるマネジメントをきちっとやって、その方、奥さんがバーンアウトしないようにと。そこが、だから、周りが一生懸命やって、カンファレンスでいつもそばでやって周りがみんないますと、非常に奥さんが周りに助けられているから頑張れると。そういうことこそが多職種協働のなせる業なんですね。
だから、一応これは、家族の負担というのは当然ありますから、今日のスライドの中にも何枚も家族機能の維持、サポートということを入れています。
それから、特に認知症の方について、家族の方が悪化要因になっている事例もかなり多いんですね。だから、認知症治療だけではなくて、家族医療学というものを今言っております。良くも悪くもなるのもあなたの愛情次第ですよと。例えば、高齢者のおばあさんが認知症になられて、おじいさんが結構いじめる人がいるんです。あなた、これだけ六十年も付き添っていて、今この方が治るか治らないか、薬より効くのはあなたの愛情ですよ、どうしますかというようなことを毎日言っているんです。
だから、これは家族の問題、夫婦の問題、人間対人間の問題、いろんなことがありますけれども、家族の中がうまく、今日出たような、理想的な家族の場合のものを一枚出しましたけれども、あの方が非常に立派な方で、家族の方をよく育てられた。そこにはやっぱり家族教育というものがなされている。結果、すばらしい家族ができていると。
そういうことは、だから家族の問題を考えるときには、やっぱり教育とかいろんな、就労環境だとか、すべてを含んだもう国家最大の問題だと思っております。
○参考人(元山隆君)
いつも悩んでいる話ですので、お答えがなかなか見付からないんですけれども。
行政では、公民館を中心に、団塊世代の方が多いので、そういう人たちが地域に下りるためのいろんな講座あるいはイベントをやりまして、呼びかけはしております。ただ、なかなかそういったものに乗っていただけない方がほとんどです。
地域の中で自主的にラジオ体操とかあるいはウオーキングとか、そういったことをやられている団体もありまして、そういったところに出かけていかれる方はまだそういうコミュニケーションを取れますからいろんなチャンスがございますけれども、そうじゃない人に手を差し伸べるのは、お答えがありません。済みません。
○松浦大悟君
ありがとうございました。 |
13:00, Wednesday, Feb 25, 2009 ¦ 固定リンク
【法務委員会】6月5日(木)後半〜少年法の一部を改正する法律案について〜
○松浦大悟君 欧米では修復的司法が行われていますけれども、日本においてこれを導入するのであれば少年院だろうという声が非常に大きいです。アメリカでは、少年院から出るときに、おまえは社会に何をするのかと十項目の約束をさせたりだとか、被害者に対してどう贖罪をするのかと宣誓をさせたりしています。それをコーディネーターが見届けて、被害者も出席し、何度もミーティングを重ねてお互いにお互いを結び付けていくと、こういうことが行われているわけでございますが、日本の少年院においてこうした修復的司法は可能なのかどうか、取り入れることは可能なのかどうか。また、それが難しいとするならば、どういう条件をクリアすればこれを取り入れることは可能だと考えられているのか。そうした修復的司法についての研究というのはされているでしょうか。
○政府参考人(梶木壽君) 我々なりに、諸外国で努力をしておられるものを現場の教官を中心に勉強をしているところでございます。
先ほど申しましたように、これを修復的司法というふうに呼ぶのがふさわしいのかどうか分かりませんが、実態としては、少年の改善が進んで、少年が直接謝りたいという意向を漏らした場合には、先ほど申し上げたような点を慎重に検討して実施の可否を決めているところでございます。
これを実施する場合には、謝罪の手紙を出させるという選択をする場合もございますし、施設内で被害者の方と面会をさせるという場合もございます。それから、更に進んで被害者等の下に赴いて謝らせるというような手法をつくることもございます。
非常にセンシティブな部分を含んでいる、事案によって被害者と加害者の関係というのが千差万別であるということがありますので、慎重に事案、事例を積み上げて努力していきたいというふうに考えているところでございます。
○松浦大悟君 次に、非行や事件を起こした少年の実名が報道されると、大変社会に復帰する際の妨げになります。実は、今現在において少年審判では被害者遺族の意見陳述が認められていますけれども、大変混乱が相次いでいるそうです。
四月二十八日の東京新聞にこんな記事が載っています。ちょっと読み上げます。
少年審判での意見陳述を認められた被害者遺族が、審判廷で加害者の少年に物を投げ付けたり、閉廷後、ネットに少年の実名を書き込み、態度を非難したりするケースがあったことが、二十七日、日弁連少年法問題対策チームの調査や関係者の証言で明らかになった。悪魔、あなたが死ぬまで許さないなど陳述する被害者もいたという。政府は今国会に被害者の審判傍聴などを認める少年法改正案を提出している。これに先行して裁判官の裁量で審判での意見陳述を認めたケースで混乱が出ていることは改正案の審議にも影響を与えそうだ。
こういうことでございます。当然、被害者遺族の皆さんは加害少年に対して怒りを持っているわけですから、ばり雑言を浴びせたり収まらない気持ちをブログにつづるのは、これは当たり前だと思います。多分、傍聴を認めればこうしたケースは数多く出てくるのではないでしょうか。
少年法第六十一条では、審判に付された少年又は少年のときに犯した罪で公訴を提起された者について、氏名、年齢、職業、住居、容貌等、本人を推知させるような記事や写真を新聞その他の出版物には掲載してはならないとするとされております。
被害者遺族が少年の実名や生育歴をブログに書き込んだ場合、法務省はこれは勧告を行うのでしょうか。また、この新聞記事のケースでは勧告は行ったのでしょうか。お聞かせください。
○政府参考人(富田善範君) お答えいたします。
委員御指摘の新聞記事の件につきましては、少年又はその保護者からの被害申告もなく、私どもとして削除要請は行っておりません。
こういった事例についてどのような判断基準で行うかということになりますけれども、法務省の人権擁護機関では、インターネット上のブログ等において、名誉毀損やプライバシー侵害等に当たる悪質な書き込みがされたとして被害申告がされるなどした場合、プロバイダー等に対しその書き込みの削除を求めるなど適切に対応しております。
少年の実名がインターネット上のブログ等に書き込まれた場合、これは主として少年のプライバシー侵害の成否という観点から、関連する最高裁判例等を踏まえ、その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較考量し、その事実を公表されない法的利益が公表する理由に優越する場合に削除要請を行っております。
また、法務省の人権擁護機関がプロバイダー等に対して行う削除要請は、表現の自由に配慮し、被害者自ら被害の回復・予防を図ることが困難な場合に限って行っております。
本件につきましては、新聞等によりますと、一部実名等について削除、訂正等がされたりしておりますので、被害者自ら被害の回復・予防を図ることが困難な事案に当たるとは言えませんので、申立てがない以上、こちらから要請は行っていないということでございます。
○松浦大悟君 その基準、法律がどのように運用されているのかというのがよく分からないんです。
例えば、光市事件の本村洋さんが週刊新潮に少年の実名を書いたところ、法務省から勧告が来たといいます。しかし、ジャーナリストの日垣隆さんが文芸春秋に本村さんの奥さんと子供を殺した少年を実名で書いたにもかかわらず、勧告は来ていないといいます。
少年法第六十一条には罰則がありません。そうすると、書いた者勝ちになるのではないかというふうに危惧をいたします。法務省は、勧告するしないの線引きをどのようにされているのでしょうか。また、それは今後増えるであろうこうした情報流出に歯止めを掛けることになるとお考えになっているでしょうか、どうでしょうか。
○政府参考人(富田善範君) 委員御指摘のように、少年法六十一条では実名を公表してはならないということになっております。
先ほどのプライバシー侵害に関する公表されない利益と公表する理由の比較考量ということにつきましては、少年の実名に関する推知報道に関する平成十五年の最高裁判決に基づいております。
それ以前におきましては、基本的に少年法六十一条の利益は上回るという見解が大勢を占めておりましたので、法務省としましても、基本的に実名が公表されればそれは人権侵害であるといった勧告をしてまいりました。しかし、平成十五年の判例が出てからは、これは慎重に比較考量して判断すべきという判例が出ておりますので、それに基づき、各事例に応じて慎重に判断し、削除要請するかどうかを考えているところでございます。
○松浦大悟君 では、今回の法改正により、犯罪被害者等が傍聴できるようになった場合に、さらにブログやインターネット等を通して少年審判の中身を公表するようなケースがあった場合に、傍聴によって知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、傍聴により知り得た事項をみだりに用いて少年の健全育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならないというふうになっていますが、この場合は勧告を行うのかどうか、具体的にはどのようなケースを守秘義務違反とされているのか、これに当たらない情報はどういうものなのか、教えてください。
○政府参考人(富田善範君) 考慮すべき事情としては、具体的には、少年の年齢や社会的地位、犯罪行為の内容、情報が伝達された範囲、少年の被る具体的被害の程度、書き込みの目的や意義、公表時の社会的状況、公表の必要性、その事実を公表されない法的利益などの様々な事情を個別具体的に検討することになります。
過去の事例において検討しました内容としましては、死刑、無期懲役等の判決が宣告され、重大かつ社会的関心が高い事件であって、元少年らがいずれも犯行当時年長少年であった、あるいは報道の時点で成人に達していた、あるいは殺人という重大な犯罪を犯した後、逃亡し、所在不明に至っており、被疑少年の早期発見という公益的要素があったとか、少年が既に死亡した後の報道であるといったような事情を考慮して勧告あるいは削除要請をしない事例がございました。
今後とも、そういった具体的事情を見ながらプライバシー侵害の有無を慎重に検討して判断してまいりたいと考えております。
○松浦大悟君 その場合には、どのような罰則が想定されているんでしょうか。
○政府参考人(富田善範君) 人権擁護機関の行うものは、任意の調査に基づく勧告、そして説示、あるいは削除要請ということでございまして、現在のところ罰則等があるわけではございません。
○松浦大悟君 結局のところ、名誉毀損罪ですとか民事的な損害賠償ということになろうかと思うんですが、民事はもちろん、名誉毀損罪も親告罪ですよね。そうしますと、少年側が訴えるということになります。そうしますと、審判を受けている、あるいは更生に向かっている少年側が犯罪被害者等を訴えるということになります。これは現実的には大変難しいのではないかというふうに思います。訴えたことによって、反省していないというふうに受け取られかねません。その後の社会復帰にも悪影響が予想されますが、こうしたことから何らかの制度的な担保が必要ではないかと思いますけれども、その辺りはどうお考えになっているでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいま守秘義務違反等に対する制裁についてのお尋ねがあったわけでありますけれども、名誉毀損罪の告訴あるいは民事の損害賠償請求の提起につきましては、これは本来、少年が犯した非行あるいはその非行についての本人の反省の度合い等とは全く別次元の事柄であるというふうに考えます。
したがいまして、仮に被害者等が傍聴により得た情報を用いて関係人の名誉を毀損した場合、あるいは違法にプライバシーを侵害して関係人に損害を与えた場合には、やはりこれは少年やその保護者等により適切な対応がなされるのではないかというように考えております。
こうしたことも含めまして、今の損害賠償あるいは名誉毀損罪あるいはそうした義務違反の被害者に対しては、その後、審判の傍聴あるいは記録の閲覧、謄写等が認められなくなるだろうというような事実上の不利益等々にかんがみまして、それに加えて守秘義務に違反した場合の罰則を設けることにつきましてはなお慎重な検討が必要なのではないだろうかというふうに考えております。現在の記録の閲覧、謄写につきましても同じような問題が生じ得るわけでありますけれども、これにつきましても直接の罰則は設けられておらないということでございます。
○松浦大悟君 その情報が漏れた場合に、少年の更生や社会復帰に悪い影響があるというふうに考えますが、社会復帰のための被害の回復というのはどのように行っていくというふうに考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) まずは御指摘のような情報が漏れるということがないように、この法律案では傍聴する者等に対し守秘義務が課せられ、また様々な担保措置が講じられているわけであります。
ただ、万一それでも漏れた場合にはどうするのかという、そういうお尋ねかと思いますけれども、少年につきましては、その更生や社会復帰を図るために、少年審判それから処遇の過程におきまして個別の事情がきめ細かく配慮されることになっております。万が一、審判の過程で少年に関する情報が漏れた、そういう事態が生じた場合におきましても、関係機関におきましてそうした事情も考慮の上、更に少年の更生あるいは社会復帰に向けて適切な対応が行われるというように考えております。
○松浦大悟君 それでは、審判の傍聴において遺族が物を投げたり、ばり雑言を投げかけたりするケースが続出しているわけでございますが、こうしたことについて今後どのような対処を行っていくのかを聞かせてください。
○政府参考人(大野恒太郎君) この法律案におきまして審判の傍聴を認める仕組みでありますけれども、裁判所が少年の年齢、心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮してきめ細かく相当性判断を行うということになっておりまして、その中には、例えば被害者の気持ちが収まっておらずに少年に対する報復的な行動を取ることが予想されるような場合、こういう場合には傍聴を許可しないことになるんだろうというふうに考えております。
そういう判断を裁判所が行うに当たりまして、裁判所といたしましては、家庭裁判所調査官の調査報告書あるいは重大事件について行われる被害者調査の結果等を参考にするわけでありますので、少年の状態だけではなしに、被害感情等被害者側の事情、被害者と少年の関係についても十分把握できるのではないかというように考えております。
また、いったん傍聴を認めた場合でありましても、仮に被害者等が不当な行動に出た場合には、当然そういう行為を制止し、被害者に退席を命ずることもできるわけであります。
先ほど、非常に問題のある事例が続出しているのではないかという御指摘でありましたけれども、まれにそういう事例は生じた事実があったといたしましても、そういう事態が今後、今回の法改正によって続出するようなことにはならないんじゃないかというふうに考えております。
○松浦大悟君 結局、今被害者遺族の方たちは、事実を知るために民事の裁判を起こさなければならないというところに追い込まれているというふうに私は認識をしています。
この民事では、弁護士は少年に対して大変厳しい追及をいたします。弁護士の皆さんは、少年審判を対審構造にすると少年が萎縮するとか健全育成に良くないということをおっしゃるんですが、しかし、今現在においてすべてこれは民事でやられていることだというふうに私は思うんです。一方では健全育成ということを弁護士の皆さんは言いながら、一方では同じ弁護士の皆さんが民事の裁判において少年を厳しく追及している。反少年法的なそういう現場になっているというふうに私は思っています。
今回の法改正によって事実を明らかにすることがある程度できるということになるのであれば、こうした民事の裁判というのは今後少なくなっていくのかどうか、どのような見通しをお持ちでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 被害者側が加害少年に対して提起する民事訴訟につきまして、もちろんいろいろな事情があるんだというふうに考えております。ただいま委員が指摘されました少年審判の記録を見たいという理由で民事訴訟を起こす事例もあるということは私どもも耳にしておりますけれども、一体そういう事例がどれくらいあるのか、数として把握しているわけではありません。
ただ、今回少年審判の傍聴が認められ、また少年保護事件の記録の閲覧、謄写が拡大されるということによりまして、仮に審判記録を見たいということで民事訴訟を提起するというような被害者の方々がおられたとすれば、今回の制度改正によって記録を見る、記録を確かめたいと、審判の中身を確かめたいという要望は相当程度満たされるのではないかというふうに思いますので、そうした理由からの民事訴訟は提起されなくなるのではないかというふうに考えております。あくまでもこれは推測でございます。
○松浦大悟君 続いて、修正案部分を中心にお話を伺っていきたいと思います。
家庭裁判所による被害者等への説明について質問いたします。
説明する側は犯罪被害者等基本法の趣旨にのっとり説明に当たるべきであり、間違っても被害者等に対して二次被害を負わせるような対応をすることがないよう、この点、ある意味特殊な専門的技能が必要ではないかと本会議でも指摘をさせていただきました。懇切を旨として、和やかに行うのは加害少年に対してだけでなく、被害者に対してはそれ以上に懇切に説明することが必要になるかと思われます。
実際の運用については最高裁で検討されると思いますが、修正案の提案者としてはどのような点に留意されて検討されることを期待しておられるでしょうか。
○衆議院議員(細川律夫君) 家庭裁判所による被害者等への審判の状況を説明をすると。この修正は、傍聴された方はまだその状況が分かると思うんですけれども、傍聴が許されなかった、許可されなかった、あるいはまた傍聴して真実を知りたいと思っても、法廷で加害者と目を合わすのはできないような、そういう心理的状況にある人などは傍聴できませんから、そういう方に審判の状況を説明してもらって、それでその中で被害者等が知りたいことが説明をしてもらえると、こういうことでこの修正ができたわけです。
そこで、犯罪被害者基本法でその理念というのは、やはりすべての犯罪被害者は個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇が保障される権利を有すと、こういうことでありますから、当然、説明を受けるときには説明する側は十分そのことを配慮して、二次的被害が起きないようにすることはもちろん、懇切丁寧に説明をすべきだというふうに思っております。そのためには、いろいろな犯罪被害者の方の心理を十分にまた裁判所の方も研修などで身に付けていただきたいというふうに提案者の方は思っております。
○松浦大悟君 最高裁としてはどのように運用するつもりなのか、どのように説明をされるつもりでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) お答え申し上げます。
今回の修正案に基づく被害者等に対する説明制度の運用についてお尋ねがございましたが、この制度が導入された場合には、実際の制度の運用につき必要な検討を行った上で、二次被害を与えないようにすることを含め、制度の趣旨を踏まえ、被害者の方の心情に十分配慮した説明がされるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○松浦大悟君 次に、調査官について伺いたいと思います。
被害者遺族の方たちからお話を伺いますと、どうも今の調査官制度では限界があるのではないかというふうに私には思えます。調査官が被害者の声を全く聞いてくれない、被害者側の情報を裁判官に上げてくれない、こちらから出向いても追い返される、こうした積もりに積もった不満が調査官への不信感につながっているんだろうというふうに思います。
実際のところ、法務省にはどのような苦情がどれぐらい届いているか、これは最高裁に伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) お答え申し上げます。
委員御指摘のような苦情は恐らく各裁判体の審判運営上の判断に関するものと思われますが、事務当局といたしましては把握しておりません。
以上でございます。
○松浦大悟君 これだけ週刊誌やいろんな本で指摘をされていることなんですよ。これを把握していないということはどういう状況に最高裁としてあるのかということを疑ってしまいます。
たくさん苦情が届いていると思っていましたので、そうした意見を踏まえてどのような改善、研修が行われているのかということを質問しようと思ったんですが、状況が分かってないんじゃ、これ質問できませんね。どういうことなのか、最高裁の中はどういう状況なのか、伺わせてください。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) 平成十二年改正少年法で被害者配慮制度が導入されたことも踏まえ、近年、全国の裁判所におきましては、犯罪被害に遭われた方やその御遺族、あるいは被害者支援に携わっている方、さらには犯罪被害者問題に関する専門家等のお話を直接伺い、家裁調査官を含めた個々の裁判所職員が被害者の方の心情や痛みというものを理解して応対するための研究会あるいは研修等を実施しているところでございます。
今後も、被害者の方の痛みやつらさといった心情に少しでも理解が深まっていくよう、職員に対する研修などを実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○松浦大悟君 加害者に対しては調査官の皆さんはお話を聞くということはあるけれども、被害者に対してはそういったお話を聞くという意識を持っていらっしゃらないのではないかと思えてなりません。
昨日も家庭裁判所の調査官の方が要望書を持ってこられましたけれども、これからは加害少年、被害者等に双方に向き合うことになるわけです。家庭裁判所の裁判官や調査官の方々の負担もかなり増えていくのではないかと思います。被害者等の要望にきちんとこたえられるような、そうした体制にしていくためにも充実をさせていかなければならないというふうに考えるんですが、修正案の提案者としてはどのように期待をされているでしょうか。
○衆議院議員(細川律夫君) その点につきましては、裁判所の調査官などの仕事の量も増えるでしょうし、また、被害者の気持ちをよく理解するためのそういう専門的な、学問的な研修もされなければいけないと、そういうふうに思います。そうしますと、やはり現在の人的な人数ではとても対応ができないんだろうと、そのためには思い切った人員の増員も必要であろうというふうに思います。そういう意味では、私どもとしては、被害者の皆さんにきちんと対応できるような人的な増員をきちっとできるように望んでおるところであります。
○松浦大悟君 今、その人員を増やす必要があるだろうというお話がありましたが、最高裁に伺います。
現在、既に人は増えないのに仕事は二倍に増えたという調査官の皆さんの声も聞かれます。少年審判における被害者等の傍聴により、更に仕事量は増えると思います。例えば調査官の人数を増やす、あるいは加害少年側と被害者側、別々の調査官を付けて複数制にするなどのやり方、様々考えられると思うんですが、最高裁としてはどのように改善していくお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) お答え申し上げます。
これまで家庭裁判所の人的体制の確保に努めてまいりましたが、今後とも、今回導入されることになる制度の詳細や、あるいは制度実施後の運用状況、さらには少年事件の動向等を踏まえまして、必要に応じて適切に対処してまいりたいと考えております。
以上です。
○松浦大悟君 今までの議論の流れからいって、人員を二倍に増やすというふうに解釈してよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、今回の導入される制度の運用状況や、あるいは少年事件の動向等も含めて十分検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○松浦大悟君 それはいつまでに検討されるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) 今回の新しい制度が導入され、その後の運用状況を十分見極め、さらには先ほど申し上げました少年事件の動向等も見極めながら検討してまいりたいと考えております。
○松浦大悟君 それは一年ですか、二年ですか、十年ですか。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) それは、これから導入してどの程度の今度の制度の利用者が増えるか、そういったことも含めて検討しなければなりませんので、一年なのか二年なのか、そこら辺については今の時点で確定的なことはお答えできないことは御理解いただきたいと思います。
○松浦大悟君 そうすると、十年の可能性もあるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(二本松利忠君) その十年というスパンがどういうことで出てきたのか分かりませんが、先ほど申し上げましたように、必要があれば一年後でも対応することになるでしょうし、それは三年後ということもあり得るかと考えております。
以上です。
○松浦大悟君 十年後と言ったのは、あなたがやる気がないのではないですかといった私の皮肉です。
続いて、付添人について質問をいたします。
家庭裁判所が被害者等の審判傍聴を認めるには、付添人の意見をあらかじめ聴くという慎重さが必要だと私は思います。一方、多少懸念があるのは、私の事務所にもファクスや郵便で大量に各地の弁護士会から反対意見が送られてきていますが、被害者等の支援を主に活動されてきた弁護士の皆様以外の弁護士会の多くが今回の少年審判における被害者等の傍聴に反対していることです。弁護士である付添人の多くもこのような考えを持っておられるかもしれません。実際は、その少年ならば心身に及ぼす影響がないような場合でも反対するようなケースも出てくるかもしれません。
そこで質問ですが、家庭裁判所は付添人の意見にどの程度左右されるんでしょうか。もちろん全く影響されないというのも問題だとは思いますが、必ず拘束されるというのも問題ではないかと思います。修正案提出者のお考えを聞かせてください。
○衆議院議員(細川律夫君) 少年審判の傍聴というのは少年にとっては大変大きな問題でございますから、したがって、判断するためには専門の弁護士を付添人として付けて、そしてその意見を聴くということにしたわけでございます。
そこで、裁判官がその付添人の意見にどの程度拘束されるのか、あるいは拘束されないかということにつきましては、それはそのときそのときの事件の内容によっていろいろその裁判体が判断をすることでありまして、付添人の意見に拘束される、あるいは拘束されないというような形での裁判官の判断では私はないと。裁判官が独自の自由な判断で少年の健全な育成に阻害がある、可能性があるとなればそれは許可をしませんし、そうでないということで相当というときには許可をされると、こういうふうに裁判官が判断をされると思います。
○委員長(遠山清彦君) 松浦大悟君、質疑時間、終局しております。
○松浦大悟君 今回の法改正で弁護士の皆さんもお考えを変えていかなければならない部分も出てくると私は思います。今後どのように弁護士の皆さんが被害者等の傍聴に対処されることになるのか、期待をしたいと思っております。とにかく、これは少年法の精神を守りつつ被害者遺族の方たちの尊厳も守るという、この両方を両立させていかなければならない話だと思いますので、そのことを改めて確認をさせていただき、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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12:18, Tuesday, Aug 05, 2008 ¦ 固定リンク
【法務委員会】6月5日(木)前半〜少年法の一部を改正する法律案について〜
○松浦大悟君 民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟でございます。
前々回、前川議員が冒頭、裁判でのうその証言をすると偽証罪ですが、国会でうその答弁をすると罪にはならないんですかという質問をされました。今日は私が同じ質問を警察庁にしてみたいと思います。
警察庁、裁判でうその証言をすると偽証罪ですが、国会でうその答弁をすると罪にはならないんでしょうか、どうでしょうか。警察庁にお伺いをいたします。
○政府参考人(米田壯君) ちょっと質問の御趣旨がよく分からないんですが、国会においての答弁がどのような責任を問われるかということについては私どもが答弁すべきことではなく、国会で御判断されるべきことであろうと考えております。
○松浦大悟君 私は、犯罪にならないからといって国会でうその答弁はしてもらったら困るというふうに思うんです。なぜなら、私たちは国民の代表としてこの席に座らせていただいて、国民に代わって質問をさせていただいているからです。うその答弁は国民に対してうそをつくことにつながるというふうに私は思います。
実は、前回、大阪澤野事件について警察庁に質問をさせていただきました。大阪澤野事件における交通事故の調書の捏造疑惑について質問をいたしました。それについて警察庁の御回答は、きちんと処分をしていると、数字はございますということでした。直ちにそのような数字を調べた上で御連絡を申し上げるということでございましたが、これが真っ赤なうそでございました。
質問が終わって、議員会館に帰って自分の部屋でくつろいでいたところ、真っ青な顔をして警察庁の部下の方が私の部屋に飛び込んでこられました。松浦さん、データを出すことは今すぐにはできません。どういうことですかと聞きましたところ、ほかの公文書の偽造と一緒になっていて、これが分類していないんだと。今すぐには出せない、これから各都道府県警に連絡をして調査するから待ってほしいということでございました。あれだけ胸を張って把握しているというふうにおっしゃっていたのに、やはり把握をされていらっしゃいませんでした。
その後、待てども待てども連絡がないんです。やっと連絡が来たのが十二日後、そして、いただいたのがこのペーパーです。たった二行の御回答でございました。二行作るのに十二日間も掛かったのでしょうか。
これ、なぜこんなうそをついたのかということをお伺いをしたいんです。一年生議員だから丸め込めるというふうにお考えになったのでしょうか。警察庁、いかがでしょう。
○政府参考人(米村敏朗君) お答えをいたします。
お尋ねの虚偽の供述調書を作成したことによって懲戒処分を受けた警察官の数はということでございますが、これにつきましては委員の方に、お手元にお渡ししているかと思いますが、十七年が三人、十八年が二人、十九年が三人ということでありまして、その限りにおいてはさほど時間の掛かる話ではないというふうに私は思います。
ただ、これもその調書偽造の内容が具体的にどういうものであるのかということについて、関係する都道府県に確認をするという意味で相応の時間が掛かったということでございますが、先ほど委員がおっしゃられたように、いささか説明が不適切であったようにも思いますので、この機会におわびを申し上げたいというふうに思います。
○松浦大悟君 このいただいた報告書にはどのような偽造であったかという内容は書かれていません。何人が懲戒処分を受けたのかということだけ書かれているわけです。懲戒処分を受けた数を把握するのには時間は掛からないというふうにおっしゃいました。十二日間掛かった理由が分かりません。
これ読み上げますと、平成十七年から十九年までの間に虚偽の供述調書を作成したことにより懲戒処分を受けた警察官の数は、十七年が三人、十八年二人、十九年三人であるということですけれども、これも表面化したもので、氷山の一角かもしれません。例えば先日質問をいたしました大阪の澤野事件のようなケースは、これは警察が認めていないので入っていないのでしょう。
そもそも、なぜ懲戒処分に至ったのかを警察庁がきちんと把握していないようでは何の改善策も取られないのではないかというふうに思いますし、いつまでたってもこうした調書の捏造はなくならないのではないでしょうか。その点、どのような認識をお持ちでしょうか。警察庁、お願いいたします。
○政府参考人(米村敏朗君) お答えをいたします。
私どもの方では、現場におきまして調書が偽造されたのではないかというような疑いが生じた場合には、調査あるいは場合によっては捜査を行いまして、その事実関係を明らかにするということは当然の責務であります。そうした形で事案を明らかにし、その内容に応じて懲戒処分を行うということで対応しているものであります。
また、当然のことながら、なぜそういう事案が発生したのか、いわゆるその要因について分析をし、今後の絶無を期するという意味で一線を指導していくという対応をしているところでございます。
○松浦大悟君 警察庁の不祥事といいますと、今週は千葉県で警察官が下半身を露出したというものが報道をされています。この件の現状について教えてください。
○政府参考人(米田壯君) お尋ねの事案は、今年の五月三十一日に千葉県の多古町の町内におきまして、コンビニ店の駐車場にいた女性店員に対しまして陰部を露出した男がいると、こういう事案でございました。千葉県警察において事件を認知いたしまして現在捜査をしておりまして、実はこの被疑者として千葉県警察の二十歳代の警察官が容疑者として現在浮上をしております。この者からの事情聴取を進めるなど、今事案の解明に向けて捜査中でございます。
○松浦大悟君 この件で問題なのは、名前が明らかにされていないんです。こうした事件を、例えばマスコミですとか学校の教員あるいは官僚ですとか、もちろん我々政治家が起こせば必ず名前が出ると思うんですが、この事件では一向に出てきません。
ここで名前を出せとは私は言いませんけれども、どのような基準で名前を出す出さないを決めているのか、身内の警察官だから出さないというようにしか国民には見えないんですが、その点どうなんでしょうか。お答えください。
○政府参考人(米田壯君) いろいろな方が事件を起こして、そしてその事件の関係で発表をすると。そして名前を、その場合、広報で名前まで言うこともありますし、そうでないこともございますが、いずれにいたしましてもそれは立件をしたとき、例えば逮捕をしたとき、あるいは送致をしたときにどの程度広報をするかということを判断をするわけでございます。その際の判断基準といたしまして、それはそれぞれ個別の事件ごとの判断ではございますけれども、公表することの公益性の度合い、あるいは被害者等の名誉やプライバシーの保護、あるいはその後の捜査の遂行に及ぼす影響等を勘案して個別に判断されるべきものと考えてございます。
ですから、現在、この今御指摘の事案につきましては、これまだ捜査を進めておりまして、立件をするという段階にまだ至っておりませんので、そもそも広報をするとかしないとかのまだ段階ではないということでございます。
○松浦大悟君 この事件は同じ女子高校生が二度も被害に遭いました。それのみならず、これはまだ同一犯かは分かっていませんが、ほぼ同じ時期に露出事件の際の言葉とほぼ同じ言葉でわいせつな電話があったり、さらには車に連れ込まれそうになったりなどの被害も受けています。
公然わいせつだけでなく、ストーカー規制法やわいせつ目的の誘拐未遂などももしかしたら当てはまるかもしれません。そのような重大な犯罪の容疑者でありながら、なぜ既に事実を認めている公然わいせつで逮捕はされないのでしょうか。車のナンバーも被害者は覚えていて、さらにコンビニでのアルバイト中の被害ですから、防犯カメラも撮っているのではないかと思います。そのような客観的な証拠もありながら、さらに本人も容疑を認めていながらいまだ逮捕されないというのは、警察だからというダブルスタンダードを私は感じるんですが、これはなぜなのか、教えてください。
○政府参考人(米田壯君) 今のお話は、私どもがいろいろその全容を解明する中で、必ずしもまだ確認できていない点も多々ございます。
いずれにいたしましても、捜査はその容疑の事案を解明して容疑がどれほど強まるか、そして逮捕の必要性がその間に生じてくるかということで逮捕をするしないということを決めるわけでございます。
ちなみに、ダブルスタンダードとおっしゃいましたが、一般に刑法犯全部の検挙人員の中で逮捕をするというのは大体年間二五%前後でございます。警察官の場合、これは数が少ない、まあ数が少ないからいいというものではなくて、本当はゼロでなきゃいけないんですが、数が少ないものですから年間ばらつきがございますけれども、例えば昨年でございますと、検挙人員に占める逮捕人員の割合は三六%ぐらいということで、決して警察官であれば逮捕がされにくいとか、そういったことではないと考えております。
○松浦大悟君 これは誘拐未遂の可能性もあるわけですけれども、誘拐未遂等も視野に入れて捜査はされているんでしょうか。
○政府参考人(米田壯君) 先ほどから委員おっしゃっておりますような事案、そのすべてを私ども把握しているものではなくて、一部報道等で出ているものもございますが、そういったものもすべて含めまして事案の全容解明に向けて捜査を進めてまいりたいというように考えております。
○松浦大悟君 いまだ逮捕していない中、千葉県警から被害者の家族に対して、同じ警察官として恥ずかしい、二度とさせないから安心してという電話があったといいます。
逮捕された後そのような電話があるならまだいいんですが、逮捕の前に電話するのはなぜなんでしょうか。二度とさせないように約束する、その代わり警察の不祥事になるから黙っていてという半ば脅しではないか。どのような趣旨で電話をしたのか、お答えください。
○政府参考人(米田壯君) 捜査の過程で様々なことを行っておりますし、もちろん警察官の犯罪ということになりますと、これは内部不祥事で懲戒処分の対象にもなるということで様々な調査を行っている過程のことでございまして、具体的なことは申し上げることはできません。
ただ、そんな関係者の口を封じるとか、そういったことは一切ないと承知しております。
○松浦大悟君 恥ずかしいと思うぐらい容疑が固まっているのなら、速やかに何らかの処置をされればいいと思うんですけれども。
やはり警察官が関与した事件を警察が捜査するというのは、どうしても身内に甘い捜査が行われているのではないかと見られかねません。ほかにも、衆議院でこの後お見えになる細川律夫議員が指摘されていますけれども、白バイとの交通事故などもそのような報道がなされております。これは公正公平に捜査を行っている多くの警察官にとっても大変不幸なことではないかと思います。
検察には独自の捜査権があるわけですから、警察が関与した事件は最初から検察が扱うなどすれば警察がダブルスタンダードをしているのではないかというような批判が起きないのではないかと思います。そのような検討をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。警察庁、お願いいたします。
○委員長(遠山清彦君) 松浦委員、検察は法務省所管でございますので。
○松浦大悟君 警察に聞きたいんですが。
警察が捜査するのではなくて検察に任せたらどうかという質問を警察庁にいたします。
○政府参考人(米田壯君) これまでも私ども、警察官であるからといってそのような特に優遇するということもなく、厳正公平に事件捜査をしてまいりました。今後ともそのように捜査を進めてまいりたいと考えております。
○松浦大悟君 調書の件もそうですけれども、身内の不祥事や犯罪が万が一起きてしまったら、まずすべてを公表するとともに、警察としてもきちんと把握をする、その上で再発しないような対策を検討する、ごくごく基本的なことだと思います。不祥事を隠すのではなくて、このようなことを繰り返していかないと、警察の不祥事や犯罪というものはなくならないのではないかと思います。法の正しい執行をつかさどる法務大臣として、大臣、感想で結構ですので、御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ダブルスタンダードという言葉をお使いになりましたが、私はダブルスタンダードというのはあっていいんじゃないかと。つまり、警察は司法警察職員ということでありましょうし、検察もそうでありましょうし、我々国会議員も権限を持っているわけでしょうし、あるいはマスコミのように世の中により大きな影響力を持っている人たちもいるでしょうし、そういう人は、より厳しいという意味でのダブルスタンダード、それくらいの気持ちで我々はやっていくべきだと思うし、警察もまた同じで、身内だからこそ一般人よりより厳しくということで、これはそれ以上のことは私は言えないのかもしれませんが、名前の出る出ないという話ですね、あなたがいい質問だと申し上げたのは、昨日の本会議での私に対する質問はちょっと余り良くない部分もありましたけれども、いや、いい質問だと申し上げたのは、やっぱり私も日ごろから思っていたことなんですよ。名前の出る出ないって、それはマスコミとの関係で何か基準があるのかどうか分からないんですが、より厳しく、それこそダブルスタンダードでより厳しくならより名前ははっきり出た方が、市民はAでも、警察官はだれのだれべえ、検察官はだれのだれべえ、裁判官であればだれのだれべえでいいんじゃないかなと、私は市民感覚でそういうふうに思っております。
○松浦大悟君 名前をはっきりさせることこそが警察の信頼回復につながるというふうに私は思います。
こうしたずさんな捜査、ずさんな供述聴取の在り方というのが大変問題になっています。少年法においても、例えばあの山形のマット死事件なども、被疑少年の弁護人が一番最初に指摘したのが、こうした警察のずさんな捜査についてです。
山形マット死事件におきましては、体育館用具室の扉の指紋を取っていなかったりだとか、物証がなかったりだとか、例えば髪の毛など採取できるはずのものだと思うんですが、それさえもやっていなかったりだとか、その結果、当時はっきりとやったことを認めていた少年たちは全員否認に転じ、事件はやぶの中となってしまいました。殺された被害者は確かに存在するのに、だれがやったのか分からないという、こういう状態になっています。
少年による事件でも、捜査に当たるのは主に警察です。その警察がきちんとしていただかないと、少年審判にも少年の更生にも悪影響を及ぼします。きちんとやっているでは済まされないと思います。改善できる部分はどこなのか、絶えず向上心を持っていただきたいとお願いをいたします。
それでは、少年法改正の質疑に移ります。
今回、少年法の一部を改正する法案に対する質問ということになるわけですが、被害者遺族の傍聴を認めるのかどうかというところが最大のポイントだと思います。その被害者遺族の傍聴についてなのですが、そもそも被害者遺族が真実を知りたいということならほかにも私は方法があると思うんですが、なぜ傍聴なのかということをお尋ねしたいと思います。
少年審判の傍聴は、被害者遺族の方々から事実を知りたいという強い要望があった、これが大きな議論となっていったと認識をしています。これまで、被害者遺族の皆さんは審判の蚊帳の外に置かれていました。十分な情報が手に入りませんでした。記録の閲覧、謄写や審判結果の通知といった情報提供の制度はありましたけれども、遺族の皆さんの満足のいくものではありませんでした。
私は、審判を傍聴することによってより事実に近づくことができるという御遺族の気持ちはよく理解ができます。ただ、事実を知ることが真の目的なら、ほかにも様々な方法があるのではないか。例えば、モニターを使った傍聴もその一つですし、あるいは被害者遺族と裁判官とのパイプ役である調査官制度をもっと機能するようにつくり変えるなど、いろんな方法が考えられると思います。
そうした数ある選択肢の中で、なぜ被害者遺族の傍聴という方法を選択されたのでしょうか。法務大臣に伺います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど丸山議員の御質問で、非常に重要な部分があったと思います。というのは、被害者中心に物を考えろと。被害者の尊厳というものが軽んじられていたのではないかというようなことで、犯罪被害者等基本法あるいは計画を作ってやっていると。私たちはいつもそのことを何度も御説明しているわけですが、そのことだけで被害者が救われるというのか、それは次元が同じ部分もあるが違う部分もあるのではないかと、こういうふうに指摘をされますと、そのとおりであって反論はできないという思いがあります。
今の松浦先生の御質問も、確かにいろいろな側面があって、簡単に割り切ってお答えできることではないのかもしれない。ただ、審判結果の通知だとか今回の改正法よりも狭い記録の閲覧、謄写とかあるいは意見を表明するということだけでは、幾ら何でも、例えば最愛の御家族を失った被害者の遺族の方々にとってはそれは不十分であると。そういう中で、法務省関係法律として、あるいは司法手続の中で何ができるかということで、一般の大人の事件では被害者参加制度というのができたわけでありますし、どんな御希望を被害者の方々がお持ちであろうかということを我々も調べましたし、法制審も意見を募ったわけです。
先ほどちょっと申し上げましたが、少年犯罪被害当事者の会の会員の方から、少年はどんな態度で何を言うのか、裁判官や弁護士がどんな質問をしてどう答えるのか、被害者遺族の思いをどこまで理解しているのか、そういうところが知りたいんだと。これ切実な思いだと思うんです。知ったからといってすべてが救われるわけでないことは、その傷がいえるわけではないことはよく分かりますが、しかし切実な思いでそうおっしゃっている。
あすの会会員の方は、可能だったら傍聴に来たかったです、当時、弁護士の先生から裁判所での流れを教えていただいておりましたので、じかに少年の発言や態度を見てみたかったですと。死亡事故の場合は目撃者もいなければ片一方の証言だけが正当化されがちですから、その証言が慎重なものか、死亡した被害者の遺族としても聴けるのがいいと思いますと。これは本当に切実な思いだと思うんです。やはりその辺を反映させようと思いまして、被害者あるいは遺族の傍聴ということを提案をさせていただいているわけでございます。
ただ、昨日本会議で松浦議員とは随分やり取りをさせていただきましたけれども、例えばモニターによる、これは後でまた御質問があればお答えしますが、モニターで審判を見るというのも、それは一つの方法として法制審でも議論された。しかし、直接、じかにという希望にこたえることにはならないということ。
家裁調査官が審判状況を説明するということは、これはもう是非あるべきだと。私はそういう親切さが、被害者や遺族に対する親切さを裁判所が、家裁が示すべきだということを申し続けてまいりましたし、そのことが今回の修正案に盛り込まれたわけでございます。
ですから、モニターについては今後の課題でございますけれども、先生の質問内容から言葉を選ぶならば、モニターとか家裁調査官による説明というものは、今後全部合わせて、すべてを実行することによってより被害者に厚いものにしていきたいと、こう思います。
○松浦大悟君 モニターについてなんですけれども、情報が外に漏れるんじゃないかということはさておきまして、実際に目で見るのとモニターで見るのと、その違いは大臣はどの辺りにあるというふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私、それは被害者や御遺族でどういう希望をされるかという方によって違うんではないかなと。とにかく直接、同じ部屋で同じ空気の中で顔を見たいと、やり取りを聞きたいと思われる方が多くおられると思いますし、逆に、やっぱりそういうふうに直接傍聴をすれば、ふさがりかけた傷からまた出血するというような思いで、ちょっと離れた状況で、つまりモニターで傍聴したい、その方が少しでも気が楽だと、そうお思いになる方もおられるでしょうし、私は、被害者や遺族の方々のお気持ちによって両方あるだろうと、分かれるだろうと、こう思います。
○松浦大悟君 私は、やはり傍聴できるようになっただけでは御遺族の方たちのお気持ちというのは充足されることはないだろうというふうに思っています。傍聴は一つの大きな方法だとは思いますけれども、それだけではなくて、例えば調査官から話を聞いたりなど、様々な方法をミックスしてやらなければならないと思っています。
被害者の事実を知りたいという気持ちに少しでも多くこたえていけるようにきめ細かな対応が必要だというふうに思いますが、そのことが本改正案の本来の趣旨ではないかと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) もう全く先生おっしゃるとおりで、今おっしゃったようなことのためにこの改正案を提出をさせていただいているわけでございまして、被害者や遺族の皆様方の知りたいというお気持ちをどこまで充足させることができるかが課題だと思っております。
もちろん、少年法というものに大きな立法目的があることは私は十分承知いたしております。しかし、犯罪の被害に遭われた方々、場合によっては最愛の家族を失った遺族の方々にしてみれば、加害者があるいは非行を行った人が少年であるのか大人であるのか、二十歳なのか十八歳なのか十六歳なのか十四歳なのか、あるいは今度も一つのラインが入っておりますが、十二歳なのかそれ以下なのか、それによって被害の方々の傷は大きく変わるものではない、そう思いますと、やはり少年法においてもその立法目的を害さない範囲の中において、被害者の方々や遺族の方々の審判を、その内容を知りたいというお気持ちを少しでも満足させられるように努力したいと、こう考えて改正案を出しております。
○松浦大悟君 とはいうものの、大臣、被害者の方たちの真実を知りたいという気持ちをおもんぱかって法改正を今回するわけですけれども、その場合に、結局は対審構造に限りなく近づいていくその端緒になるのではないかというふうに私は懸念をしています。
事実が知りたいということでございますけれども、少年審判では厳密な事実認定が行われない傾向が強い。警察や検察の捜査もそのためにおざなりになってしまう傾向があると言われています。一般の公判のような対審構造がなくて、証拠の採用、不採用でやり合わない、もみ合わないわけですから、基本的に調書の取り方が甘いと言われています。これは、少年審判は刑事裁判ではないので、事実関係をはっきりさせることよりも少年の健全な育成を優先させるからだというふうに言われています。
今回の被害者遺族の傍聴というのは、被害者遺族の方たちの事実を知りたいという思いの中から議論が起こりました。そうしますと、対審構造を導入しない限り、遺族の方たちが望むような事実というのは出てこないかもしれません。そうした場合に、遺族の方たちの思いというのはどんどん加速していってしまうだろうと私は予測をいたします。
今回の法改正は対審構造に限りなく近づけていくその端緒となるのではないか、その可能性があるのではないかということについては、大臣、どのようにお考えになっているでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、対審構造に近づいていく端緒になるものとは思っておりません。それは少年法第一条の法目的がありますし、そもそもが家庭裁判所における少年審判というものが非常に職権主義的な考え方、つまり当事者同士のやり取りという当事者主義でなくて職権主義であって、言わば家裁の裁判官にかなりの部分が任されるという形で行われるという、その基本の枠組みは、これは現在のところ全く変える必要もないし、また変えてはいけないものと考えておりますので、今回の法改正は、あくまでも被害者やその遺族の方々の尊厳をより重んじようという観点からのものでございまして、対審構造に近づけるというような思いは全くありません。
私は、少年法の今までのずっとの沿革を知りませんけれども、言わば原則逆送の問題とか、あるいは逆送年齢を引き下げてきたということからも、よほどの凶悪性があって一定の年齢であるならば刑事裁判という仕組みができておりますので、いわゆる少年審判に係るものについては、それは対審構造とは無縁のものにしなければならないということは大原則なのではないでしょうか。
○松浦大悟君 逆に傍聴したことによって加害少年の心ない言葉に被害者遺族は傷つけられるという心配もあると思うんです。被害者遺族のケアについても考えておく必要があるというふうに思います。
先ほど来、この被害者遺族のケアについては法務省の中だけの問題ではなくて関係省庁と連携を取り合いながらやらなくてはいけないというお話が出ていますけれども、法務省に伺いますが、他省庁との連携、研究を行うおつもりはおありになるでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 審判の傍聴をした被害者の方が少年の言葉で傷つくこともあり得るのではないかというような御指摘でありました。
実際に被害者の方々が審判を傍聴した結果どのような感情を抱くことになるか、これは個々の事件によって異なると考えられますし、また傍聴中に負担を感じた場合にはもちろん退室することも可能なわけであります。
もう一つ、この法律案の中では、審判傍聴を認めるに当たりまして、被害者の方々に二次被害が生じることのないようにする観点から、傍聴する方の不安や緊張を緩和するために適当な人を付き添わせることができると、こういう制度が設けられております。
その上で申し上げますと、仮に傷つくというような事態が生じた場合、現在、日本司法支援センター、いわゆる法テラスや検察庁におきましても、被害者の方々から御相談がありますと、精神的支援を行っている関係機関や団体を紹介するというような支援活動を行っているというように承知しております。
法テラスの紹介先の例といたしましては、臨床心理士会の相談窓口あるいは医療機関に置かれた相談窓口等も紹介しているということでございます。また、検察庁の方でも、女性のカウンセラーとか臨床心理士のいる地方自治体の相談機関と連携をしているというようなことも聞いておりますし、また民間の犯罪被害者支援センター等とも連携関係を取っているというようなことを聞いているところでございます。
○松浦大悟君 この傍聴に関しては、加害者と被害者が対面することが和解の第一歩になるのではないかという御意見もあるんですけれども、私は、短い審判過程で加害少年の心の変化を期待するわけにはいかないというふうに思っていまして、長いスパンで考えていかなければならないと思います。そうしますと、やはり少年院における教育ということが問題になってくるだろうと。
少年院での教育について、改善もされていると伺うんですが、いまだに再犯率は六〇%以上を占めていまして、高いですよね。この問題点というのはどの辺りにあるのか、伺わせてください。
○政府参考人(梶木壽君) まず、少年院では問題群別指導というのをしておりまして、個々の少年が持っている問題に合わせて特有の教育をするということをしてきておるつもりでございます。
例えて言えば、薬物でいえば薬物を断つ指導をするようにしておりますし、今議論をしていただいております被害者が生じているような事件を犯してきた子供たちに対しては被害者の視点を取り入れた教育というのをしております。これは、最近特に重大な結果を伴う事案が多いものですから、今御指摘があったように、できる限り再犯を減らしたいということと同時に、やはり少年の心を自分たちのやった非行にしっかりと向き合わせる、そして被害者の心情を十分に理解させる、その上で誠意を持って対応していけるような、そういった素地、土台をつくってやろうということでやっておるところでございます。
これは相手方がある話でございますので、他の問題群別指導と比べますと若干センシティブな部分がございまして、少年の両親がどういうふうに考えているかとか、あるいは被害者の皆さんが少年の謝罪を受け入れる気持ちになっておられるかどうかとか、そういったことも踏まえて検討しておるわけでございます。
こういったことを少しずつ積み重ねて、いろいろな分野での再犯ができる限り少なくなるように地味な努力を積み上げているというのが実態でございます。
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12:13, Wednesday, Jul 30, 2008 ¦ 固定リンク
【代表質問】6月4日(水)〜少年法の一部を改正する法律案について〜
第169回国会 本会議 第24号
平成二十年六月四日(水曜日)
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。松浦大悟君。
〔松浦大悟君登壇、拍手〕
○松浦大悟君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟でございます。
ただいま議題となりました衆議院送付の少年法の一部を改正する法律案について質問いたします。
このたび、衆議院において民主党の主張に沿って修正合意がなされたことは、去年の参議院選挙における与野党逆転の効果の一つとも言えますが、与党も真摯に我々の主張に耳を傾け、丁寧に議論を重ねた結果であり、これは国民にとっても大変喜ばしいことであると思います。
我が会派は、ほかにも、後期高齢者医療制度の廃止や農業者戸別所得補償制度、年金問題など国民から期待の強い提案を数多くしてきました。是非とも、そのすべてを今回と同じくそのまま取り入れていただきたく思います。
さて、本法案で一番問題となるのが、少年審判における被害者等の傍聴です。
犯罪被害者等基本法に明記されているとおり、犯罪被害者等は個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することから、家庭裁判所が相当と判断する場合には被害者等に傍聴を認めることには賛成であります。しかし、刑事裁判とは異なる少年審判が対象となっていることから、その基準、考慮事情は厳格であるべきであり、政府原案では不十分だと考えます。
一方、自民党、公明党、民主党、三党提案の修正案は、少年の健全育成という少年法の理念を判断基準として明記し、傍聴の可否の要件を明確にしている点で評価できるのではないかと思います。
この立場に立ち、原案提出者である法務大臣に、まず修正案についての基本認識について質問いたします。
今回の法改正は、犯罪被害者基本法を始めとした犯罪被害者に対する支援や権利の保護のための法整備の一環だと承知しております。犯罪被害者や御遺族が立ち上がるまで、これまで司法や法曹界も国民も我々政治も犯罪被害者に目を向けてこなかった、このことは改めて率直に反省すべきだと思っています。
その観点から質問いたしますが、今回衆議院においてなされた修正により、犯罪被害者等に対する支援や権利の保護が一歩たりとも後退するものではないことを法務大臣に確認したいと思います。
次に、文部科学大臣に伺います。
今まで犯罪被害者がないがしろにされてきたのは、日本の法学教育そのものに問題があるからという声もあります。刑法、刑事訴訟法、刑事政策の授業で、被疑者、被告人、受刑者の処遇問題については事細かに教わりますが、被害者学は選択科目になっていて、ほとんど重視されていません。それでも授業があればまだましで、ないところも多いと聞きます。これでは法曹関係者の関心が犯罪被害者等に行かないのは当然です。被害者の方たちは、弁護士さんに、今まで被害者への認識が足りなかった、間違っていたと一言言ってほしいのに、それさえ言えるような教育を受けていないのです。
私は法学の体系を見直すべきだと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。
一方、今回の改正により、少年審判の場が少年法の基本理念である少年の健全育成、更生から変貌し、少年に対する糾弾の場になるのではないかという懸念の声も聞かれます。
平成十二年十一月、昭和二十四年に施行されて以来、実に五十年ぶりに少年法が改正されました。その背景には体感治安の悪化がありました。犯罪白書によりますと、戦後、少年犯罪は二回のピークがあったものの、一貫して減り続けており、増加も凶悪化もしていません。にもかかわらず、あたかも少年犯罪が増えているかのようなメディアによるあおり報道が国民の不安とセキュリティー的関心を高めていきました。その結果、教育を通した更生ではなく、ルールに基づいた厳罰化を望む声が大きくなっていったのです。
今回の法改正は、こうしたレールの延長線上に位置付けられるものなのでしょうか。政府は、少年法の精神を支える国親思想、国が親に代わって保護するという理念であるパレンス・パトリエからは、もはや距離を置く方向で少年法を考えているのでしょうか。法務大臣の所見をお聞かせください。
続いて、本法案についての衆議院本会議、法務委員会での審議の中で、法務大臣の発言が二転三転する、あるいは法務省の政府参考人の説明と食い違いを見せる場面が幾度もありました。本法案のかなめとなる部分で法務大臣の発言にぶれがあることは、大変ゆゆしき事態と考えます。
以下、法務大臣の三つの発言について確認させていただいた上で、法案の内容についてお聞きいたします。
まず第一に、少年の健全育成を目的に掲げる少年法においては、少年審判は、少年法第二十二条第一項において、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならないと規定されており、同条二項で非公開原則が取られています。今回の改正案により、被害者等の傍聴がこの非公開原則との関係で問題になります。
法務大臣は、衆議院の本会議の答弁で、少年審判が非公開とされた趣旨からすると、被害者等による傍聴を非公開の例外として認めるにしてもと答弁されており、原則非公開、例外として被害者等に傍聴を認めると答弁しています。ところが、法務委員会の質疑では、役所が書いた答弁書を見て、直しておけばよかった、例外という書き方は良くないともおっしゃっています。結局のところ、どのようなお考えなのでしょうか。正確な答弁をお願いいたします。
第二に、法務大臣は、傍聴の申出が被害者からあった場合は原則許可するが、きめ細かく配慮してみたら例外的に認めないこともあると発言をし、その後、原則と例外という言い方は適当でなかったかなとも、傍聴をなるべく広く認めたいとも発言しています。実際の運用上、大変大きな問題です。政府案の趣旨はどちらですか。法務大臣にお聞きいたします。
被害者等の傍聴の許可、不許可などは個々の裁判所が判断することではありますが、法務大臣の言葉となれば、当然、各家庭裁判所の判断に影響を及ぼすことも考えられます。法務大臣の発言は、御自身の気持ちを気ままに表現しただけで一切拘束力はないのか、法務大臣として家庭裁判所への影響を念頭に置いた上での発言なのか、お答えください。
第三は、モニター視聴の可否についてです。
法務大臣は衆議院の本会議の答弁の中で、ある程度慎重でなければいけない、例えばモニターという機械を使うと、それが失敗して広がってしまうということもおそれなければなりませんと発言しています。続いて、衆議院法務委員会では、本会議では意味が分からずに答弁してしまったと言って政府参考人に発言させています。
再度確認いたしますが、被害者がモニターでの視聴を希望している場合でも許さないということでよろしいでしょうか。法制審議会での議論の紹介をするのではなく、法務省としてモニターを認めなかった根拠を明確に御答弁いただき、今後の検討の方向性を明示してください。
次に、修正部分についてお聞きいたします。
修正案の第二十二条の五では、被害者等の審判の傍聴を許すには、あらかじめ弁護士である付添人の意見を聴かなければならないと規定されています。被害者等の傍聴の少年の心身に与える影響が非常に大きいことから、家庭裁判所が付添人の意見をあらかじめ聴くという慎重さが必要だと私も思います。
三項では、少年及び保護者がこれを必要としない旨の意思を明示したときは付添人を付けなくてもよいと規定されています。例えば、少年は付添人を希望していても保護者は不要だと言う場合、また、その反対など、両者の意見が違う場合はどうなるのでしょうか。法務大臣の御見解をお伺いいたします。
修正案では、家庭裁判所の被害者等への説明が明記されています。被害者等が事件の真相を知りたいと思うのは当然のことです。
審判の状況などについては、これまでも、少年法第三十一条の二により、家庭裁判所が少年事件について終局決定を行った場合には、被害者等の申出を受けて、少年の氏名、主文の理由の要旨などを通知することになっておりますし、記録の閲覧、謄写という制度もありますが、あくまでも文書によるものでした。
修正案では説明という文言が入っていますが、通知や文書ではなく説明が加わったことにより運用上どのように変わると考えられているのか、法務大臣のお考えをお聞かせください。
また、被害者等の傍聴が許されなかった場合、この説明を通して被害者側等の事件の真相を知りたいという願いにこたえていく趣旨と解してよろしいでしょうか。
説明する側は、犯罪被害者等基本法の趣旨にのっとり説明に当たるべきと思われます。間違っても被害者等に対して二次被害を負わせるような対応をすることがないよう、この点、ある意味、特殊な専門的技能が必要とされます。冒頭にも触れた、懇切を旨として和やかに行うのは、加害少年に対してだけでなく、被害者に対してはそれ以上に懇切に説明することが必要になるかと思われます。この点、法務大臣としてどのように運用されることを期待されるか、お答えください。
平成十六年に成立した犯罪被害者等基本法、平成十七年の犯罪被害者等基本計画に基づき、被害者等への配慮を充実させる取組が行われてきました。しかし、被害者の本当の回復、心のケアはまだまだ不十分であると言わざるを得ません。
諸外国では、いわゆる修復的司法として、欧米諸国などにおける加害者・被害者調停型、ニュージーランドなどにおける家族集団会議型などが行われています。日本では、少年事件などで被害者と加害者の対話を促すプログラムが民間団体によっても行われ始めています。
少年審判という限られた場面のみではなく、少年院を退院した後も含めた長いスパンで、そして、被害者の物理的支援のみでなく、最も難しい心のいやしについても政府が責任を持って支援していくべきと考えます。
ただ、このような修復的司法にも留意する点があります。
修復的司法は、国家による内面的介入を擁護することにもつながるからです。被害者が許していないことを理由に、罪刑法定主義に反して永久に閉じ込めておくことがあってはなりません。いかに国家による心への介入を排し、民間のNPOを育てていくかが修復的司法のポイントとなります。早急に諸外国のシステムなどを調査研究し、日本での導入、拡充、関係NPOの支援などを政府として取り組むべきだと考えます。この点、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
刑事司法は、本来、国家と加害者の関係を規律したものです。これとは別枠で、被害者の心のケア、加害者との関係の修復など、よりきめ細かな被害者救済、被害者の被害回復支援のシステムを体系的に構築すべきだというのが私の考えです。
社会との接触がなくなればなくなるほど、少年が犯罪にかかわる再犯率は高くなります。もし、私たちが本当に犯罪不安を解消しようと思うのなら、厳罰化ではなく、むしろこうした保護主義こそ合理的だと言えます。一時期厳罰化に振れたアメリカは、こうした反省に立ち、今再び保護主義に戻ってきています。
少年が社会とのかかわりをキープするためのリアルな処遇の仕方を社会全体で考えていかなければならないと決意を表明し、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山邦夫君) 衆議院における修正が被害者等支援の在り方に与える影響についてお尋ねがありましたが、この法律案は少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るためのものでございまして、衆議院においてそのような趣旨を踏まえた修正が行われたわけでありましょうから、決して後退するものではありません。
今回の法改正の趣旨等についてお尋ねがありました。
先ほど述べましたとおり、今回の法改正は少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るものであって、厳罰化とは趣旨が異なるものと考えております。
国親思想についてお触れになりました。
我が国の少年法は、基本的に国親思想が入っているわけでございましょう。今回の法改正におきましても、国親思想を背景に定められた少年法の目的、すなわち少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正や環境の調整に関する保護処分を行うという点については全く変わりがないと思っております。
大変いい御質問でございましたが、若干、私の衆議院での発言について誤解があるようでございますので、比較的丁寧に申し上げますが、言わば少年審判というのは非公開、少年審判は非公開、この原則は崩れておりません。その中で、被害者あるいは遺族が傍聴をしたいという事柄はあくまでも例外でございます。その例外の中でどの程度傍聴を認めるかは、きめ細かな一つ一つの裁判体の判断するところでありますが、私は、そもそも我々国会議員は犯罪のない世の中、凶悪犯罪の少ない世の中をつくることが我々の共通の目的であろうと思っておりますが、今までの我が国の法律やあるいは行政の中で、犯罪の被害者やその遺族、その尊厳や立場、あるいは経済的な困窮等も含めて余りに厚く見られていなかった、そういう反省に立って犯罪被害者等基本法が成立し、犯罪被害者等基本計画が作られており、その一環として少年審判においても傍聴を認めようという、その被害者を、もっとその尊厳を重く見ようというその大きな目的が今回の少年法改正の根底にあるということを御理解をいただきたいと思います。
現行法上、少年審判は非公開とされ、被害者であってもその傍聴は認められていませんでした。しかしながら、被害者からは審判におけるやり取りを自らその場で直接見聞きして、その具体的な状況について十分な情報を得たいとの強い御希望が示されていることから、犯罪被害者等基本法の趣旨等にかんがみて、新たに被害者あるいは遺族について傍聴を認めることとするものでございます。
審判の傍聴は原則として認めるものかどうかについてお尋ねがありました。
今回の法律案では、傍聴を認めるかどうかの判断をするに当たっては、裁判所が少年の年齢や心身の状態を考慮し、きめ細かくその相当性を判断する枠組みとしております。また、修正によって、付添人、弁護士たる付添人の意見を聴くという仕組みも導入をされたわけでございまして、個別の事案について、裁判所がその枠組みに従って適切に判断していくことであろうと思います。
傍聴の許可の判断に関する私の発言についてお尋ねがありました。
私は、政治家として被害者の保護あるいは被害者の尊厳を重んじるという強い思いをしばしば述べてまいりました。しかしながら、基本的には少年法を所管する法務大臣として答弁をしておりまして、傍聴の許可に関しても、それぞれの裁判体が先ほど申し上げたような事情を判断をして、きめ細かく判断をして傍聴を認めるか認めないかを決めていくであろうと考えております。
モニターによる少年審判の傍聴についてお尋ねがありました。
本法律案においては、被害者等がモニターによる傍聴を希望してもこれを認めることはできないと考えております。これは、恐らく法制審でも様々な意見があったと思っております。
先ほど松浦議員がお触れになったのは、モニターによる傍聴を、それは厳重に管理すればいいわけですが、機械を通しますと、もし、よほど悪いことを最初からたくらむ人間がいれば別でしょうけど、いなければいいことと思いますが、結局この機械の妙な操作でそれが外に漏れるということが絶対ないような仕組みを考えなければいけないということだろうと思います。
このモニターによる傍聴を認めない理由は、モニターによる傍聴であっても、被害者等から見られているという点では少年に対する影響に大きな違いはない、こういう指摘がなされております。したがって、本法律案ではこれを採用しなかったのでありますが、しかし、法案審議の過程で、モニター傍聴を認めるべきであるという意見が衆議院で相当数寄せられました。したがって、今後その導入の当否については幅広い検討を行っていこうと、こう考えております。
修正案に基づく国選付添人の要否に関し、少年と保護者の意見が異なる場合についてお尋ねがありました。
修正案によれば、少年及び保護者が付添人を不要だとする意思を明示したときには付添人は付さないとなっておりますが、少年と保護者と両方が付添人は要らないと言ったときには付添人を付さないわけでありまして、意見が異なって、どちらかが付添人は必要であると、こういうふうにおっしゃれば、当然付添人は付けるという形になると思います。
修正案に基づく被害者等に対する説明制度についてお尋ねがありました。
記録の閲覧とか謄写の制度や審判結果の通知制度を適切に運用することが重要であることは言うまでもありません。これらの制度に加えて、修正案によって、家庭裁判所において被害者等にその審判の状況を説明する制度が設けられることにより、審判の状況について十分な情報を得たいという被害者等の御要望に対し、より一層配慮が図られるものと考えております。
すなわち、家庭裁判所が被害者あるいは被害者の遺族の痛切な思い、例えば最愛の御家族を失ったというような事件等がありますと仮定すれば、家庭裁判所ができるだけ温かく被害者あるいは遺族にその説明をすべきだというふうに考えております。
では、傍聴が許されなかった場合はどうかということでありますが、傍聴が許されなかったような場合を含めて、被害者から申出がなされた場合には、家庭裁判所において適切に対応されること、すなわち懇切丁寧な説明がなされるものと思っております。
修正案に基づく説明制度の運用の在り方でございますが、同制度に関する具体的事項については、これは我々の仕事というよりは最高裁判所において必要な検討がされることとなるであろうと思っております。いずれにいたしましても、家庭裁判所において修正案の趣旨にのっとって適切な運用が図られるものと考えております。
いわゆる修復的司法についてお尋ねがありました。
修復的司法については、その概念自体が必ずしも一義的に定まっているわけではありませんが、犯罪により生じた種々の損害が回復されることを重視する考え方であると承知いたしております。我が国の刑事手続においては従来からそのような観点から様々な配慮が行われ、矯正や保護の分野においても、被害者の視点を取り入れた教育あるいは被害者に配慮した処遇が行われているところでございまして、例えば、少年院にいる少年が被害者に手紙を書くとかあるいは会って謝罪をするとか、そういうような仕組みもつくられておりまして、これは是非前に進めていきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣渡海紀三朗君登壇、拍手〕
○国務大臣(渡海紀三朗君) 松浦議員から犯罪被害者に係る法学教育についてお尋ねがございました。
御指摘のあった被害者学については、新しい分野でございまして、御指摘のとおり、大学における取組はまだ必ずしも十分な状況にあるとは言えないというふうに思いますが、各大学においては、例えば被害者学、被害者と法などの科目が開設をされておりまして、犯罪被害者の法的地位や損害の回復方法、被害者支援活動における課題等を考察するなどの取組が進められつつあるのが現状でございます。また、被害者学について専門的に学ぶ研究科を設置する大学や、犯罪被害者の支援に取り組む法科大学院も出てきているところでございます。
大学における開設科目というものは、一義的には各大学の自律性や自主性に基づいてそれぞれの創意工夫を生かしつつ行われるというものであろうと考えておりますが、今回の少年法の改正などを契機に、この学問分野が発展をしていくとともに、各大学における被害者に関する教育がより一層充実していくものと考えているところでございます。(拍手)
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
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18:00, Friday, Jun 20, 2008 ¦ 固定リンク
【法務委員会】5月8日(木)後半〜取調べの可視化と被害者支援などについて〜
○松浦大悟君 さて、続きまして、来年の五月から裁判員制度が行われますが、その裁判員制度が行われる、始まるということで、よし、いよいよ市民参加型の司法制度になる、期待したいと思う反面、本当にこれで大丈夫なのかというような事件が相次いでいます。今日はそのことについて質問させていただきたいと思います。
大阪の澤野事件というものが最近テレビで報道されました。大阪、澤野事件。これは交通事故なんですが、八年前の交通事故です。右折する乗用車と直進するバイクが衝突をいたしました。バイクに乗っていた澤野祐輔さん、当時十八歳の方が遷延性意識障害、いわゆる植物状態という重い障害を負いました。バイクで直進していた澤野さんが赤信号で交差点に進入したときに車にぶつかったと、澤野さんの方に重い過失があるとされたんですが、実はこの裁判の過程でその証拠となる目撃証言調書に大きな疑惑が浮上しています。目撃証言調書の捏造について大きく報道で取り上げられているんです。
当局に伺いますが、なぜこのような報道につながったとお考えになっているでしょうか。この事件についてどうとらえていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) お答えを申し上げます。
本件につきまして、報道があり、また今般御質問をちょうだいいたしましたので、大阪府警察に確認をいたしましたところ、証人として出廷をした警察官、当時の事件そのものについての記憶がないということで、高等裁判所におきましていろいろな証人尋問の際にそのやり取りの中でいろんな御指摘を賜ったものと考えております。ただ、大阪府警察において調査をいたしましたところ、供述調書の作成を含めまして捜査は適正に行われたものであるとの報告を受けているところでございます。
○松浦大悟君 記憶がないということでありますから、それが捏造されたものであるかどうかということも分からないということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) お答え申し上げます。
作成の事実と捏造の事実ということには分けられるとは存じますが、それぞれについて、例えば事件の記憶がない、ただしかし、公判廷において提示を受けました調書を見ると当該警察官本人の署名、押印があるということであれば、これは私が作成したものであるというようなやり取りがあったと報告を受けておりまして、直ちに、記憶がない、したがって、例えば捏造したということもそれではあったのかもしれないがそれさえも分からないのではないかと言われると、それは直ちにそのようなこともないのであろうと。それぞれの事実について確認をする必要があると存じます。
○松浦大悟君 目撃証言をされた方がテレビでも証言されているんですが、現場で事故を目撃したとされる三人のうち二人が調書を捏造されているというふうに言っているんですね。現場で実況見分に立ち会っていない、事実が逆、目撃位置が違う、調書の日付に警察に行っていない、さらには手書き一、二枚の調書にサインしたのにワープロ書き五枚の調書に変更されていると、こういう証言を法廷でされていると伺っているんですが、警察庁、これは事実でしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) 大阪府警察の人間が本件について確認をしたところ、そのような御主張があるというふうには私ども報告を受けております。
○松浦大悟君 一般論で構わないんですが、手書きの調書にサインをさせて後でワープロ書きに変える、その際にはサインした方には知らせないというようなことは日常行われているんでしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) 一般論というよりも、当然、調書については御本人に読み聞かせをいたしまして確認をしたもので作成をするものでございまして、後で云々というようなものではないというふうに私は考えております。
○松浦大悟君 目撃者の方々は、言うまでもなく、両当事者とも利害関係の全くない善意の第三者なんですね。そのような方々が複数、法廷で宣誓をして調書を否定するというのは非常に重いのではないかと私は思っています。
調書が捏造されるようなことはないというのでしたら報道がおかしいのだなと私も安心できるんですけれども、過去、これまで調書が捏造されたということは多々あるというふうに伺っていますが、そういった例というのはどれぐらい把握をされているんでしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) ただいまその数字を手元に持っておりませんが、懲戒処分に至って、きちんとその処分をし再発防止策に努めていることはございます。
○松浦大悟君 昨日、質問取りにいらっしゃって、私、こういう質問しますよということでお話をさせていただきました。そのときに、どれぐらい捏造された調書というものがあるのか把握されているはずだからそれを出してほしいということを言ったんですね。そうしたところ、いや、松浦さん、ちょっとそれは聞かないでくださいと言うんです。なぜかというと、いや、これから各県の県警に電話して調べるのはちょっとと言うんですね。つまり、把握をされていらっしゃらないんだと思うんです。
私は、ガバナンスとしてどうなのかと。こういう実態をまず調査し、分からなければ何の対策も立てられないし、善処のしようがないですよね。本当に把握をされているんでしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) 先ほど申し上げたとおり、懲戒処分の中身として交通事故事件捜査の適正に反するものというものについては数字はございますので、それについて確認をいたしますが、私ども、全くそのような現場の実態について無視をして仕事を指導しているものではございません。監察というものを行っておりますが、監察項目の中にも、交通事故事件捜査の適正、そして交通事故処理についての適正さというものについても項目を入れておりまして、毎年そのようなものは監察をしておるという実態がございます。
○松浦大悟君 そうすると、昨日質問取りに来られた部下の方は仕事をサボられたということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(末井誠史君) どのようなやり取りをされたのかということについてつまびらかにしておりませんが、もしそのようなことを申し上げたとすれば誠に申し訳ないと存じます。直ちにそのような数字を調べた上で御連絡を申し上げるべきとは考えます。
○松浦大悟君 仕方ないから、私インターネットで調べましたよ。そうしたら、もう出てくるわ、出てくるわ、雨後のタケノコのようでございました。もう百、二百という単位じゃないんですね、ちょっと調べると分かると思いますけれども。
このような調書が捏造されるという状況が日常茶飯事であるというような状況では、私は冤罪はなくならないというふうに思うんです。こうした冤罪を防止するために民主党が提唱しているのが取調べの可視化でございます。
実は、アメリカ・イリノイ州では現在取調べの可視化が行われているんですが、この可視化法案の立て役者となったのが、現在アメリカ大統領予備選で民主党の最有力候補である、最有力者である当時イリノイ州議会議員のバラク・オバマ氏でございます。これはイリノイ州議会のホームページにも載ってございます。
イリノイ州の可視化も、きっかけは冤罪事件だったんですね。イリノイ州では一九七六年に死刑執行が再開されたんですが、死刑判決を受けた死刑囚のうち十三人が冤罪が判明したとして釈放をされました。これを受けて、二〇〇〇年に当時のジョージ・ライアン州知事が死刑執行の一時停止を命じました。そして、ライアン・レポートという有名な刑事司法制度改善のためのレポートを出しまして勧告を行いました。ライアン知事は任期満了の二日前、二〇〇三年、イリノイ州すべての死刑囚百六十七人を減刑し、終身刑にいたしました。このことが議論を起こしまして、ライアン・レポートの中で指摘されていた取調べの可視化の立法化へとつながったということなんです。現在は、テキサス州やワシントンDCでも州法で可視化が義務付けられています。
それで警察庁は、この可視化の法案が通ると被疑者との関係の上に信頼が築けなくなるというふうに主張しているんですが、アメリカではそうした混乱というのは生じているという話は私は伺ったことはないんですが、実際のところどうなのか、調査研究はしているでしょうか。どうでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) アメリカのイリノイ州におきまして殺人関連犯罪について取調べの録音、録画が行われているということは私どもも承知しております。ただ、外国の実情に関する事柄でありますので、その結果イリノイ州において捜査に具体的にどのような影響が生じているかについてまでは、詳細承知しておりません。
ただ、この関係で申し上げたいのは、アメリカ合衆国におきましてはいわゆるミランダ・ルールというものがございます。一九六六年のアメリカの連邦最高裁判所の判決でありまして、これが州も含めてアメリカの刑事実務を大きく規律しているわけでございますけれども、このルールの下では、被疑者が弁護人の立会いを求める場合、あるいは供述を拒む場合には取調べを打ち切ることとされているわけでございます。したがって、取調べが証拠収集方法としては重視されていない、あるいは警察が実際のところ被疑者を取り調べる機会は極めて限定されているということが申し上げられるのだろうというふうに考えております。
その一方で、つまり取調べが非常に限定されているその一方で、取調べ以外の様々な捜査手段が活用されているわけでございます。例えば、刑事免責とか司法取引、あるいはおとり捜査、潜入捜査、通信会話傍受等が非常に活用されているというように聞いております。それと同時に、起訴自体が我が国と比べますと極めて緩やかな基準で行われておりまして、相当数の事件が無罪になっておるわけでございます。否認いたしまして公判に付された事件につきましては、これはイリノイ州ということではございません、アメリカ全体でありますけれども、二〇%を超える事件が無罪になっているというふうに承知しているわけでございます。
したがいまして、アメリカの刑事司法と日本の刑事司法とは極めて異なっているところがございますので、取調べの録音、録画による影響につきましても我が国と単純に比較するわけにはまいらないだろうと、こういうふうに考えているわけでございます。
○松浦大悟君 そうすると、アメリカで次から次へとこの取調べの可視化が行われているという状況をどう考えればいいんでしょうか。
今御答弁では、取調べの可視化は余り重要視されていないというようなお話でしたけれども、それでも次から次へとこれに踏み切る州が増えているわけですよね。その必要性というのはどんなふうに分析をされていますか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 確かにアメリカの一部の州、あるいはほかの外国の中で取調べの録音、録画等を義務付けている国はあるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、それらの国の捜査構造自体が我が国と相当異なっているという点について申し上げたいというふうに思います。
先ほども申し上げましたように、取調べ以外の様々な捜査手段が認められている、それから被疑者が供述を拒む場合には、それ以上供述をするように説得をしないで取調べを打ち切るわけであります。さらに、起訴基準自体が極めて緩やかで相当数の事件が無罪となる。つまり、我が国と刑事司法の在り方が大きく異なっている国々になるわけであります。
そこで、もう少し具体的に申し上げたいわけでありますけれども、例えば暴力団の組長が暴力団員に指示して殺人事件を犯したというような場合にどういうふうに事件を解明するかということでございますけれども、日本の場合には、やはり取調べにおきまして組長の関与を出すということになるわけであります。しかし、アメリカ等では取調べによらないで……
○委員長(遠山清彦君) 大野局長、簡潔な御答弁をお願いします。
○政府参考人(大野恒太郎君) はい。例えば通信傍受、会話傍受あるいはおとり捜査等のやり方によってやっているわけでありまして、したがって、我が国と諸外国とのその捜査構造の差を捨象して、一概にアメリカがやっているから日本がこうだということは申し上げられないというふうに考えるわけでございます。
○松浦大悟君 大臣、今の答弁を聞いてもお分かりになるように、こういうことを繰り返すから裁判員制度に対して国民の不安が高まるんですよ。何にも実りのない答弁でございました。
まあ、イリノイ州では捜査がしやすくなったという声もかなり聞かれていますので、それを受けて日本はどう考えるのかということを伺いたかったわけでございます。
次に参りたいと思います。
裁判員制度を前に多くの国民は大変冤罪を恐れています。なぜなら、それは自分が量刑を判断しなければならないからだというふうに私は思うわけです。民主党は、この参議院に取調べの可視化法案を提出しているので、これについては委員長に一刻も早い審議入りを要望したいと思います。
それで、裁判員制度を前にもう一つ気になる事件がございました。それは、あの山口県の光市の事件でございます。
あの光市の判決も、もし自分がこの裁判にかかわっていたらと感じながらテレビを見ていた国民の方は多かったのではないでしょうか。光市事件を犯した犯行当時十八歳一か月の元少年に対し、広島高裁において死刑判決が下されました。その判決に対する大臣の感想をまずはお聞かせください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 山口県光市の母子殺人事件につきましては、四月二十二日、最高裁からの破棄差戻しを受けた広島高裁において、被告人を無期懲役とした原判決を破棄し、死刑とする判決が宣告されたことは承知いたしております。
感想と申し上げましても、判決の内容について法務大臣の私が口を挟むというか、司法判断を批判をしたりあるいは賛成したりというようなことはできないことでございますので、是非そこは御理解をいただきたいと思っておりますが、実際十八歳とちょっとのときにこの凶悪犯罪が起きているわけでありまして、十八歳未満の場合は、死刑をもって処断しようとする場合はこれを無期懲役とするという規定は存在をいたしておると、十八歳を超していたのでそれは適用されていないわけでありましょうが、そういう厳しい判断が示されたんだなというふうに思っております。
また、被害者二名のお父さんであり夫であった御遺族の方が、同事件の審理において、いわゆる平成十二年の改正によって新設をされた意見陳述権を行使されたということを承知いたしております。
○松浦大悟君 被害者の御遺族であられる本村洋さんは、我が国において犯罪被害者の権利がほとんど守られていないということを痛感して、犯罪被害者の権利確立のために様々な活動をされてこられました。本村さんを始め犯罪被害者とその御遺族の活動が犯罪被害者等基本法などの成立につながり、法廷への参加など犯罪被害者の権利確立が進んで、先日この委員会においても審議され成立した被害者国選弁護法にもつながったのではないかと思います。
犯罪被害者、御遺族が立ち上がるまで、私は、司法、法曹界あるいは国民、そして我々政治家も犯罪被害者に目を向けてこなかった、このことは改めて率直に反省すべきではないかというふうに思います。そこからすべてが始まるのだというふうに私は思っていますが、大臣の見解をお聞かせください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 全くおっしゃるとおりで、一番大事なことは犯罪をなくすことでありますけれども、その次に大事なことは、被害者の方々あるいは御遺族をどのようにして救っていくか、あるいは精神的に救っていくか、そういう問題、もちろん経済的にも救わなければならないわけでありますけれども、これは政府を挙げて、あるいは国会挙げて取り組んでいかなければならない重大問題だと思っております。
そんな関係で、今、松浦委員御指摘のように、例えば被害者の裁判への参加、証人尋問、被告人質問、あるいは論告的なことを裁判の最後の段階で行うことができるという新しい仕組みがこれから始まっていくわけであります。そういう中で裁判員の参加ということが実現をしていくわけでありますから、今後司法制度は随分大きな変化をしていくんだろうと、こう考えております。
先ほど、質問、前の質問なのかと思いますが、あえて使わないと言った言葉を使いますと、冤罪というのはあってはならない、絶対にあってはならないことであります。それと同時に重要なことは、犯罪の取り逃がしというんでしょうか、要するに被害者が泣いて、あるいは被害者の遺族が泣いて、犯人が逃げ切って陰で笑っているような、そういうことは同時に絶対あってはならないと。この両面を追求しなけりゃならないものでありますから、刑事司法制度というのはなかなか難しいと思いますが、今後、様々に考え工夫を凝らして、全力を尽くしていかなければならないと思っております。
そういう意味で、今先生御指摘のように、被害者や被害者の遺族の問題は今まで軽く見過ぎてきてしまったという政府あるいは国会の責任というものがあろうと思いますので、しっかりやりたいと思っておりますので、少年法の改正もどうぞよろしく御理解をお願い申し上げます。
○松浦大悟君 大臣おっしゃったように、被害者遺族の感情を十分に酌み取っていかなければいけない、そのとおりだと思います。
ただ、一方で、我々政治は今回の判決を冷静に考えなければいけないとも思います。メディアでは、増え続ける少年犯罪を抑止するために厳罰化はやむを得ないというような論調での発言もありますけれども、じゃ、実際にデータをちゃんと我々の議論のベースにすべきだというふうに思うんです。
少年による殺人、強盗、婦女暴行を働いた凶悪犯というのは年々減少をしており、暴行、傷害、恐喝などの粗暴犯は戦後最低との統計もあります。今後、少年法改正の審議も行われますが、まずはこの正確なデータを改めて警察庁に確認をしたいと思います。
○政府参考人(井上美昭君) お答えいたします。
警察庁では、殺人、強盗、放火及び強姦を総称して凶悪犯とし、昭和二十四年から統計を取っておるところであります。
少年による凶悪犯の検挙人員については、戦後、昭和三十四年の七千六百八十四人をピークにほぼ一貫して減少してまいりましたが、平成二年の千七十八人を底に増加に転じ、平成九年から十五年までは二千人を超える状況で推移をしておるところでございます。その後、平成十五年以降は四年連続で減少をしておりまして、平成十九年中の検挙人員は前年比一〇・九%減の千四十二人となっておるところでございます。
○松浦大悟君 少年犯罪はどうしてこんなに減っているんでしょうか。少年犯罪が減少しているということは確認できましたけれども、どうして減っているのか、その要因を警察庁はどのように分析をされているのか、聞かせてください。
○政府参考人(井上美昭君) 先ほど申しましたように、少年による凶悪犯の検挙人員は平成十五年以降減少をしております。これは凶悪犯だけの傾向ではありません。犯罪少年の検挙人員全体が平成十五年以降同様の傾向にあるところでございます。
その要因について明確に申し上げることは困難でありますが、少年の人口自体が減少をしておること、平成十五年にそれまでの少年の深刻な非行情勢を受けて青少年育成施策大綱を取りまとめ、政府全体として対応を進めてきたこと、不良行為少年の補導活動などの犯罪に至る前の段階での対応の強化を図るとともに、特に万引きなどの初発型犯罪の非行防止やひったくりなどの街頭犯罪の防止対策に地域と一体となって力を入れてきたことなどが背景にあるのではないかと思われます。
また、近年の凶悪犯の約七割から八割を占める強盗について見ますと、検挙人員ベースで平成十五年が千七百七十一人、昨年が七百五十七人でありまして、その減少は顕著であります。警察と地域社会が一体となった街頭犯罪抑止対策の効果が現れているのではないかと考えておるところでございます。
○松浦大悟君 少年犯罪が減少しているにもかかわらず、少年法を厳罰化すべきだという世論だけが暴走しているという状況だと私は思うんです。ただ、この厳罰化による犯罪の防止効果というのはどうなのかと、極めてそれに疑問符が付くということも指摘しておきたいと思います。
厳罰化による犯罪の抑止について、国連の調査データでは、厳罰化による犯罪抑止効果が統計上認められたのは、軽犯罪と強姦殺人を除く性犯罪のみと指摘しております。
今回、永山基準と言われる一九八三年最高裁による九項目の基準を超え、厳罰化は進んだとも言われていますが、私はこれ少年犯罪の抑止という面では余り効果がないのではないかというふうにとらえています。
そこで、今回は死刑という判決が下されましたけれども、死刑と無期懲役という、最高刑と第二の刑の間の差が大きいのではないかという声が常々指摘されております。刑法二十八条では十年以上服役すれば仮釈放できるようになっていますが、実際に十年という例はほとんどないようで、二十年から三十年で仮釈放されると言われています。この大きな差を埋めるために仮釈放のない終身刑を創設すべきではないかという議論が起きていますが、それについての大臣の見解を聞かせてください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も、死刑と無期懲役の間には差があり過ぎる。これは、特に殺人事件が起きたときの遺族の方々の思い、殺人事件で家族が亡くなった、裁判が行われた、やっぱり遺族としては死刑、極刑を望む。死刑であれば納得する、無期懲役だと結局出てきてどこかで出会うんじゃないか、この差が大き過ぎるという思いを抱かれるようでございまして、私はそのことはよく分かるわけでございます。
今回、議員の連盟だか懇談会か分かりませんが、仮釈放のない終身刑を実現しようとする議員のグループができたやに承っておりますが、これ、いつも申し上げますように、両方の、死刑を廃止すべきだという考え方、死刑を廃止してその代わりに重無期刑というか終身刑を置くという考え方と、死刑は置いておくんだが無期懲役だと軽過ぎるからその間に仮釈放のない重無期刑を置くんだと、こういう両方の考え方の方が集まっておられるようでございますが、私は、いつも申し上げておりますように、我が国において死刑というものは必要だと、もうこれは今更理屈は申し上げませんけれども、そう考えております。ですが、死刑と無期の間に差があり過ぎるという点については十二分に納得する部分があると思っております。
ただ、仮釈放の絶対ない重無期刑というのは、徐々に死刑を執行していくようなすごく残虐な面があるかもしれない、あるいは一生拘禁されることによって人格が完全に破壊されていくという意味では、かえって人道的でないんではないかというような考え方があります。
また、諸外国で重無期刑というんでしょうか、仮釈放のない無期懲役、終身刑を採用して、やっぱりまずいといってこれをやめた国もあるようでございますので、そういう問題点は幾つかあると思います。ですが、差が大き過ぎると、だから間に一つという考え方は私も十二分に考慮しなければならないと思っております。
○松浦大悟君 ただその点も、アメリカではアミティというようなNPOのセクターがありまして、刑務所の外からだけではなく刑務所の中にも入って、加害者あるいは被害者を面談をさせたりというような、そうする中で加害者の気持ちをほぐしていくような、そういう支援を行っているNPOがあるわけでございます。残念ながら、日本にはそうしたものはないとは言いませんけれども、かなり層としては薄いという状況があります。
もちろん、大臣おっしゃるように、重無期刑のようなものをつくるのであれば、同時にそうした市民の側のセクターもつくっていかなければならないということは当然のことでございますが、是非これも検討をしていただきたいというふうに思っております。
本村洋さん、まあ被害者、御遺族の悲痛な訴えが世論を動かして政治を動かしました。私は、被害者の方たち、御遺族の方たちが被害を受けただけでもおつらい立場なのに声を上げなければならなかったと、こういう社会はやはりおかしい社会だというふうに思います。私たち政治家あるいは法曹界、国民が今まで被害者遺族の感情をないがしろにしてきた、このような状況において世論が厳罰化に向かうのは仕方がないというふうにも思いました。しかし、政治は冷静な判断を、議論をしていかなければなりません。
それで、これから裁判員制度が始まるなど日本の司法が大きく変わっていきます。その中で国際的に批判の強い死刑制度の問題も議論されていくものだというふうに思っています。犯罪被害者支援とこの死刑制度廃止の問題というのは車の両輪として私は考えていかなければならないというふうに思っているんですが、もし市民社会が成熟をして、おりの中の加害者の方たちを支援していくようなサポートをする部分ができたならば、こういう重無期刑についても大臣のお考え変わるのかどうか、お聞かせください。
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、松浦委員の質疑時間は終局しておりますので、簡潔にお願いします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) こうした問題は、特に死刑という制度につきましては、私の考え方はいつも申し上げておりますが、これは世論がとても大事でございまして、私は凶悪重大な犯罪に関しては死刑もやむを得ないというのが今の国民の世論だというふうに思っておりますから、その方針、その世論に従って行動している場合が多いわけでございますが、世論がまた大きく変化すれば、それは例えば死刑は執行すべきじゃないと、世論の六割、七割がそういう意見を示せば死刑の執行だってしないという可能性も十分あるわけでございます。
ただ、私自身は、死刑という制度は現在は日本には必要だと思っていること、また執行は粛々とすべきであると思っていること。ただ同時に、再犯の率が物すごく高いですから、言わば、何というんですか、途中で成績優秀というか、行状がいいからといって出所された方の再犯率が五年間でやっぱり四割弱ぐらいあると、満期出所の場合は六割近くあるという状況を考えますと、とにかく保護、更生保護ということにこれからは全力を尽くさなければならないとつくづく思っております。
○松浦大悟君 以上で質問を終わります。
ありがとうございました。
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17:29, Thursday, May 22, 2008 ¦ 固定リンク
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