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2009年 7月
【法務委員会】7月7日(火)後半〜DV等と在留資格の取り消し、難民認定問題〜
○松浦大悟君
次に、在留資格取消しとDVの関係についてお伺いをいたします。
六月三十日の当委員会の審議におきまして、離婚や親権等の係争中については在留資格の取消しの適用除外となる正当な理由に当たるとの答弁がなされました。今回の修正により、外国籍配偶者の身分の安定が図られた結果だと認識をしております。ですが、現在でも、係争中に在留資格の更新時期を迎えた際に長期にわたり申請中とされたり帰国準備の特定活動が出されるなど、日本人の配偶者等が認められないケースもあります。
そこで質問ですが、裁判を受ける権利の保障という観点からも、就労可能な安定した在留資格の更新や変更を速やかに認めるべきではないでしょうか。在留資格が不安定なため、生活を安定させられず、結果として子供の親権を獲得できなくなるなどの影響も出かねないと思います。修正案提出者としては、この点、どのような運用を期待して修正をされたのかお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(細川律夫君)
松浦委員の御質問にお答えいたします。
裁判中に在留期間が更新時期を迎えると、この場合に、それが一体どうなるかによって大変当事者にとっては強い影響が出てくるだろうというふうに思います。とりわけ親権を父親か母親かということを決めるような場合に、一体収入がしっかりあって生活が安定しているかどうかとか、そういうようなことなども大変影響もございますので、そういうことを考えますと、裁判中の運用ということについては、これはその外国人に不利にならないような公平な形でしっかり行われなければならないというふうに私は思っておるところでございます。
そういう意味で、在留期間の更新とかあるいは在留資格の変更に際しては、外国人の人権の保護や、あるいはその生活の安定に十分資するような、そういう運用がなされなければいけないというふうに考えております。したがって、裁判中に在留期間が来て更新の申請をした場合には、私はやっぱり、速やかにその手続を行うと、こういうことも必要ですし、また、変更の申請がされた場合も、これもまた、その変更の理由が正当ならば、これはもう速やかにそれを認めるというふうな運用にすべきだというふうに考えております。
○松浦大悟君 在留資格の取消しに当たっては、変更申請の機会を与えるなどの配慮が盛り込まれました。また、六月三十日の審議において、子供のいない場合でも、おおむね三年の在留期間があれば定住者への在留資格の変更を認めているとの答弁が西川入管局長からなされました。このような基準を是非ともガイドラインにしてもらいたい、このような基準をガイドラインとして公表すべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
これまで、在留資格の取消し制度自体が外国籍配偶者を従属させDVを引き起こし潜在化させる要因になっていたのではないかと私は思っております。在留資格の変更の基準をある程度明確化させることでそのような被害を抑えることができると考えるのですが、このガイドライン化について法務省の見解を聞かせてください。
○政府参考人(西川克行君)
定住者については、非常に定住者というのはたくさんのものを含んでおりまして、個々の事案により具体的な事情が異なるための許可要件をガイドラインとしますというのは、これはなかなか難しいものがあろうというふうに思います。
ただ、委員御指摘のとおり、実態を伴った国民生活が継続している、これは大体おおむね三年あれば定住者という形で認めていると、これは実情でございます。さらに、ほかの要件も含めまして、日本人の配偶者等の資格から定住者への変更というものについては更なる明確化、客観化に向けて努力をしてまいりたいというふうに思いますし、その透明性を向上させて申請者の予測可能性を一層高めるという観点から、例えば各国語で作成したパンフレットやホームページによって案内していくと、こういうことも考えたいというふうに思っております。
○松浦大悟君
在留資格の取消し制度はDVを引き起こし潜在化させる要因ともなり得るという観点から、このガイドライン化を始め、どのような場合に在留資格が更新や変更ができるかなどの情報を外国籍配偶者が知ることのできるようにしていかなければならないと思います。日本人の配偶者といえども、三年程度の短い在留期間だと日本語を読むことまでは難しいという可能性もあります。新制度の導入に当たって、正しい情報提供を行うには多言語で周知徹底させなければならないと思いますが、周知徹底の方法についてどのような方法を考えていらっしゃるのか聞かせてください。
○政府参考人(西川克行君)
配偶者の身分を有する者についての在留資格取消し事由等につきましては、当委員会における御審議それから衆議院での修正等を踏まえまして、私どもといたしましても、DV被害者の方々等の保護に欠けることのないように努めてまいりたいと。この観点から、外国人の方々に新たな制度の内容や趣旨についてきちんと理解してもらうということが大変重要であるというふうに考えております。
このためには、地方入国管理局の窓口においてリーフレットの配布を行うほか、市区町村であるとか関係行政機関あるいは在外公館、それから国内外のメディアの協力も得まして、施行までに周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。
○松浦大悟君
それから、もう一点確認をさせていただきたいんですが、在留資格の取消しに関連して、六月十九日の衆議院での審議において、居住地、住居地の届出義務化と怠った場合の在留資格の取消しについて、派遣や請負で働き住居を転々としている場合は適用除外となる正当な理由に当たるとは必ずしも言えない、ただし本制度は弾力的な運用を行うとの答弁がなされました。
しかし、外国人集住都市に多く居住するブラジル人やペルー人の場合、派遣会社が住居、就労先、学校など生活全般を管理しているという実態があります。就労先に合わせて住居地を転々とするということは、これは本人の責めに帰すべき問題とは必ずしも言えないのではないか。また、派遣切りに遭い、知人宅を転々としている場合などもあります。生活の本拠としての住居地が定められない場合などもあります。これら、本人の責任とは言えない場合は、この制度の適用除外とすべきではないかと考えますが、法務省、いかがでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
住居地の届出違反に係る在留資格取消し事由についてですが、例えば派遣切りであるとか急に会社が倒産をしてしまったとか、外国人の責めに帰すことのできない理由によって経済的に困窮して定まった住居を有しなくなったと、この場合については正当な理由がある場合に当たる場合もあろうというふうに思います。
ただ、この点については、本人がどれだけ努力したかとかいろいろ難しい問題がございますけれども、もし正当な理由に当たると真正面から認められない場合でありましても、硬直的にそうなったから九十日たってすぐ取り消すということは考えておりませんで、以前から御説明申し上げていましたとおり、本人とも話をして、ある程度機会を与えて、弾力的に運用していきたいというふうに考えておりますので、硬直的に住所を失ったのですぐ取消しというふうに考えているわけではございません。運用の方で十分賄えるというふうに考えております。
○松浦大悟君
次に、難民問題に移らさせていただきます。
法務省は、平成二十二年度から第三国定住として、ビルマの難民をタイの難民キャンプから三十人三年間パイロットケースとして受け入れるということになっております。森大臣は、さきの衆議院法務委員会でこの三十という数について、全体からすると本当に琵琶湖の水をひしゃくでかき出すようなもので誠に少ないと述べておられます。
日本の難民受入れは、第三国定住を含めても三けたに届かないのが実態であります。国際人権規約委員会は、申請の数との関連で難民認定の割合が低いままであること、難民申請者がその間就労を禁じられ、かつ、限られた社会扶助しか受けられない難民申請の手続にしばしばかなりの遅延があることに懸念を持って留意すると所見を述べております。
この入管法の改正という節目の時期に、森大臣はこの難民行政の在り方についてどのような基本認識をされているのか、今後はどのようにこの受入れを拡大するのかについて明らかにしていただきたいと思うのですが、お考えを聞かせてください。
○国務大臣(森英介君)
我が国の難民行政につきましては、これまでも政治的迫害などから逃れて我が国に庇護を求める者を確実に難民として認定し保護するという姿勢で臨んできております。
近年、難民認定申請件数が急増しておりますが、申請件数の多い国々に関する基礎資料の整備や専門的知識を有する職員の養成などにも努めまして、処理期間の短縮に向けて最大限努力していきたいというふうに考えております。
また、難民条約上の難民に該当しない申請者につきましても、本国の事情、経歴、家族状況などを個々に考慮して、人道的な配慮が必要な場合には我が国への在留を特別に認めているところでございまして、今後とも申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行ってまいりたいと存じます。
これに加えまして、今委員からも御指摘ありました、言及されました人道支援及び国際貢献の観点から、第三国定住による難民の受入れを平成二十二年度からパイロットケースとして開始することとしております。この第三国定住による難民受入れは、当初は十分把握可能な範囲で受け入れ、適切な定住支援を実現するために三十人という小人数から開始するものとしたところでございまして、この三十人という数については、全体の難民キャンプ等の人口からいたしますと、先ほど申し上げましたように、大変現状においては少ないというのは私の率直な感想でございますけれども、あくまでもこれはパイロットケースでございますので、これを実施した後に様々な角度から課題の検証を行った上で、受入れ人数の拡大の適否を含めまして、定住支援の在り方等につきまして政府全体として更なる検討を行うことといたしております。
今後とも、他の関係省庁とも連携し、第三国定住難民の積極的な受入れに貢献をしてまいりたいと思っているところでございます。
○松浦大悟君
今、難民認定に平均して二年の時間を要しているんです。審査をする法務省が外国の諸事情についてプロではないということが大きな原因ではないかと言われております。例えば二〇〇二年から二〇〇五年に入国管理局が出入国情報の収集のために外注した翻訳を見ますと、北朝鮮関連が四件、イラン関連が二件、ビルマ関連二件、トルコ関連一件、カメルーン関連一件、マレーシア関連一件、バングラデシュ関連一件、パキスタン関連一件となっていまして、これでは到底、様々な国からやってくる難民申請者の把握ができるとは言い難い。
そこで、諸外国の政治、人権状況などの資料を蓄積した難民資料センターのようなものをつくる必要があるのではないかと考えますが、この難民資料センターをつくる構想についてどのようにお考えになるでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
委員御指摘のとおり、難民認定の判断を行うためには、必要な諸外国の事情等に関する資料が必要となるということでございます。したがって、法務省入国管理局と地方入国管理局におきましては、常日ごろから、外務省作成資料とか例えばUNHCRの作成資料であるとかアムネスティ・インターナショナル等のNGOの事件報告、一般書籍、報道、インターネット資料等、様々な手段によって最新の情報を収集するということを努めております。
御指摘のありました難民資料センター、これ、設置構想につきましてはその詳細を知りませんけれども、こういう情報を得られる場所があるとすれば、難民の取扱いについては更に充実したものになるというふうに考えておりますし、いずれにいたしましても、これら難民関係の資料を充実させることは適正かつ迅速な難民認定業務を遂行するに当たり非常に重要な事柄でございますので、今後とも充実に努めていきたいと考えています。
○松浦大悟君
今現在、難民調査は密室で行われておりまして、本当に正確な調査が行われているのか検証不可能だという指摘もあります。これは事実なのかどうか、法務省に聞きたいと思います。
○政府参考人(西川克行君)
難民調査で本人それから関係者から事情聴取いたしますが、それに関しては調書という形でまとめているというところでございます。よく調書についての開示請求がなされておりますけれども、ほとんど開示、本人からの分については応じておりますので、必ずしも密室の中というのは当たらないのではないかなというふうに思っております。
○松浦大悟君
これ、取締りの可視化問題とも共通する問題だと思いますが、そのときの通訳が果たして正確に訳されているのか。母国語による通訳が行われないケースもあると聞いておりますが、これは事実ですか。
○政府参考人(西川克行君)
ほとんどの場合についてはなるべく母国語の通訳を付けるというふうに努力をしているということでございます。ただ、少数民族の場合でどうしても母国語の通訳が得られないという場合がございます。この場合に同国人に通訳をさせるというのは、これもまたそれはそれで問題がありますので、本人の理解する他の言語の通訳に頼らなければならない場合もあるというふうに聞いております。
○松浦大悟君
そうした場合に十分な諸事情を勘案することができないのだろうというふうに思います。
そこで、退去強制手続、難民認定手続で拷問を受けるおそれのある事実の有無を調査する審査要領を作るべきだというふうに考えます。送り返された先で拷問を受けるなどのことがあってはならないと思うのでこうしたことを提案させていただくんですが、その点についてはどうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
今回の改正において、送還先の人権状況に関しまして、送還先への送還が難民条約だけではなくていわゆる拷問禁止条約が定める送還禁止規定に抵触する場合については、そこに送還してはいけないという明文が設けられたということでございます。この判断におきましては、入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査、それから特別審理官による口頭審理、さらには異議申立てによる調査で必要な供述を得ますが、最終的には主任審査官がその判断をするということになろうというふうに思います。
この送還先の決定が適切になされる必要がありますが、事案によっては難民審査参与員など送還候補地の事情に精通した専門家の意見を聴くなどすることが適当である場合も考えられますので、送還先の決定に係る手続につきましては、委員御指摘の点も含めまして、いま一度検討の上、地方入国管理官署に関し指示文書をもって徹底するなど、一層適切な対処に努めてまいりたいと考えております。
○松浦大悟君
難民認定手続において当事者から様々な不満が出ているということでありますので、十分審議をしていただきたいと思います。
それで、難民調査官、難民審査参与員、特別審理官などに対して拷問禁止条約に関する研修を行うべきではないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
入国管理局といたしましては、例年実施している人権研修や難民調査官を対象とした研修等の場において拷問禁止条約を始めとする人権関係諸条約について研修を実施しているところですが、今後は、今回の法改正の趣旨も念頭に置いて、外部専門家の講師としての招聘を拡充するなどして研修機会及び内容の充実に努めてまいりたいと考えています。
○松浦大悟君
いずれにしましても、行政の基本は情報公開とアカウンタビリティー、説明責任ですから、透明性を持ってお仕事に臨んでいただきたいと思います。
時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
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10:30, Tuesday, Jul 07, 2009 ¦ 固定リンク
【法務委員会】7月7日(火)前半〜法改正と共生社会、在留資格のない外国人児童の教育を受ける権利〜
○松浦大悟君
おはようございます。民主党の松浦大悟です。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、非正規滞在者の子供の教育を受ける権利について、それから在留資格取消しとDVの関係について、そして難民問題についてなどを伺いたいと思います。
まず、議論の前に、前提となる話といたしまして、少し大臣と議論をさせていただきたいと思います。
政府の第三次出入国管理基本計画は、不法滞在者は外国人犯罪の温床になっていると報告しています。六月三十日の法務委員会で森法務大臣は、不法滞在者数半減計画で二十二万人が十一万人になり、それによって不法滞在者に原因する犯罪も大幅に減ったと胸を張りました。こうした認識の下、更なる管理徹底を目指して進められてきたのが今回の入管法改正だと思います。
しかし、犯罪白書を執筆してこられた経験を持つ浜井浩一氏、現在は龍谷大学法学部の教授でいらっしゃいますが、この浜井浩一さんによれば、これは統計のトリックであると言います。つまり、警察官僚の主張する外国人犯罪の増加はバイアスの掛かった統計の読み方であり、極めてまゆつばだということなんです。
御存じのように、認知件数というのは警察が受理した事件の件数のことであり、例えば安全相談強化月間などの業務命令の下、号令一下、警察活動を活発にさせれば簡単に数字を増やすことができます。現に、桶川ストーカー殺人事件の後、世間から批判をされた警察が警察活動に力を入れた結果、極端に数字が跳ね上がっております。検挙においても同じです。一人が百件犯罪を犯したとしても、どの事件を検挙するかは警察の胸先三寸、幾らでも数字を操作できます。
こうしたことから、利害当事者が作成した統計データは社会政策においては採用してはならないというのが今や社会学や統計学の常識なんです。大臣は、こうした統計の特徴について御存じだったでしょうか。知っていたか知らなかったかでお答えください。
○国務大臣(森英介君)
今の委員が御指摘になったそういう考え方については存じませんでしたけれども、私、元来技術者でございますので、統計とか確率とかいうことには、ここにいらっしゃる皆様の中では相当造詣が深い方だと思っております。
○松浦大悟君
今、力強い答弁をいただきました。もう我が意を得たりの気分でございます。
大臣、そうでありましたら、是非ともこの統計について検討をいただきたいというふうに思うんです。この統計のこうした特徴について御存じの上でこうした社会政策がつくられるのであれば、やはり国民は、やっぱり国民をだましたのかというふうに思うと思うんですね。そういうことを言われないように、この統計というものには様々な特徴があるのだということを是非とも大臣からメッセージを発信していただければというふうに思います。
さて、こうした前提を踏まえまして、森大臣に質問をさせていただきます。
私は、法務委員会のほかに少子高齢化・共生社会に関する調査会に所属をしております。与党の皆さんとも一緒に、外国人との共生についての提言も作らせていただきました。
森大臣は、この共生社会という場合の共生とはどんな意味だとお考えになっているでしょうか。私は、共生というのは背景の違う者同士がお互いを尊重し価値観を認め合うことだと思います。共生というのは、決して同化や排除による安心のことではありません。ましてや、日本に役立つ外国人と役立たない外国人を選別することではないと思います。
今回の入管法改正の大臣所信では、管理という言葉は十か所使われていましたが、この共生という言葉は一言も出てきませんでした。大臣はどんな社会を目指そうとしているのか、お考えを聞かせてください。
○国務大臣(森英介君)
共生というのは、今委員がおっしゃったように、背景ですとかあるいは文化の違う人々がお互いに尊重し合って共存していく社会であると私も思います。
我が国に在留する外国人の数は年々増加しておりまして、平成二十年末の在留資格を有する外国人登録者数は概数で約二百二十万人となっております。これらの外国人は、その入国、在留の目的は様々ですが、地域社会における生活者であることに変わりはなく、日本人と共に生きていく地域社会の構成員であります。
共生社会とは、地域社会の一員であって隣人である外国人と日本人が生きていく社会であり、生活環境、就労、教育等様々な場面において日本人と外国人が共に生き共に生活できる社会であると考えておりまして、そうした社会の実現に向けて政府のみならず様々な分野で種々の取組がなされているところでございまして、私もそういった社会を目指すことが重要であると認識をしております。
○松浦大悟君
日本は、これから多文化共生社会を目指すのではなくて、もう既に多文化共生社会に突入をしているということは、これは大臣も共通した認識ではないかと思います。製造業の分野だけではなくて、今や農業ですとか漁業、こうした分野においてもこの外国人労働者なしでは成り立たない地域もあるということでございます。グローバル化の流れの中で資本の流出や労働力の流動化はもはや止めることはできません。先進国であれば、一定限度の非正規滞在者を抱えつつそのバランスをどう取っていくのか、これが問題にされるべきではないでしょうか。
この三十年弱の間、不法滞在者と言われる人については、日本の社会に多くの貢献がある反面、暴動などの問題を巻き起こしたことはありません。また、諸外国に比較して数も人口比も圧倒的に少なくて、かつ減少傾向にあります。彼らの最低限の権利や生活の利便の基礎になる外国人登録を奪ってまで彼らの一掃を目指すというのは非常に疑問が残ります。非正規滞在者の中には、なりたくて非正規滞在者になったわけではない人もいます。派遣切りで職を失い、住むところがなくなって非正規滞在者となった方も多い。
大臣、経済的に利用ができるときだけ利用して、あとはごみくずのように捨ててしまってもいいんでしょうか。非正規滞在者を排除するのではなくて包摂する社会は築けないものでしょうか。できないとすれば、何が問題でできないのか、どのようにすればできるようになるのか、大臣の考えを聞かせてください。
○国務大臣(森英介君)
多文化共生社会というのは別に今に始まったことではなくて、我が国が、漢字にしても様々な文化にしても宗教にしても、大陸あるいは南方、様々な地域から由来したものを全部飲み込んで、そしてそしゃくして今日に至っているわけでございまして、そういった多文化の様々な恩恵の上に立って存在している国家であるというふうに思います。
ただ、そうは申しましても、不法滞在者、委員のお言葉で言う非正規滞在者がそのまま無条件に一緒に仲よく過ごしましょうというわけにはいかないわけでございまして、やはり入管法上違反して我が国に滞在する人々をそのままの状態で社会に受け入れていくということは私は不適切であると考えております。
このような不法滞在者につきましては、退去させるべきは退去させますが、今おっしゃられたように様々な事情をお持ちの方もあるわけでございまして、個々の事案に応じて在留特別許可を認めるべき者につきましてはこれを認めることといたしておりますし、そのことを通じて、我が国が入国、在留を認める外国人には先ほど申し上げた多文化共生社会の担い手となっていただきたいというふうに思っております。
なお、在留特別許可につきましては、その透明性を確保することが不法滞在者の自発的な出頭を促す観点からも重要であると認識しておりまして、許可された事例及び在留特別許可されなかった事例の更なる公表を行うとともに、既に公表済みの在留特別許可に係るガイドラインの内容についての見直し作業もできるだけ早く進め、やっぱりそうした方々へ、より安定した立場でもって在留していただく方は在留していただくし、また帰っていただく方には帰っていただくようにしたいというふうに思っております。
○松浦大悟君
大臣、もう一点確認させていただきたいんですが、大臣はそうはおっしゃるんですが、今回の入管法改正の審議の中で官僚の皆さんから度々出てくるのが、外国人登録制度の欠陥で行政サービスができないんだ云々かんぬんという話があります。私は、これはただの口実ではないかと考えています。
外国人登録だって、居住地変更をしたときの変更登録の義務がありました。住居が把握できない、住所が把握できないというのはごまかしではないでしょうか。確かに届けを出さない人もいるかもしれません。ただ、それは、そういった人は行政サービスも望んでいないわけで、そうした人までつかまえて、首根っこをつかまえて行政サービスを行おうという、そういうことではないと思うんです。本心は、本当はテロ対策の一環として外国人管理を強化したいということではないんでしょうか。どうでしょう、その辺は。
○国務大臣(森英介君)
実態的に、今申し上げたように、大変外国人が、日本に滞在する人たちが多くなってきて、その住居地の把握が困難になってきているということはこれは紛れもない事実でございます。
そういう方々のやっぱり今まで点の把握であったのを国において一元化して、点から線の把握にするようにしてより外国人の居住実態を正確に把握するとともに、地方自治体にそれをインフォームすることによって行政サービスもより受けやすくなるようにしようということで、これはまさに外国人、日本に住む、ちゃんと適法に住んでいらっしゃる方々にとってはむしろ便益の向上になるというふうに私は思っております。
○松浦大悟君
これまで非正規滞在者は、労働災害ですとか賃金未払を訴えたり出産のための補助を受けたり子供を公立学校に通学させたりと、少しずつではありますが、日本社会での権利を獲得していったという歴史があります。それが、このテロ対策の名の下、治安回復元年とされた二〇〇三年以降、この国の空気はがらりと変わってしまいました。非正規滞在者を五年間で半減するという数値目標が設定されたことで、教会やモスクあるいは大使館やNGO事務所周辺での職務質問が物すごく増えているんです。
入管のホームページでは非正規滞在者に対する情報を積極的に市民から求めている、あるいはメディアは凶悪化する外国人犯罪とあおる、これでは非正規滞在者は危ない外国人だと印象付けられてしまうと思うんです。そうではなくて、非正規滞在者の中には図らずも非正規滞在になった方もいて、刑法を犯した凶悪犯とは違うんだということを是非とも法務大臣からメッセージを発信していただけないでしょうか。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(森英介君)
確かに非正規滞在者の中には様々な事情でもってそういう境遇になっているという方がいるということは十分認識しています。したがって、そうした方々について一律に凶悪犯とか犯罪者の予備軍だと思っているわけではないということは申すまでもありません。
ただ、委員がおっしゃられるように、そういった二〇〇三年以降、テロ対策でもって非常に管理が強まって、そういった人たちが非常に厳しいそういう監視の下に置かれているというのはいささか、ちょっと言い過ぎではないかなというふうに私は思うんです。
もちろん、テロ対策のみではありませんけど、現にああいう非常に重大な事件があった、九・一一、あったのを受けて、やはりそういった管理が強まったということは事実かもしれませんけど、日本の治安に責任を持つ立場としては、やはりそういったことで十分気を付けて、日本国民あるいは日本に住んでいらっしゃる、健全に過ごしていらっしゃる外国人に危害が及ばないようにするというのは私どもの務めでありますので、その観点からいろいろな施策を講じているということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○松浦大悟君
そうしますと、大臣、今回の在留カードはテロ対策には使わないと、こういうことでよろしいですか。
○国務大臣(森英介君)
いや、そういう趣旨ではありませんけれども、結果としてテロリストの侵入がしにくくなるということはその付随的効果としてあると思います。
○松浦大悟君
ここははっきりさせておきたいんですが、テロの活動をチェックするために在留カードを使うのかどうか、ここは目的外ではないかと私は考えるんですが、大臣はここはそういう場合もあるという、先ほどの御答弁の内容はそういうことだったんでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
別にテロリスト対策のみではありませんけれども、やはりそういう思惑を持って日本に入ってくる人々についてはそういうことがしにくくなるということはむしろ日本の治安対策上好ましいことであって、もちろん、今度、入管法改正によって、そのことが目的ではないにしても、そういうことがしにくくなるということは当然付随的効果としてあるというふうに私は思っております。
○松浦大悟君
それは在留カードの目的外使用ということにはなりませんか。今回の法改正の法目的と合致しないのではないのでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
いや、ですから、在留カードは要するにそういった適法に日本に過ごしていらっしゃる外国人の身分の安定のために持っていただくわけでございますから、それはそういう目的であって、もしそういう以外のそういった危険分子が紛れ込んでいれば、それを判別するのに役に立つとすれば、それも結構なことじゃないかというふうに私は思います。
○松浦大悟君
そうしますと、やはり警察活動とリンクをさせて在留カードを使用すると、こういうことになりますけれども、それは今回の入管法の改正の中ではっきりはこれまでおっしゃってこられなかったことですよね。今、私も大変驚いておりますけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
いや、別に、だからそのことが目的でと申し上げているわけじゃありませんし、逆にお尋ねしますけれども、委員は日本でテロリストが自由にばっこしてもいいと、こういうお考えなんでしょうか。(発言する者あり)
○委員長(澤雄二君)
松浦大悟君、もう一度質問してください。
○松浦大悟君
いや、大臣、私の質問は、今回の法律、法改正をしっかりと審議しようということなんです。今回の法律の目的は、テロリストを排除する、テロリストを見付け出すために在留カードを導入するということではなかったと私は認識をしておりますが、この審議の途中にこの目的が変わったんでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
ですから、あくまでもそれはそういうふうな結果として効果もあるでしょうと申し上げているのであって、これはあくまでも、今まで要するに在留管理は国において行われ外国人登録は市町村で受け付けていたということで、外国人の居住実態あるいは動静が十分に把握できずいろんな問題が生じていたということがございますので、今回の法改正によってそれを一元化することによってより外国人の居住実態等々を的確に把握し、その結果として日本に住んでいらっしゃるそういう在留資格を持った外国人の方々の社会福祉の向上等に利することがあくまでも目的でございます。何らそれは御提案したときから変わっているところではございません。
○松浦大悟君
そうでありますと、先ほど大臣は、テロ対策のために非正規滞在者が大変肩身の狭い思いをしているというのはいささか言い過ぎではないかという発言がありましたが、そうではなくて、やはりテロ対策も目的の中に含まれており、こうした在留カードとのリンクが今後検討されていくのであろうということを推測せざるを得ません。
ここにばかりとどまっているわけにもいかないので質問を進めますが、不法滞在という用語の使用についてお答えいただきたいと思います。
私は、この用語、法務省は大変安易に使っているのではないかと思います。例えば、一九七五年の国連総会は、不法なという言葉は常に移民に罪があるような印象を与えるため、国連の公式文書では非正規若しくは証明書を持たないという用語を使うように決議しています。また、一九九四年の人口と発展に関する国際会議では、証明書を持たない移民又は非正規移民は、入国、滞在又は経済活動の行使について到着国で定められた要件を満たさない人と定義がされています。
そこでお尋ねしますが、法務省はこうした国際機関の定義や決議をこれまでどのように受け止めてきたのか、国連では使われなくなった不法滞在という言葉をあえて使い続けるということについて内部で検討したことはあるのか、その経緯と、不法滞在という言葉を国連の用語に変える考えはあるか否かについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(西川克行君)
まず不法滞在という言葉でございますけれども、入管法上の定義がなされた言葉ということではございませんで、例えば不法入国であるとか不法残留であるとか、入管法に違反する行為をもって在留している方を総称して不法滞在という呼び方をしているということでございます。これらのいずれにつきましても入管法上の罰則の対象になっているということで、不法という表現をしているということでございます。
それから、国連の用語でございますが、確かに記録をされていない、アンドキュメンテッドという言葉を使ったりイレギュラーという言葉を使っている場合もあるというふうに承知をしておりますが、他方、イリーガルミグラントと、イリーガルという言葉を使う場合もございますので、必ずしも国連の内部で不法滞在という言葉を使わないということが統一されているという理解を私どもはしておりません。
それから、今まで不法滞在者について他の呼び方を検討したことは部内ではございませんでした。
○松浦大悟君
こうした用語の使い方には国の姿勢が表れます。政府がどのような立場で外国人を取り扱っているのかということが透けて見えるわけです。今の政府参考人の話でいけば、日本は国際標準に改めるつもりはないということを改めて宣言をされた、独自路線を突き進むということを宣言されたというふうに受け止められてしまいました。これは大変残念なことだというふうに私は考えています。是非とも法務省の中で国際標準に改めるべく議論をしていただきたいと思います。
大臣はこの不法滞在という用語についてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。これを使っているのは本当に恥ずかしいことでありまして、日本の国益にも大変大きな影響を与えると私は考えております。日本という国が本当に包摂的な、いろんな多文化共生社会を目指している、そういう国であると世界に向けてアピールするならば、まずはこの用語の改正から行わなくてはならないと私は思いますが、大臣はどうでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
一つの御意見として承りますが、私は、やはり不法滞在者というのは不法滞在者であることは間違いないのでございまして、先ほど局長が御答弁したとおりでございます。
○松浦大悟君
がっかりしました。
次に、在留資格のない外国人児童の教育を受ける権利についてお伺いをいたします。
文部省は、去年の十二月から今年二月にかけてブラジル人学校の子供たちがおよそ四割減少し、そのうち四〇%が本国に帰国、およそ二五%が不就学あるいは自宅待機になっているという報告がありました。
最初に、この在留資格のない児童への教育実態、今どうなっているのか、文科省に伺いたいと思います。
○政府参考人(前川喜平君)
先生おっしゃいますとおり、本年一月から二月にかけまして、ブラジル人学校等に通学しているブラジル人等の子供の就学状況についての調査を行いました。この調査におきましては、ブラジル人の子供たちあるいはその保護者の在留資格のいかんについては調査しておりませんので、在留資格のない子供の現状はどうなっているかということについてはちょっとお答えしかねるわけでございますけれども。
この外国人学校は、例えばブラジル人学校におきまして、将来母国へ帰国することなどを予定している子供あるいは保護者の需要に応じましてブラジルの教育課程などに従ってブラジル人の教育を自主的に行っていると、こういう学校でございますので、そのため、ブラジル人学校において在留資格をどう取り扱っているかと、このことにつきましてもそれぞれの外国人学校の判断で行われているわけであります。
一方、公立の義務教育諸学校につきましては、我が国に滞在する外国人がその保護する子供の入学を希望する場合におきましては、国際人権規約等を踏まえまして、在留資格のいかんを問わず無償での受入れを行っているところでございまして、この公立の義務教育諸学校に在籍している子供たちにつきましても、在留資格がどうなっているかということについて私ども確認はしていないところでございます。
○松浦大悟君
そうしますと、今、入管や警察に摘発されて在留資格のない子供が強制退去を迫られるというケースが相次いでいるという報告があるわけですが、これについても把握はされていないということでよろしいですか。
○政府参考人(前川喜平君)
公立学校の在学中の子供につきまして、その出入り、入学、編入学あるいは退学といった状況は把握しておりますけれども、強制退去によるものであるかどうかということについては把握しておりません。
○松浦大悟君
今、景気悪化を背景に多くの外国人が職を失い、住むところを失い、非正規滞在者にならざるを得なくなっております。そのしわ寄せが一番弱い存在の子供たちに行っていると。在留資格のない子供に対しても教育を受ける権利が保障されていることは、これはもう児童の権利条約を持ち出すまでもなく、我が国においても明確に認めているところだと思います。
ところが、新制度になった場合にこの教育を受ける権利がちゃんと保障されるのかということを心配する声が非常に多い。このことについて、法務省、文科省、それぞれどうお考えになっているか聞かせてください。
○政府参考人(西川克行君)
お答え申し上げます。
まず、今回の法改正によって直ちに今まで受けられていた行政サービスが受けられなくなるということではなくて、不法滞在者が受けられる行政サービスの範囲内は法改正後も基本的には変わらないと、こういう理解をしております。そして、不法滞在者の子供の教育についても子供の教育の権利を保障することは重要であると考えております。
この点に関しまして、住民基本台帳法においても修正案で附則が付けられたというふうに承知をしておりますけれども、入管法の修正案においても、仮放免されてから一定期間経過したものに関し、その身分関係等を市区町村に通知を行うことを検討する旨の規定が設けられたということでございます。
当局といたしましては、この規定を受けて、委員御指摘の子供の教育等を外国人が受けることのできる行政上の便益に支障を生じさせることのないよう、個人情報保護の問題は別にございますけれども、その観点にも留意しながら通知を行う場面や方法について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(前川喜平君)
外国人がその子供を公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合におきましては、従来から、国際人権規約等を踏まえまして、在留資格のいかんを問わず日本人の子供と同様に無償で受入れをしているところでございまして、今回の法改正後におきましてもこの取扱いに変わるものではないと考えております。
○松浦大悟君
今、これまでと変わらないという御答弁がありましたけれども、一九九一年以降、在留資格がない人にも外国人登録が認められて、児童の就学をきっかけに登録する人が非常に多かったわけです。自治体も、就学年齢に達した児童の保護者に対しては、外国人登録で住所を確認して、在留資格があるなしにかかわらず就学案内を出していたと。
ところが、この新制度では、在留カードで一元管理されるため、非正規滞在者の把握がまずできなくなるわけですね。当然、就学児童の把握もできなくなると。事実上、児童が教育を受ける権利をこれは阻害することになるのではないか、これでは条約との整合性が取れなくなるのではと思いますが、法務省、どうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
今回の改正案の修正のうち、住民基本台帳法においてもまた入管法においても、そのようなことがないように従前の行政サービスを受けられるような仕組みをつくりなさいと、それから入管法については、特に仮放免者について通知する制度を検討して、そういう把握が市区町村においてできるようなことに協力をしなさいと、こういう趣旨だと思っておりますので、この附則を踏まえまして、法務省としてできることは十分やっていこうというふうに考えております。
○松浦大悟君
住所が分からないのにどうやって通知をするんでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
通知を義務付けられているのは、附則では、仮放免された後一定期間を経過した方ということになっておりまして、仮放免段階において仮放免証明書も出しますし、それから住所についても把握をしているということになりますので、当然、市区町村に対する通知は、その問題だけをとらえれば、あと個人情報の問題が若干ございますけれども、それはのいておいて、可能だというふうに思っております。
○松浦大悟君
ただ、その後の段階ですよね、非正規滞在者になったときにどうやって通知をするんですかということなんですが、そこの住所把握はできないわけですよね。
○政府参考人(西川克行君)
今申し上げているのは、基本的には退去強制手続は収容で進めますが、場合によってはすぐ仮放免をするという場合があると。仮放免をした場合について行政サービスが受けられるように通知をする仕組みをつくりなさいと、これが附則の中身だというふうに思っておりますので、当方が退去強制手続を進めて仮放免という形で社会に出したという方々については、当然その住所等については入管局において把握をしておりますので、それに基づいて市区町村に対する通知の仕組みをつくっていくと、こういうことになろうというふうに思っておりますが。
○松浦大悟君
入管法六十二条二項では、「国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当つて前項の外国人を知つたときは、その旨を通報しなければならない。」とあります。
しかし、これまで法務省入国管理局長は、外国人登録事務取扱要領において、外国人が不法入国、不法残留など入管法第二十四条各号、退去強制事由の一に該当する疑いがあると思料するときは、所轄の地方入国管理局長又は地方入国管理局支局長あてに通報しなければならない、ただし、地方入国管理局長又は地方入国管理局支局長に対し登録証明書の調製を依頼する場合において、在留の資格なしと記載して登録証明書を調製することとなる外国人については通報を要しないとしていたため、就学のための外国人登録をきっかけとした通報はほとんどなかったと伺っています。
在留資格のない外国人児童から就学の希望があった場合に、これまでどおり教育を受ける権利を阻害しないような扱いをしなければならないと思いますが、これについてはどうでしょうか。
○政府参考人(西川克行君)
ただいまの外国人登録証の調製された部分について通報しなくていいというのは、外国人登録の関係で調製されたものについては入管に通知が来ますので、二重に通知する必要はないという意味というふうに思います。これはその問題だということですが、それ以外に、一般的に公務員の通報義務というものがございます。
基本的な考え方だけ申し上げますと、入管法六十二条二項で、各行政機関における職務上の必要がある場合でも、一般的には入管法の通報義務があると、こちらが優先すると私どもは考えておりますが、通報義務を履行すると行政機関に課せられる行政目的が全く達成できないような特殊な場合、例外的な場合につきましては、通報義務の履行により守られる利益と職務の円滑な遂行という公益の比較考量によって、当該行政機関の判断により通報を行わない場合もあり得るというふうに考えているところでございます。
○松浦大悟君 私は、ここが権利がバッティングすると思っているんです。公務員は通報しなければならない、しかし子供の教育を受ける権利を阻害してはならない、ここの権利の調整をどのようにしていくのかだと思うんですが、就学希望が出されたことによって、教育委員会ですとか学校が入管に通報することはあってはならないと私は考えています。それほどまでに子供の教育を受ける権利というのは強い権利であると私は考えているんです。
この条項は、改正後も、就学事務に携わる教育公務員については義務ではない、若しくは厳格な義務ではないと私は解釈すべきだと思うんですが、運用においては今までは通報されることはなかった、これを今後、改正後もそのようにしていただきたいと思うんですが、その点について確認をしたいと思います。
これは文科省、お願いいたします。
○政府参考人(前川喜平君)
市町村の教育委員会におきまして就学手続を行うに当たりましては、子供の教育を受ける権利の保障という観点から、従来から、外国人登録証明書による確認に限らず、一定の信頼が得られると判断できる書類により住所確認等ができる場合には公立の小中学校等に受入れをしているところでございます。
また、就学事務に携わる市町村教育委員会事務局の職員には、現在の外国人登録証明書の提示を求めるという権限があるわけではございません。また、法律改正後も在留カードの提示を求めるという権限を持つものではございません。
そういうこともございまして、就学手続の際に明らかに不法滞在者であるということが判明するというケースは想定し難いと考えておりまして、実際にもこれまで、先生御指摘のとおり、入管当局に通報しているという例は承知していないところでございまして、こういったことは法改正後も変わらないだろうというふうに考えております。
○松浦大悟君 そうしますと、在留カードがないということは就学できないということになるんでしょうか。
○政府参考人(前川喜平君)
在留カードの有無ということは就学することにかかわりはございません。
○松浦大悟君
それでは、その在留資格がない児童生徒から就学の希望があった場合、例えば教育委員会ではどのように教育を受ける権利をこれから保障していくのか、その用意はどのようにされているのかお聞かせください。
○政府参考人(前川喜平君)
先ほど来申し上げておりますように、外国人がその子供を公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合におきましては、国際人権規約等を踏まえまして在留資格のいかんを問わず日本人の子供と同様に無償で受け入れてきたわけでございまして、今後ともこの取扱いには変わりないと考えておりますが、一方、不就学の外国人の子供たちをいかに就学させていくかということはこれは非常に大きな政策上の課題であるというふうに認識しておりまして、また、居所や住所の不明なケースも多いことから、文部科学省では従来より就学を促進するための取組をしてきておるわけでございます。
例えば、日本の教育制度や就学手続等についてまとめました七か国語によります就学ガイドブックを作りましてこれを配布するということ、あるいは、帰国・外国人児童生徒受入促進事業という事業におきまして就学促進員を教育委員会に配置するなどいたしまして外国人の子供の公立学校への就学支援に努めてきているところでございまして、文部科学省といたしましては、こうした施策を更に充実させてまいりまして、公立学校における外国人の子供の受入れの環境の整備を促進してまいりたいと考えております。
○松浦大悟君
そうしますと、確認ですけれども、教育委員会や学校長が例えば在留資格のない子供が就学希望を出したときにそれを通報するというようなことはないと先ほどおっしゃいましたけれども、もしこれあった場合には、文科省としては何らかの行政指導を行うという考えはございますでしょうか。
○政府参考人(前川喜平君)
先ほど法務省の方からも御答弁ございましたように、出入国管理法の第六十二条第二項に基づきまして、国又は地方公共団体の職員には、その職務を遂行するに当たって退去強制事由に該当する外国人を知ったときには通報義務があると、こういう義務が課せられているわけでございます。
この出入国管理法の解釈や運用につきましては法務省において御判断されることでございますけれども、この通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合につきましては、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較考量いたしまして通報するかどうかを個別に判断することも可能であるというふうに理解しております。こうしたことにつきましては、文部科学省としても、必要に応じまして教育委員会に対し指導してまいりたいというふうに考えております。
○松浦大悟君
やはり、大臣、ここは利害がバッティングしているんだと思うんですよ、今の答弁聞いていても。たとえ不法滞在者の減少が追求されるべき政策目標であったとしても、私は在留資格のない児童生徒の教育の保障、これも重要な行政目的であるというふうに考えております。通報義務の厳格化はこれに矛盾をするのではないかと私は考えるわけです。
教育機関を利用して入管当局が目標を達成してはならないと私は思いますが、森大臣のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(森英介君)
私も、我が国において在留資格を有しない子供につきましても教育を受ける権利に配慮しなければならないと考えております。
この観点から、入国管理局においては、入管法第五十四条に規定する仮放免制度の運用などによりまして、就学中の児童については身柄を拘束しないで退去強制手続を進めることなどを考えておりまして、退去強制手続中に就学の機会が失われることのないように配慮をしたいと思っております。
また、さらにその上で、個々の事案に応じて在留特別許可を認めるべきは認めるということで、言わば硬直的な対応をしないようにというふうに考えているところでございます。
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10:00, Tuesday, Jul 07, 2009 ¦ 固定リンク
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