国政報告

 
 
2010年 5月

【農林水産委員会】平成22年5月18日(火)公共建築物木材利用促進法

○松浦大悟君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟です。
 質問に入る前に、一言、宮崎県の口蹄疫についてお願い申し上げます。
 口蹄疫の被害の拡大が止まりません。畜産農家の皆さんもがっくりと肩を落としていらっしゃいます。これまで政府としては対策本部をつくったり様々な努力をされてきたことは承知をしておりますけれども、畜産農家のことを第一に考えた更なる努力をお願いしたいと思います。できることはすべてやるという意気込みで対策に臨んでいただきたい、そのことをまずもって冒頭にお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 今日は、公共建築物等における木材の利用促進に関する法律案についてですが、民主党の政策研究会の中に森林・林業小委員会が設置されておりまして、今日お見えの梶原康弘議員が衆議院側の座長、そして参議院側の座長が私ということで務めさせていただいております。これまで森林・林業再生プランなどについて党の立場から検討をさせていただきました。そうした経緯も含めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、修正案提出者の梶原議員にお聞きいたします。
 今回の修正案では、木材の利用が林業の振興だけではなくて地球環境の面でも求められていることがより分かりやすく明記されていると思います。国産木材の利用が更に高まるような修正が衆議院でなされたこと、関係各位の御努力に敬意を表したいと思います。
 ところで、今回修正された中には国の責務が追加されてございます。さらには、関係者の責務をなくし、事業者と国民の努力を新たに設けてあります。その目的と意義をお聞かせください。

○衆議院議員(梶原康弘君) 国の責務について三点追加をいたしました。
 まず一点は、木材利用促進のための研究であるとか技術開発、あるいは人材育成をしなければいけないということ。第二に、建築基準法の見直しをするということ。そして第三に、木材利用促進のための財政上、金融上の措置に努めるという規定でございます。
 特に、建築基準法については、一般的に木造は燃えやすいんじゃないかとか弱いんじゃないかと、こういった先入観があるのではないかと、こういったことから察せられるように、建築基準法においても木造について少し厳しい規定があるのではないかということでございまして、これをしっかりと検証して専門的な見地から見直してもらう必要があるのではないかと、こういうことでございます。
 そして、もう一つ、関係者の責務規定について若干見直しているわけでありますけれども、木造利用の範囲というものを民間の住宅まで拡大をしたわけでありますけれども、そうした中で、国民の努力規定というか、そういったところも設けているわけでございます。国、地方公共団体、そして事業者、国民と、それぞれ明確に努力あるいは責務規定を設けて、より木造利用の促進を高めていきたいと、このように考えているところでございます。

○松浦大悟君 ありがとうございます。
 より一層国産材の利用促進を図る内容になったと高く評価をさせていただいております。
 続いて、政府に質問させていただきます。
 今回の修正案は、森林・林業再生プランの具体化の中で現在検討が進められている課題とかなり重なる部分があるのではないかと思っております。
 今回の修正で、国の責務として、木材利用の促進のための取組への支援や規制の改革、研究や技術開発、人材育成等の措置の努力などが盛り込まれましたが、これによりまして政府としてはどのように取り組まれるか、御決意をお聞かせください。

○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
 今、修正案提出者の梶原議員からも御説明いただきましたけれども、より一層木材利用の促進に向けて、公共建築物だけではなくほかの住宅、公共施設についても更に利用を進めていくと、そういった内容を盛り込んでいただいたことは、非常に木材の利用の促進に向けましては大きな力になっていくのかなと思っております。
 そういう中で、今回のこの法律でありますけれども、まずは、一つの起爆剤として、木材利用全般の拡大を図るための起爆剤として、何とかまずは公共建築物、そして一般住宅、そしてその他の公共物ですね、そういったものを進めていきたいと思っております。
 具体的に、政府といたしましては、例えばまずはやはり一番見えるところですね、シンボル的に一番見えやすいところ、公共建築物の木造化、木質化を図ることによってやはり多くの人に木造の建築を知っていただくと、そういった効果が期待できるんではないかと思っております。
 それから、やはり木造は弱いですとか、火事に弱いんじゃないか、耐火を考えたときにはやはり木造は駄目なんじゃないかといった声がありますけれども、そうではないと、耐火性能に優れたそういった木材製品の技術開発それから実用化、こういったものも図っていかなければいけないと思っておりますし、今なかなか強度が弱いということで使われていないはりの部分なんかにも使えるような、そういう技術開発も進めているところです。
 更に言えば、やはりこういった技術の開発とともに、さらにそれを使う人、それを造る人、そういった人材の育成も必要だと思っておりまして、木造の設計に対応可能な建築士の育成というのも進めていかなければいけないと思っています。これにつきましては、当然、建築士や大工さん、工務店等に対する技術講習会なども実施しなければいけないと思っておりますし、また、そういった建築を担っている国土交通省さんとも密接に連携する中で様々な人材育成、それから検討会、そういったものも開いております。一つの具体例を申し上げれば、木のまち・木のいえ推進フォーラムと、こういったものを共同で開催しておりまして、この中で人材育成それから住宅業界のニーズに応じた体制づくり、そういったものも進めています。
 いずれにいたしましても、しっかりと様々な連携の中でこういった取組、後押し、人材育成、それから制度面の充実、そういったものをきちんと取っていきまして、まさにコンクリート社会から木の社会へと、そういった転換を図るべく更なる推進を進めていきたいと思っております。

○松浦大悟君 ありがとうございます。
 舟山政務官が、木は弱いのではないかという先入観があるという話、今伺いましたけれども、私の地元秋田県の北部には大館樹海ドームという建物があります。この大館樹海ドームの屋根の部分には二万五千本の秋田杉が使われている。ここではサッカーですとか野球といったスポーツ、それからコンサートなども行われているんですね。当時これができたときに、ああ木材を使ってこんな建築物ができるんだと大変驚いた記憶がございます。秋田県では、このほかにも新しくできる小中学校にはほとんど秋田杉が使われていますし、町営住宅などにも使われている。そうした意味におきましては、この法律に先駆けて先進的な取組をしている県ではないかというふうに自負をしております。この法律ができることによって更に木材の利用が促進するのではないかと秋田県の林業関係者も大変期待をしているところでございます。
 それで、今回新たに国民の努力規定が設けられました。この件についてお伺いしたいんですが、国民の木材利用を増やすためにはまずは国民の皆さんに木材に関する正しい情報を得てもらわなくてはならないと、その上で木材を魅力的なものだと感じてもらわなくてはならないと思います。
 その意味で、国や地方自治体による木材普及の取組が重要だと考えますけれども、特に地方自治体による地域木材の普及の取組は木材の地産地消の面でも大変重要だと思います。国及び地方自治体においてどのように普及促進を図るお考えか、お聞かせください。

○大臣政務官(舟山康江君) ありがとうございます。
 まさに委員御指摘のその秋田県の事例などは、木材でこんなことができるのかと、そういった実際の事例としてもっと広く全国民に紹介していかなければいけないなと思っております。
 そのほか、各地において様々、今まで木では無理だったんではないかと思われる施設に対して相当今木材の利用が進みつつありまして、そういった事例をまずはしっかりと普及していくと。これはやはり国の大きな責任なのかなと思っています。
 更に言えば、国は、今回の法律におきまして木材の利用促進に向けて基本方針を作ることになっておりますので、そういう基本方針を作り、また、国土交通省さんで整備を予定しております木造建築物に係る官庁営繕の技術基準、こういったものについて広く地方公共団体などへ周知することも必要ではないかと思います。やはり地方段階では、これには木は使えないなという、先ほどから先入観という言葉を何度か言っていますけれども、なかなかそういったところが払拭し切れないような状況がありまして、そういった基準をしっかりと作る中でやはりまずは周知をしていくと。まず国から地方公共団体、そして地方公共団体から住民段階へとしっかりと周知をしていくことが必要なのかなと思っています。
 その手法といたしまして、各種シンポジウム、キャラバン、ホームページの開設などでPR活動を積極的に展開していかなければいけないと思っておりまして、特に一般住宅につきましては、戸建てでは八割ぐらいが木造なんですけれども、外材に押されている部分がかなりあります。その外材を国産材に置き換えていくという意味におきましては、やはり地域産材がきちんと使えるような仕組みづくり、これも先進事例が幾つかありますので、そういう事例紹介、それから製品開発、あとは地域段階での、せっかく近くにある山の木をきちんと加工して供給できる体制の整備、こういったものも応援していかなければいけないと思っています。
 いずれにいたしましても、今日は国土交通省から長安政務官にも来ていただいておりますけれども、しっかりと国土交通省さん、それから学校でいえば文科省さんとも連携をしなければいけないと思いますけれども、そういった関係各省と連携しつつ、住宅などにおける国産材利用が図られるように、必要な情報提供それから施策、しっかりと進めていきたいと思っています。

○松浦大悟君 ありがとうございます。
 ところで、国産材を十分に活用するためには路網整備をしっかりとやって間伐材を運び出さなければいけない。ところが、その路網整備をするときに、木を切りたくても山の持ち主が分からないというケースが大変多いというふうに伺っております。地籍調査や土地分類調査などが進んでいないと。
 内閣府が行ったアンケート結果によりますと、森林の所有境界が明確になっていない場所が七割以上あると答えた自治体が一五・九%、五割以上が二五・〇%、三割以上が二〇・〇%ということで、確定作業は年々難しくなっているんだそうです。
 例えば、財産を分けるときに山を分割して相続した子供たちが都会に行ってしまってどこに住んでいるのか分からないといったようなケース、こうした場合だと所有者を捜すといってもこれは大変困難な作業になってしまうということなんです。
 今、どんな荒廃林であっても所有者の許可がなければ木を切ることはできないようになっている。そうではなくて、森林というのは確かに個人の財産ではありますが、それと同時に社会共有の財産でもあるという、こういう観点から、所有者が分からない場合には、その地域の人たちの合意があれば整備のためであれば木を切り出せるような何か公的な仕組みというかシステムがあるべきではないか、そういう仕組みをつくるべきではないかというふうに思うのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
 今の御質問の中にもありましたけれども、やはり森林という、特に民有林であれば私有財産なわけです。これを何の手続も経ずに、何というんでしょうか、周りの人がそういった社会的な要請の中で勝手に整備をする、勝手に切ったりするというのは、やはりこれは財産権の侵害にも当たりますので、なかなか厳しいのではないかと思います。
 それよりも、むしろなぜ関心をなくしてしまったのか、なぜ放置したままそれこそ都会に出て、本来、財産価値があるものであれば、そんなもったいない、放置なんてしないわけであって、やはりそこのところの問題をもう一度見直していかなければいけないと思います。やはりそこが、財産価値のあるものなんだ、しっかりと整備をして切って売れば一定程度の収入があるという、こういう流れをつくることによってやはり所有者に関心をまず持っていただくということ。
 それから、なかなか個別で施業をしても採算が取れない、もうからないといったそういう状況に対しまして、やはり集約化をしてしっかりと採算が取れるような、そういった仕組みも応援していかなければいけない。ここのところ集約化施業というものを推進しているわけなんですけれども、そういう取組を通じてまずはやはり森林に、自分の持っている財産に興味を持っていただくと、そういった取組が必要なのかなと思っています。
 そういう中で、今御指摘がありました、実際にこれからしっかりとした森林を育てていく、まさに地球温暖化にも貢献し、きちんとした木材を供給していくという体制を取るために、やっぱり一定の管理、まさに間伐をしなければいけないわけなんですけれども、境界が不明確ということで間伐が進んでいないという事例が本当にたくさんあります。
 そういう中で、今、農林水産省においてはその境界の明確化のために森林整備加速化・林業再生事業というものをこれ実施しておりますし、それから、この境界の明確化ということについては、これもまた国土交通省さんときちんと連携していかなければいけないんですけれども、山村境界基本調査というものが国土調査事業として位置付けられておりまして、まさにこの地籍調査をしっかりと進めていくと、今までもやっていただいているんですけれども。
 これから次期国土調査事業十箇年計画というものが策定されるところなんですけれども、これについての、今、前段の調整を鋭意進めているところですけれども、これについても国土交通省と一層の連携を強化して更に境界の確定作業を図っていく、加速化していくと、そういった方向で今合意をしているところでありますので、こういったものもしっかりと進めていきたいと思います。
 更に言えば、さっきの話に戻りますけれども、やはりもうかるようなしっかりとした事業を行えるような仕組みづくりですね、これについては、施業集約化・供給情報集積事業といったものがありまして、今、不在村地主さんとか、なかなか、いいよ、もう、もうからないからやらないよといった人たちに働きかけて、しっかりと集約化施業ができるような、そういう仕組みもつくっておりまして、かなりコスト提案をして、ちゃんと収入があるというようなこともやっております。
 いずれにしましても、昨年十二月に公表いたしました森林・林業再生プランを踏まえまして、森林整備の意欲を高める、もうかる林業の実現に向けて、集約化施業、それから森林整備の在り方、今鋭意、幾つかの委員会に分けまして検討しているところでありますので、こういう結果も踏まえて更なる必要な施策をこれから推進していきたいと思っております。

○松浦大悟君 ありがとうございます。
 それから、忘れてはならないのは、持続可能な森林資源をつくっていくためには生物多様性の観点からも考えなくてはならないと思っています。山が荒れることによって野生動物が里に下りてくるケースが増えております。
 林業として産業に活用するゾーンと、そうではなくて、野生動物の生息地域を守るために例えばブナなどの広葉樹を復元させるゾーン、こうしたしっかりとしたゾーニングを行っていくことが大切だと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○大臣政務官(舟山康江君) ありがとうございます。
 御指摘のとおり、森林は様々な動植物が生息、生育し、複雑な生態系を構成するなど、生物多様性の保全において重要な要素でありまして、間伐の適切な実施とともに広葉樹林など多様な森づくりを進めていくことが重要な課題だと認識しております。
 かつては、特に国の造林、植林というものは針葉樹にかなり特化したような状況がありましたけれども、やはり今ここに来まして、すべてが針葉樹林で植林をするべきじゃないという、そういった方向に徐々に今転換しておりまして、やはりある部分は広葉樹林をもっと育てなければいけない、若しくは針葉樹と広葉樹の混交林の育成によって豊かな生態系をはぐくむべきではないかと、そういった方向に随分と政策が転換しております。
 そういう中で、多様な森づくりというのをこれから推進していくという方向に、特に平成十八年の基本計画におきまして相当大きく方向を転換しておりますので、そういう中でこういったまさに多様な森づくり、豊かな森づくりによって生物多様性をしっかりと保護していくと。まさに今年はCOP10、生物多様性締約国会議が名古屋で開催されることもありますので、そういう観点も含めて、しっかりと森林の整備、生物多様性の保全に寄与していきたいと思っております。
 更に言えば、今、保護林というものを全国八百四十一か所設定しておりまして、委員の御地元の白神山地もそうですし、私の地元の朝日山地もそうなんですけれども、そういった保護林というのはやはりきちんと整備、保護をしていくと、そういったゾーニングもしておりますので、そういう中で生物をしっかりとはぐくむ、豊かな森をつくる、それはひいては環境にも貢献すると、そういう役割をしっかりと果たせるような森づくりをこれからも進めていきたいと思っております。

○松浦大悟君 済みません、最後に長安政務官にお伺いしたいと思います。
 建築基準法の話、先ほど来出ておりますけれども、この建築基準法を見直し、伝統的な構法を再評価しようじゃないかという声が広がっております。アメリカ由来のツーバイフォーだけではなく様々な建築様式があってもいいということで、実は今日は伝統的建築文化を継承、発展させるための法整備を求める院内集会も行われていて、大工さんたちが様々な提言をされております。
 国交省も二〇〇八年から見直しをされていると伺っているんですが、どのような議論になっているかお聞かせください。

○大臣政務官(長安豊君) お答え申し上げます。
 我が国におきましては、伝統的に培われた技術、技能を活用して、木造住宅さらには建築物を造ってきた歴史がございます。このような伝統的構法による木造住宅、建築物の振興を図っていくことは、林業さらには製造業を含めた木造住宅等の関連産業の活性化の面、さらには伝統的建築文化の継承という面からも重要な課題と、国土交通省として認識をしておるところでございます。
 このために、先ほど来お話のございました伝統的構法の設計法の作成及び性能の検証、これに関する検討をこの間進めてまいりましたし、また、今年度から検討体制を見直しまして、石場建て構法について実大の振動台実験を行うなど、伝統的構法の調査をより積極的に進めておるところでございます。
 引き続き、地域ごとの特性を踏まえた伝統的構法による木造住宅等の振興につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

○松浦大悟君 ありがとうございました。
 終わります。

10:00, Tuesday, May 18, 2010 ¦ 固定リンク


 


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